【毒舌系転職ライフ!】『フェアリーテイル』へようこそ!~リリスさんのパーフェクトマニュアル~ギルド冒険者を指南します!
15. 問題です
15. 問題です
そして翌日。オレはジェシカさんと共に素材屋に素材を売りに行く。ここはジェシカさんの昔からの知り合いの素材屋さんらしい。だから少しだけ色をつけて買い取ってくれるのだ。
「今日もありがとう。おじさん。またお願い」
「こちらこそいつも助かるよ。ああそうだジェシカ」
「うん?」
「いい人に拾って貰ったんだな。あんたジェシカをよろしく頼むな」
「ちょ……なに言ってるのよ!変なこと言わないで!」
「ハハッ。悪い悪い。それじゃあまた来てくれ」
ジェシカさんは少し照れながら店の外に出る。まったく素直じゃないなこの子。それからしばらく歩くと彼女は口を開く。
「ねぇマスター」
「ん?」
「あの盾騎士の冒険者が気になってるんでしょ?そんな顔してる」
鋭い。やっぱり女性には敵わないな。
「ああ。何か事情があるんじゃないかと思ってさ。20年間も同じジョブ、しかもランクCのままだし、なんかおかしい気がしてさ」
「それは私にも分からないわ。ただ言えることは、どんなにベテランの冒険者でも初級クエストは受けられるし、依頼だって出来る。別に私たちのギルド『フェアリーテイル』に来てもおかしくはない。」
確かにそうだが……。彼はなぜかギルドに来てもクエストボードを見てはしばらく休んでギルドを去っていく。それが全く理解できない。それにリリスさんが話しかけても何も答えないし……。ますます謎だな。そんなことを考えていると、ある冒険者に目が止まる。
「あら?噂をすれば……えっとエドガーさんだっけ?」
「ああ……でもなんか様子がおかしいぞ?」
エドガーさんの目の前には複数人いる。もしかしたら元パーティーメンバーだったりするかもな。オレとジェシカさんは隠れてその様子を見ていることにする。
「おいエドガー。お前いつまでランクCのままでいるつもりだ。そろそろいいかげんにしろ」
「……」
「聞いてんのか!!」
「やめなさいよジャック。あなたが怒鳴っても仕方がないでしょう?」
「うるせぇ!!やっとの思いでランクBになったっていうのに、こいつはオレたちの忠告を無視して盾騎士なんてハズレジョブから転職しねーし、スキルも大したことねーし、正直イラついてしょうがねーよ」
そう言うと、エドガーさんはその場を立ち去ろうとする。
「待てよ!逃げるんじゃねーよ!こっち向けよ!エドガー!」
「……だからパーティーは抜けただろ?もうオレに関わるな」
「そうかよ。ルシーナの為に情けをかけてやってるのによ……そうかよ。じゃあな。クソ野郎」
そういうとその男は去っていった。一体なんの話をしていたんだ?それにルシーナさんって?そんなことを考えていると今度は大勢の子どもが集まってくる。どうやら孤児院の子たちみたいだが、その子どもたちはエドガーさんの周りに集まっていた。
「おじちゃん。これあげる」
「私もこれあげる」
「これは私が作ったんだよ!食べてくれる?」
「ああ。みんなありがとな。でも全部は食えないから半分ずつ貰おう」
そう言ってエドガーさんは笑みを浮かべながら子ども達と話していた。なんて優しい人なんだ。
「エドガーさん」
「ルシーナ。今月分だ」
「ありがとうございます。本当に助かります……でもこんなに……エドガーさんは大丈夫ですか?」
「問題ない。オレにはコレがある」
エドガーさんは手を広げながら言う。すると子どもたちが言う。
「おじちゃん!スキル見せてよ!」
「そうだそうだ!見せてよ!」
そういうとエドガーさんは盾を前に出す。
「ガードアップ」
そういうと盾に光が宿る。
「おお~すごい!光った!」
「悪者をやっつける正義のヒーローみたい!」
