【毒舌系転職ライフ!】『フェアリーテイル』へようこそ!~リリスさんのパーフェクトマニュアル~ギルド冒険者を指南します!
22. 少しお散歩したいんです
22. 少しお散歩したいんです
エミルとアンナが『適性試験』を行っている時、ギルド『フェアリーテイル』ではお昼時なのか冒険者の対応も一段落つき、リリスとジェシカは書類の整理をしていた。
「マスター大丈夫かな。あの子と共に強い魔物とかに襲われてないといいけど……」
「あれ?エミルくんを立会人に選んだのはジェシカちゃんじゃないですか?あー。『私。心配したんだからね』っていうツンデレヒロインアピールですか。不器用ですねジェシカちゃんは。まぁそこが若すぎて可愛いんですけど!」
「ち、違う!私はただ、その時暇なのがマスターだから!べ、別に深い意味はないよ!」
「またまた〜そんなこと言っちゃって~。でも違うなら、私のお昼を買ってきてください。」
「……なんかそれは違う話じゃ。はぁ……分かった。行ってくるから、お留守番お願いリリスさん」
そう言ってジェシカはギルドを出ていく。リリスはふとアンナの書きなおした用紙を見る。
「ふむふむ。ん?アンナ=グランメール。なるほど……最強の天才魔法少女ですか……あながち間違ってはいないかもしれませんね」
リリスはクスっと笑う。そして再び仕事に戻る。すると扉が開き、素材屋で換金してきたエドガーが戻ってくる。
「戻ったぞ」
「おかえりなさい。早かったですね。もう終わったんですか?」
「ああ」
「ならジェシカちゃんが戻ってくるまでここをお願いしていいですか?」
「構わないが、どこかへ行くのか?」
「少しお散歩がしたいんです」
そう言うとリリスはギルドを出る。そのまま街に出て、とある場所に向かって歩いていく。その足取りはとても軽やかで、目的地に着くのが楽しみで仕方ないといった様子だった。
◇◇◇
森の奥へ進むオレとアンナ。目的のゴブリンがなかなか見つからず、結構奥の方まで来てしまった。鬱蒼と茂る木々のせいで日差しが入りにくく薄暗い森の中を進んでいるため、アンナも少々不安になっているようだ。
「ねぇエミル。本当にこっちにゴブリンがいるのよね?」
「いや……オレはアンナの後をついていってるだけなんだけど……」
「は?アタシのせいにするつもり!?男のクセに女に頼るなんてダサいわよ!あなたそれでも男なの!?」
そう言ってプンスカ怒りながら先に進むアンナ。オレはアンナを追いかけていく。あーもう。めんどくさい。でもここで機嫌を損ねるわけにはいかないんだよな。とりあえず今は黙ってついていくことにしよう。それからさらに30分ほど歩いたところでようやくゴブリンを見つけた。
「ん?いたぞゴブリンが」
「やっと見つけたわね!それじゃアタシの力を見せつけてやるわ!」
そう言って杖を構えるアンナだったが、目の前にいるゴブリンのその奥から大きい影が現れる。その姿を見てオレは驚きの声を上げる。
「おいアンナ!逃げろ!そいつはゴブリンロードだ!」
ゴブリンの上位種であり、普通のゴブリンとは比べ物にならないくらいの強さを誇る。ランクはCだが、強さ的にはBに近いとされている。なんでこんな王都近くの森にいるんだよ!?オレは急いでアンナの元に向かう。
「早く逃げるぞアンナ!」
「何よ!?まだ戦いは終わってないわよ!?」
「あいつはヤバイ!初心者が敵う相手じゃないんだ!」
「何よ!アタシをバカにする気!?」
「いいから逃げるぞ!」
オレはアンナの腕を掴んで無理矢理連れて行こうとするが、ゴブリンロードの動きは素早く、アンナの目の前に立ちふさがる。
「邪魔よ!『ファイアボール』!」
