【究極の押し掛けラブコメ】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫

106. 初詣と合図

106. 初詣と合図



 元旦。オレは夏帆と共に近所の神社に初詣に来ている。さすがに人が多いな。

「ねぇ先輩?手を繋ぎましょ?人が多くてはぐれると大変ですし!」

「そうだな」

「ふふっ、やったぁ!先輩との今年最初のデートですね!」

 夏帆が嬉しそうにはしゃぐので、なんだかこっちまで楽しくなってきてしまう。

「おい、あんまり大きな声出すなよ……周りの人に迷惑だろ?」

「あ、すいません……」

 少しシュンとする夏帆だが、すぐにまた笑顔になりオレの手を握る。

「えへへ、こうしてるだけで幸せです」

「そっか……よし、じゃあそろそろ行くぞ?」

 しかし本当に人の数はすごいな……。これだとゆっくり参拝なんてできなさそうだ。お賽銭を投げ入れ、手を合わせると夏帆は何か願い事をしているようだった。

「どうかずっと先輩と一緒にいられますように……と」

「おい。聞こえてるんだが?願い事は口に出さないほうがいいんじゃないか?」

「え?でも今の聞いて先輩が頑張ってくれれば良くないですか?私は先輩と一緒にいたいですし!」

「うーん……そういうもんかねぇ……」

 そんな話をしながら境内を歩いていく。すると、そこには屋台がたくさん出ていた。たこ焼きやクレープなど様々だ。

「先輩、なんか食べましょうよ!私、甘いものが食べたいです!」

「そうだな、せっかくだし食うか。何食べる?」

「うーん……やっぱり定番といえばりんご飴じゃないですか?」

「確かに。じゃあそれにするか」

 屋台に行き、りんご飴を買う。そして近くのベンチに座ってそれを舐める。うん、うまい。

「どうだ?りんご飴ってうまいよな」

「はい、おいしいですよね!甘酸っぱくて!」

「あっ、お前ちょっと口についてるぞ?」

「えっ!?どこですか?」

「ここだよ、ほら」

 そう言ってオレは自分の指で夏帆の口を拭った。

「これで大丈夫……なんだけど?」

 夏帆の顔を見ると真っ赤になっていた。

「せ、せんぱい……その、あの……大胆すぎますよぉ……」

「は?」

「もう!キスしたいの合図ですよね?いやーん。周りの目がありますから我慢してください!帰ったらいっぱいしましょう!ついでに姫はじめとかしちゃいますか!?」

「お前!何言ってんだ!?しかも声がデカイんだよ!」

 うぜぇ。こいつは新年早々オレをイライラさせるな……くそっ……周りの目が痛い……。

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