「カッコイイー!」
「ははは。そうか?みんなが困ったら必ずおじさんが助けてやるぞ?正義のヒーローだからな!」
そういうと彼は笑顔で笑う。そうか……彼は盾騎士じゃなきゃいけないんだ。オレはその場で固まってしまう。彼は守るべきものがあるからずっと盾騎士だったんだ。それが彼の信念なんだ。
そのあとオレたちはギルドに戻り、ジェシカさんは受付の仕事へ、オレは自室に戻って書類整理をしていると、扉からノック音が聞こえる。
コンッ コンッ
「エミルくん。少しいいですか?」
「リリスさん。どうかしました?」
「はい。冒険者に興味ないエミルくんにお伝えしたいことがありまして」
冒険者に興味ないは余計なんですがリリスさん。オレがそういう顔をしていると彼女は続ける。
「ここで問題です。冒険者ランクをCにするにはどのくらい依頼を達成する必要があるでしょうか?」
「えっと……確かFからDが大体依頼を100回とかじゃなかったっけ?あれ?違ったかな……」
「そうですね。正解は、1000回以上の依頼達成が必要になります。ちなみにCからBは3000回程度ですね。もちろん受ける依頼の難易度や功績などでも変化はしますから絶対はありません。それとB以上は依頼だけではなく信頼や実績も考慮されます。まぁ私はSランクの冒険者なんですけどね。」
なにドヤ顔してんだリリスさんは?……すごく可愛いんだけどさ。
「それは分かりましたが、なぜそれをオレに?」
「さぁ……なぜですかね?どこかの不遇なジョブの方なら、今まで律儀にその回数の依頼をこなしてるかもしれませんね?ふふふ」
リリスさんは不敵な笑みを浮かべながら部屋を出ていく。それならエドガーさんは相当な場数を踏んでいるはずだ。ならオレがやるべきことはひとつしかない!これは、ギルド『フェアリーテイル』にとってプラスになる。そう思いながら無意識に拳を握りしめるのだった。
そして翌日。オレはジェシカさんと共に素材屋に素材を売りに行く。ここはジェシカさんの昔からの知り合いの素材屋さんらしい。だから少しだけ色をつけて買い取ってくれるのだ。
「今日もありがとう。おじさん。またお願い」
「こちらこそいつも助かるよ。ああそうだジェシカ」
「うん?」
「いい人に拾って貰ったんだな。あんたジェシカをよろしく頼むな」
「ちょ……なに言ってるのよ!変なこと言わないで!」
「ハハッ。悪い悪い。それじゃあまた来てくれ」
ジェシカさんは少し照れながら店の外に出る。まったく素直じゃないなこの子。それからしばらく歩くと彼女は口を開く。
「ねぇマスター」
「ん?」
「あの盾騎士の冒険者が気になってるんでしょ?そんな顔してる」
鋭い。やっぱり女性には敵わないな。
「ああ。何か事情があるんじゃないかと思ってさ。20年間も同じジョブ、しかもランクCのままだし、なんかおかしい気がしてさ」
「それは私にも分からないわ。ただ言えることは、どんなにベテランの冒険者でも初級クエストは受けられるし、依頼だって出来る。別に私たちのギルド『フェアリーテイル』に来てもおかしくはない。」
確かにそうだが……。彼はなぜかギルドに来てもクエストボードを見てはしばらく休んでギルドを去っていく。それが全く理解できない。それにリリスさんが話しかけても何も答えないし……。ますます謎だな。そんなことを考えていると、ある冒険者に目が止まる。
「あら?噂をすれば……えっとエドガーさんだっけ?」
「ああ……でもなんか様子がおかしいぞ?」
エドガーさんの目の前には複数人いる。もしかしたら元パーティーメンバーだったりするかもな。オレとジェシカさんは隠れてその様子を見ていることにする。
「おいエドガー。お前いつまでランクCのままでいるつもりだ。そろそろいいかげんにしろ」
「……」