アンナはゴブリンロードに向かって魔法を放つ。しかし、ゴブリンロードはその攻撃を避けようともせず、まともに喰らう。
「えっ?なんで効かないのよ?」
驚くアンナにゴブリンロードは棍棒を振り上げる。
「危ない!!」
オレはアンナを押し倒すようにして庇う。背中に強い衝撃を受ける。
「ぐぅ……!」
「エミル!!大丈夫!?」
「大丈夫だ……それよりも早く逃げるんだ。ここはオレがなんとかするから」
「そんなのできるわけないじゃない!エミルは弱いんだから!」
オレは立ち上がってアンナの前に立つ。正直かなり痛いし苦しいけど、このままだと2人とも死ぬことになるし、この子だけでも逃さないと。それにしてもまさかこんな大物が出てくるなんて……。これはいよいよ本格的にまずいな……。
「アタシは……最強の天才魔法少女なんだから……お願い……おじいちゃん力を貸して……!」
するとアンナが握りしめているペンダントが光を放ち、大きな光の魔方陣が展開されて文字が現れる。
「な、なんだこれ?」
「これは……おじいちゃんの最強魔法よ!きっとアタシを助けてくれる!」
そう言うとアンナはその文字を読み上げ始める。
「我求めるは聖なる炎と猛き雷。我が魔力を糧としその力を顕現せよ!『ボルテックルージュ』!!!」
シーンッ……何も起きない。ただ静寂が流れる。そのままゴブリンロードはオレたちに向けて棍棒を振り上げる。どうすれば……!その時だった。
「まったく……世話が焼けますね?こうやって使うんですよ」
「え?」
突然謎の声が聞こえる。すると強力な轟音と共に天空から赤い稲妻がゴブリンロード目掛けて落ち、そしてそのまま地面へと叩きつけられる。そしてその威力は凄まじく、辺り一面が火の海になっていた。
「す、すごい……」
あまりの光景にオレは言葉を失う。それは間違いなく最強の魔法と呼べるほどの魔法でゴブリンロードを倒したのだから。
エミルとアンナが『適性試験』を行っている時、ギルド『フェアリーテイル』ではお昼時なのか冒険者の対応も一段落つき、リリスとジェシカは書類の整理をしていた。
「マスター大丈夫かな。あの子と共に強い魔物とかに襲われてないといいけど……」
「あれ?エミルくんを立会人に選んだのはジェシカちゃんじゃないですか?あー。『私。心配したんだからね』っていうツンデレヒロインアピールですか。不器用ですねジェシカちゃんは。まぁそこが若すぎて可愛いんですけど!」
「ち、違う!私はただ、その時暇なのがマスターだから!べ、別に深い意味はないよ!」
「またまた〜そんなこと言っちゃって~。でも違うなら、私のお昼を買ってきてください。」
「……なんかそれは違う話じゃ。はぁ……分かった。行ってくるから、お留守番お願いリリスさん」
そう言ってジェシカはギルドを出ていく。リリスはふとアンナの書きなおした用紙を見る。
「ふむふむ。ん?アンナ=グランメール。なるほど……最強の天才魔法少女ですか……あながち間違ってはいないかもしれませんね」
リリスはクスっと笑う。そして再び仕事に戻る。すると扉が開き、素材屋で換金してきたエドガーが戻ってくる。
「戻ったぞ」
「おかえりなさい。早かったですね。もう終わったんですか?」
「ああ」
「ならジェシカちゃんが戻ってくるまでここをお願いしていいですか?」
「構わないが、どこかへ行くのか?」
「少しお散歩がしたいんです」
そう言うとリリスはギルドを出る。そのまま街に出て、とある場所に向かって歩いていく。その足取りはとても軽やかで、目的地に着くのが楽しみで仕方ないといった様子だった。
◇◇◇
