【絶対攻略不可?】~隣の席のクール系美少女を好きになったらなぜか『魔王』を倒すことになった件。でも本当に攻略するのは君の方だったようです。~

夕姫

95. 古代魔法

95. 古代魔法



 今日は花火大会。時間は夕刻。咲夜さんの浴衣に着替えている最中だ。咲夜さんが着ているのはオレンジの生地に白い花柄をあしらった浴衣。帯も白で合わせており、髪も綺麗に結い上げている。

「どうかしら?私には明るすぎないかしら?」

「そんなことないよ。オレが思っているイメージ通りだ。やっぱり咲夜さん、似合ってるよ」

「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいわ」

 咲夜さんは嬉しそうに微笑んだ。本当に可愛い。こんなに可愛い子がオレの彼女だなんて夢みたいだな……。

「どうしたの?颯太君?」

「あっいやなんでもないよ」

 いけないいけない!つい見惚れてしまっていた。

「さてとそろそろ行こうか」

「えぇ行きましょう」

 花火会場である河川敷までは歩いて20分ほどの距離だ。途中、屋台が並んでいる場所を通っていく、祭り特有の雰囲気があっていいものだ。

「さて、ここからは戦闘になるわね。反乱軍の砦を一つ一つ確実に落としていきましょう!そして目的の彩り輝く古代魔法を目に焼き付けないとね!」

「へ?」

 また、なんかいきなり変なこと言い出したぞ。反乱軍の砦って屋台の事だろうな……。彩り輝く古代魔法は花火の事か。

 ようは、時間いっぱい屋台を回ってから花火を見ようってことか。

「あっまずはあのお面屋からいきましょう。ほら早く行くわよ!」

「ちょっちょっと待ってよ咲夜さん!」

 オレ達はお面屋に立ち寄ると咲夜さんは狐のお面を買った。

「ふぅ……これで完璧ね」

「何が完璧なんだ……」

「もちろんこの格好よ。狐のお面は呪い耐性があるから!安心よね!」

 呪いって……そんな物騒な場所じゃないけどな……。そう思っていると咲夜さんに呼ばれる。

「コンコンッどう?可愛いかしら?」

 そう言って咲夜さんは右手で狐のポーズをとった。その仕草はとても可愛くて思わずドキッとした。

 オレ……咲夜さんが可愛すぎて、まだ序盤の反乱軍の砦で体力をほとんど持ってかれたよ……。こうしてオレと咲夜さんの花火大会が始まるのだった。

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