101.　ちょっとの幸せ

101.　ちょっとの幸せ

「ねぇ先輩！もうすぐ冬休みですね！何します？」

「そういえばそうだな。まぁいつも通り宿題して、あとは……たまにはどこか行くか？」

「え！？いいんですか！？」

「ああ。来年はオレも受験生になると思うし今年くらいしか楽しめないだろう」

「やった！先輩優しい！」

　そう。この1年間で色々あったが、一番の変化はやはりこいつだろう。夏帆と出会ってからは毎日が楽しくて仕方がない。
　今までの人生で一番充実していると言ってもいいかもしれない。大袈裟かもしれないが。

「そう言えば先輩……？クリスマスのこと覚えてますか？あんな大胆な先輩初めてだから私、ドキドキしっぱなしでしたよ！愛を感じました！」

「いちいち言うなよ！」

「えーだって事実じゃないですか～！私嬉しかったんですよぉ～？ダメですかぁ？」

「うるさい！黙れ！」

　ニヤニヤしながらこちらを見てくるので、その口を手で抑える。本当にウザい。でもそんなやり取りすら楽しいと思ってしまう自分がいる。こいつに惚れたオレが悪いんだけどな。

「その前に年越しですよね！一緒に年越ししましょうね！私、年越し蕎麦作りますから！先輩は何食べたいですか？」

「別に何でもいいけど」

「ダメですって！ちゃんと考えてください！」

「じゃあ天ぷらそばかな。お前が作るなら美味いし」

「わっかりました！任せてください！私の愛の天ぷらそば食べさせてあげますからね！」

　夏帆は元気よく返事をする。本当に元気だな。こういうところが可愛いんだよな……。こうして、また1つちょっとした幸せな日々が始まる。来年も、これからもずっと続くといいなって思うのだった。