【絶対攻略不可?】~隣の席のクール系美少女を好きになったらなぜか『魔王』を倒すことになった件。でも本当に攻略するのは君の方だったようです。~

夕姫

99. 一撃必殺

99. 一撃必殺



 花火大会の帰り道。オレと咲夜さんはいつものごとくお互い言葉をかわすこともなく歩く。しかし握られた手が離れることはなかった。

 そして家に帰り、いつものように過ごす。花火大会でのキス。あれは花火と共に儚く消えたかのようだ。そうして夜も更けていく……。オレはリビングでテレビを見ている、ちなみに咲夜さんは布団でスマホをいじっていた。

「あら?茜ちゃんからだわ。花火大会に来てたみたいね。写真が来たわよクラスの女子たちの」

 マジ?鉢合わせにならなくて良かったよな……茜はともかく他のクラスメートの女子には咲夜さんと付き合っていることを言ってないし。バレたら大変だった。まぁいつかはバレることくらいは覚悟はしているけどな。

「へえー、みんな浴衣だね~可愛いわ」

 咲夜さんが送られてきた写真をまじまじと見つめる。そこにはクラスの女子たちが映っている。

「ねぇ颯太君?そう言えば、学校での私と今の私とどっちが好き?」

 唐突にそんなことを聞いてくる咲夜さん。学校ではクール系美少女モブキャラ生徒Aで、家での彼女はとても積極的である。

「おかしなこと聞くな咲夜さんは。どっちも好きだよ。どっちも咲夜さんだろ?」

「……うん。颯太君。私あなたのそういう所好きよ」

 咲夜さんの顔が近づいてきて唇を奪われる。それは一瞬だったのか長かったのかわからない。ただ心地よくて安心できる時間だったことだけは確かだった。

「……咲夜さん。それ急所狙いだぞ?」

「一撃必殺ってやつかしら?ふふっ」

「まったく……」

 咲夜さんはすごい笑顔だ。本当にオレなんかが付き合っていいのか分からないくらい可愛い。

 こうして花火大会の夜は終わりを迎えた。夏休みも残り少し。咲夜さんとの思い出を、この夏を大事にしていこうと思うオレであった。

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