【絶対攻略不可?】~隣の席のクール系美少女を好きになったらなぜか『魔王』を倒すことになった件。でも本当に攻略するのは君の方だったようです。~

夕姫

38. 魔王軍の進撃 ~過去を改変する刺客~

38. 魔王軍の進撃 ~過去を改変する刺客~



 魔王軍の進撃(?)も残り歴史と英語だけになった。さっきの物理は大丈夫そうだったけど、依然として咲夜さんが心配なのは変わらない。隣の席の咲夜さんはまた寝ているし……。

 オレはさっきと同じくメッセージを送ろうとすると、反対の隣の席のあいつが話しかけてくる。

「なぁ霧ヶ谷。テストどうよ?次は歴史だろ?オレあんまり得意じゃないんだよなぁ……って聞いてるか?」

 冬馬すまんな。今お前にかまってる暇はないんだよ。オレは半ば冬馬をシカトして咲夜さんにメッセージを送るためにスマホに文字を打ち込む。

「ん?なんだよ誰にメッセージ送ってんだ?彼女でも出来たか?」

「彼女じゃねぇよ!仲間だ!」

「霧ヶ谷。お前何言ってんの?仲間ってなに?」

「うるせぇ!とにかく次の刺客に集中させろよ!」

「何必死になってんだよ……テストごときで?しかも刺客ってなんだ?」

 しまった。つい反射的に言ってしまった。まあ、もういいや。こいつは魔王軍の進撃でやられればいい。無視しよう。

 するとオレがメッセージを送る前に咲夜さんからメッセージがくる。

『仲間。すごく嬉しいわ霧ヶ谷君!そんなゴブリンは軽くあしらって、次の過去を改変する刺客に集中しましょ?私も頑張るわ』

 ゴブリンって咲夜さん……。オレは苦笑いをしながら返信をする。『了解。頑張ろうな!』と。

 そしてテストの時間がやってくる。今回はなぜか咲夜さんはおとなしく寝もせずに問題を解いていた。

 テストが無事に終わり、次々と解答用紙を回収されていく。その後咲夜さんからメッセージが届く。

『お疲れ様。さっきの霧ヶ谷君の言葉が嬉しくてすごくテンション上がったわ!ナイスバフよね!楽勝で倒せたと思うわ!次も頑張りましょ!』

 よくわからないがいつの間にかオレは咲夜さんにバフをかけてたみたいだ。そのメッセージを見てオレは咲夜さんを見る。相変わらずクール。

 なんか咲夜さんの言っていた、2人だけの秘密。すごく楽しそうにしていたのがなんとなく分かる気がする。

 学校では一言も会話をしないモブキャラ生徒AとD。でもスマホのメッセージで繋がる関係。それが今のオレたちなのだと思う。そんな関係がとても心地よく感じた。

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