【絶対攻略不可?】~隣の席のクール系美少女を好きになったらなぜか『魔王』を倒すことになった件。でも本当に攻略するのは君の方だったようです。~

夕姫

55. サンダーボルト

55. サンダーボルト



 外はかなりの大雨。しばらくすると雷も鳴るらしいと天気予報で言っていたよな。夜なのに珍しいこともあるもんだな。そんなことを考えていると突然部屋の扉がノックされる。

「颯太君……まだ起きてる?」

「咲夜さん?」

 オレは部屋の扉を開ける。するとそこには下を向いて俯いた咲夜さんがいた。心なしかなんとなくモジモジしてるような気がする。

「どうしたんだ、咲夜さん」

 そう聞くと、彼女は顔を上げて言った。

「……その……大賢者ウェザーの予言だと、この後サンダーボルトが唱えられるんでしょ?この東京に。」

「え?あーそうみたいだな」

「私は前衛だし、魔法に耐性ないから……その……一緒に寝てほしいわ。お願い颯太君は仲間だものね!」

「えっ!?」

 咲夜さんの発言に驚く。まさかこんなことを言うなんて思いもしなかったからだ。でもよく見たら確かに枕を手に持っている。

「お願い……。一人じゃ怖いし、それに雷が鳴る中一人でいるのは嫌なの!」

 雷って普通に言ってるなぁ咲夜さん。サンダーボルトは大袈裟だけど、なんとなく意味は分かるから今回はすぐわかった。でも少し涙目でお願いしてくる咲夜さん可愛い。

「……わかったよ。でも、ベッド一つしかないんだけど……」

「それなら大丈夫!私が床で寝れば問題ないから!」

「いや、それは流石にダメだろう。体痛めるぞ?オレが床で寝るから」

 とりあえず咲夜さんを部屋に入れる。しかし……心臓がヤバい。めちゃくちゃ緊張する。

「ありがとう、颯太君」

 オレは予備の布団を取り出し床に敷くことにする。その間咲夜さんはスマホを見たりしていた。なんかいつも通りのリビングの光景すぎて逆に安心感がある。

 そうだ、変なこと考えなきゃ何も問題ない。平常心だ。

 結局、咲夜さんに押しきられ、オレがベッドで咲夜さんが床に寝ることになった。

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