森の奥へ進むオレとアンナ。目的のゴブリンがなかなか見つからず、結構奥の方まで来てしまった。鬱蒼と茂る木々のせいで日差しが入りにくく薄暗い森の中を進んでいるため、アンナも少々不安になっているようだ。
「ねぇエミル。本当にこっちにゴブリンがいるのよね?」
「いや……オレはアンナの後をついていってるだけなんだけど……」
「は?アタシのせいにするつもり!?男のクセに女に頼るなんてダサいわよ!あなたそれでも男なの!?」
そう言ってプンスカ怒りながら先に進むアンナ。オレはアンナを追いかけていく。あーもう。めんどくさい。でもここで機嫌を損ねるわけにはいかないんだよな。とりあえず今は黙ってついていくことにしよう。それからさらに30分ほど歩いたところでようやくゴブリンを見つけた。
「ん?いたぞゴブリンが」
「やっと見つけたわね!それじゃアタシの力を見せつけてやるわ!」
そう言って杖を構えるアンナだったが、目の前にいるゴブリンのその奥から大きい影が現れる。その姿を見てオレは驚きの声を上げる。
「おいアンナ!逃げろ!そいつはゴブリンロードだ!」
ゴブリンの上位種であり、普通のゴブリンとは比べ物にならないくらいの強さを誇る。ランクはCだが、強さ的にはBに近いとされている。なんでこんな王都近くの森にいるんだよ!?オレは急いでアンナの元に向かう。
「早く逃げるぞアンナ!」
「何よ!?まだ戦いは終わってないわよ!?」
「あいつはヤバイ!初心者が敵う相手じゃないんだ!」
「何よ!アタシをバカにする気!?」
「いいから逃げるぞ!」
オレはアンナの腕を掴んで無理矢理連れて行こうとするが、ゴブリンロードの動きは素早く、アンナの目の前に立ちふさがる。
「邪魔よ!『ファイアボール』!」
アンナはゴブリンロードに向かって魔法を放つ。しかし、ゴブリンロードはその攻撃を避けようともせず、まともに喰らう。
「えっ?なんで効かないのよ?」
驚くアンナにゴブリンロードは棍棒を振り上げる。
「危ない!!」
オレはアンナを押し倒すようにして庇う。背中に強い衝撃を受ける。
「ぐぅ……!」
「エミル!!大丈夫!?」
「大丈夫だ……それよりも早く逃げるんだ。ここはオレがなんとかするから」
「そんなのできるわけないじゃない!エミルは弱いんだから!」
オレは立ち上がってアンナの前に立つ。正直かなり痛いし苦しいけど、このままだと2人とも死ぬことになるし、この子だけでも逃さないと。それにしてもまさかこんな大物が出てくるなんて……。これはいよいよ本格的にまずいな……。
「アタシは……最強の天才魔法少女なんだから……お願い……おじいちゃん力を貸して……!」
するとアンナが握りしめているペンダントが光を放ち、大きな光の魔方陣が展開されて文字が現れる。
「な、なんだこれ?」
「これは……おじいちゃんの最強魔法よ!きっとアタシを助けてくれる!」
そう言うとアンナはその文字を読み上げ始める。
「我求めるは聖なる炎と猛き雷。我が魔力を糧としその力を顕現せよ!『ボルテックルージュ』!!!」
シーンッ……何も起きない。ただ静寂が流れる。そのままゴブリンロードはオレたちに向けて棍棒を振り上げる。どうすれば……!その時だった。
「まったく……世話が焼けますね?こうやって使うんですよ」
「え?」
突然謎の声が聞こえる。すると強力な轟音と共に天空から赤い稲妻がゴブリンロード目掛けて落ち、そしてそのまま地面へと叩きつけられる。そしてその威力は凄まじく、辺り一面が火の海になっていた。
「す、すごい……」
あまりの光景にオレは言葉を失う。それは間違いなく最強の魔法と呼べるほどの魔法でゴブリンロードを倒したのだから。
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