「聞いてんのか!!」
「やめなさいよジャック。あなたが怒鳴っても仕方がないでしょう?」
「うるせぇ!!やっとの思いでランクBになったっていうのに、こいつはオレたちの忠告を無視して盾騎士なんてハズレジョブから転職しねーし、スキルも大したことねーし、正直イラついてしょうがねーよ」
そう言うと、エドガーさんはその場を立ち去ろうとする。
「待てよ!逃げるんじゃねーよ!こっち向けよ!エドガー!」
「……だからパーティーは抜けただろ?もうオレに関わるな」
「そうかよ。ルシーナの為に情けをかけてやってるのによ……そうかよ。じゃあな。クソ野郎」
そういうとその男は去っていった。一体なんの話をしていたんだ?それにルシーナさんって?そんなことを考えていると今度は大勢の子どもが集まってくる。どうやら孤児院の子たちみたいだが、その子どもたちはエドガーさんの周りに集まっていた。
「おじちゃん。これあげる」
「私もこれあげる」
「これは私が作ったんだよ!食べてくれる?」
「ああ。みんなありがとな。でも全部は食えないから半分ずつ貰おう」
そう言ってエドガーさんは笑みを浮かべながら子ども達と話していた。なんて優しい人なんだ。
「エドガーさん」
「ルシーナ。今月分だ」
「ありがとうございます。本当に助かります……でもこんなに……エドガーさんは大丈夫ですか?」
「問題ない。オレにはコレがある」
エドガーさんは手を広げながら言う。すると子どもたちが言う。
「おじちゃん!スキル見せてよ!」
「そうだそうだ!見せてよ!」
そういうとエドガーさんは盾を前に出す。
「ガードアップ」
そういうと盾に光が宿る。
「おお~すごい!光った!」
「悪者をやっつける正義のヒーローみたい!」
「カッコイイー!」
「ははは。そうか?みんなが困ったら必ずおじさんが助けてやるぞ?正義のヒーローだからな!」
そういうと彼は笑顔で笑う。そうか……彼は盾騎士じゃなきゃいけないんだ。オレはその場で固まってしまう。彼は守るべきものがあるからずっと盾騎士だったんだ。それが彼の信念なんだ。
そのあとオレたちはギルドに戻り、ジェシカさんは受付の仕事へ、オレは自室に戻って書類整理をしていると、扉からノック音が聞こえる。
コンッ コンッ
「エミルくん。少しいいですか?」
「リリスさん。どうかしました?」
「はい。冒険者に興味ないエミルくんにお伝えしたいことがありまして」
冒険者に興味ないは余計なんですがリリスさん。オレがそういう顔をしていると彼女は続ける。
「ここで問題です。冒険者ランクをCにするにはどのくらい依頼を達成する必要があるでしょうか?」
「えっと……確かFからDが大体依頼を100回とかじゃなかったっけ?あれ?違ったかな……」
「そうですね。正解は、1000回以上の依頼達成が必要になります。ちなみにCからBは3000回程度ですね。もちろん受ける依頼の難易度や功績などでも変化はしますから絶対はありません。それとB以上は依頼だけではなく信頼や実績も考慮されます。まぁ私はSランクの冒険者なんですけどね。」
なにドヤ顔してんだリリスさんは?……すごく可愛いんだけどさ。
「それは分かりましたが、なぜそれをオレに?」
「さぁ……なぜですかね?どこかの不遇なジョブの方なら、今まで律儀にその回数の依頼をこなしてるかもしれませんね?ふふふ」
リリスさんは不敵な笑みを浮かべながら部屋を出ていく。それならエドガーさんは相当な場数を踏んでいるはずだ。ならオレがやるべきことはひとつしかない!これは、ギルド『フェアリーテイル』にとってプラスになる。そう思いながら無意識に拳を握りしめるのだった。
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