【絶対攻略不可?】~隣の席のクール系美少女を好きになったらなぜか『魔王』を倒すことになった件。でも本当に攻略するのは君の方だったようです。~

夕姫

86. 魔王軍との30日戦争

86. 魔王軍との30日戦争



 今日は昼間からリビングで夏休みの宿題をやることにしている。咲夜さんはあまり乗り気じゃないけど。

「……」

 黙々と問題集を進める。ふと目の前にいる咲夜さんを見るとオレのことをじっと見つめている。オレは手を止める。

「どうした?わからないところでもあった?」

「……ううん、そうじゃなくてね。やっぱり颯太君は後衛なのね?スキルに適性がある人はいいわね」

 ……とか変な言い訳して夏休みの宿題やらないつもりじゃないか咲夜さん。まぁ確かに夏休みだし遊びたいその気持ちもわかるんだけどさ。

「今回も魔王軍との30日戦争だものね。まだ時間はあるし大丈夫よね?」

 魔王軍との30日戦争。夏休みをそう呼んでいるのは今生存している人類で咲夜さんだけだよ。間違いなくね。

「咲夜さん。後回しにすると終わらなくなるぞ?ほら早く」

「むぅ……わかったわよ……」

 渋々宿題を始める咲夜さん。この様子だとやる気はあるみたいだから安心した。

「ねぇ颯太君?」

「ん?」

「ご褒美ほしいわ。宿題終わったら」

 すると咲夜さんはすごく可愛い顔で見つめてくる。そんな上目遣いで見ないでくれ!可愛いすぎるだろうが!!でもここで負けちゃだめだ。

「いやー、何のことかな?」

「もう颯太君ったら。分かってるくせに?」

 ぐっ……。これは完全に読まれてるな。というか咲夜さんがこんなに積極的になるなんて珍しいな。いつもはもっとこう、恥じらいというものがあるはずなのに。

「仕方がないな……。わかったよ。その代わりちゃんと終わらせてからだぞ?」

「ふふ。言ったわね颯太君?後悔しないでよ?」

 ……待て待て。後悔することはしたくないぞ?こうしてオレ達は宿題を進めていくのであった。そしてなんとか予定より早く終わらせることができたのである。

 あれから数時間後、やっと宿題が終わった咲夜さんがやってきた。約束通りご褒美をあげることにしたのだ。といっても何をすればいいのかわからない。なのでとりあえず咲夜さんのしたいことをすることにした。

「それで咲夜さんは何をしてもらいたいんだ?」

「えっとね……。手料理が食べたいわ。」

「……明日食べれるけど?」

「今日食べたいのよ!ご褒美くれるって言ってたじゃない!」

 顔を赤くしながら言ってくる。あー、そういうことか。咲夜さんはただ料理を作りたくないだけか……。

「……咲夜さん。作りたくないだけだろ?」

「そ、そんなわけないでしょ?颯太君がご褒美くれるって言ったから」

 図星だったらしい。わかりやすい人だなほんとに。そんなところも可愛いんだけどさ。

 こうしてオレはせっかく決まったギルドの決まりごとを破らせることになった。まぁたまにはこういう日があってもいいよな?

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