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アイウエショート

青雨春也

ぬ・ぬりかべ

ぬりかべは、妖怪でいくひとの足を止めては困らせては楽しむという困った妖怪だった。


だが近くに住むカイトという少年はヌリカベを倒そうと目論んでいた。


「おい、ヌリカベ、今日こそお前を倒してやるぞ！」


「そうか、かかってこい！」


ばこぉおん。


「決まったあぁぁあ！」
「久岡カイト選手のパッシンクエース！本日13本目となるエースです。」


「そして、あと一本きめることができれば世界ランキング1位はまちがいなしです。皆さん固唾を飲んでその瞬間を待ちましょう！」


ヌリカベはこのカイトという少年が面白くてたまらなかった。
自分という壁を邪魔なものとしてではなく、ただ、テニスうち壁として自分に向かって打ってきた。
それに対してヌリカベは強烈な一撃を反撃で返し続けた。


あれから15年、少年はどうしているのだろうか。
私という壁に挑み続けてくれた日々は楽しかったな。
結局私の脆いところを見抜かれて撃ち抜かれてしまったな。
あのあとはいまでも残っている。


少年よ、もしお前がいまもテニスで戦っているのだとしたら自分を誇れ！
本当の化け物を倒したお前ならば、本物になりきれていない化け物なんて屁でもないさ。







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