【究極の押し掛けラブコメ】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫

57. 私は私。だから頑張る私 ~夏帆視点~

57. 私は私。だから頑張る私 ~夏帆視点~



 これは先輩が実家に帰る前日の、私が部屋に戻った時の話である。

「忘れてたよぉ……明日から先輩いないのか……。」

 私はベッドに倒れ込んだ。そしてスマホを手に取り、先輩とのLINEを開いた。そこには私から送ったメッセージが何通か残っていた。

『今日はありがとうございました!楽しかったです!』

『明日もよろしくお願いします(*^_^*)』

『おやすみなさい大好きです先輩(^-^ゞ』

 そのメッセージを眺めながら、私はまたため息をついた。先輩がいない間、何して過ごそうかなぁ……。先輩とは私が実家に帰ったあの日以外会わなかったことがない。毎日一緒にいる。大好きな先輩。私はふと初めて会った時のことを思い出す。

 私がこの部屋に引っ越ししてきて、初めての環境で不安だった私に優しく声をかけてくれたあの言葉……今でも忘れていない。

『同じ学校なのか。どうせ暇だから、お前が良ければ好きな時に遊びにきてもいいぞ』

 その言葉を聞いた時、私は嬉しくなった。次の日、初めて先輩の家に行った。それから毎日のように入り浸るようになった。最初は緊張もしたし、迷惑かもしれないと思っていたけど、先輩は何も言わなかった。ただいつも文句は言うけど迎えてくれていた。

 そんな日々が楽しくて、いつの間にか私は先輩のことが大好きになっていた。もう毎日一緒にいたいと思うくらいに。

「うぅ……寂しいよぉ……」

 こんなことを言ってもしょうがないと思いつつも、つい口に出てしまう。

「私も……先輩の実家に行っちゃダメかなぁ……先輩怒るかな……怒るよね……」

 でも、最後には許してくれる先輩の顔が思い浮かぶ。私は先輩と一緒に過ごしたい。先輩の隣にいたい。先輩の声を聞きたい。先輩の顔を見たい。先輩に触れ合いたい……。

「はぁ……なんか私ってばどんどん欲張りになってきてるなぁ……」

 私は本当に神原秋人先輩が好き。この気持ちは嘘じゃないから。それに先輩は私のことを『ウザい』とか『面倒』とかは言うけど、私のことを『嫌い』と言ったことは一度もない。だから少し期待してしまうの。先輩もきっと私のこと……って。

「よしっ!」

 私は勢いよく起き上がった。いつまでもウジウジしてても仕方ないもんね!

「きっと怒られるだろうな。でも私は会えないのは嫌だ。ワガママでもいい。先輩と一緒にいたいから!」

 私はそのまま2泊3日の荷物を用意し始める。まあ準備と言っても着替えとかだけだけど。せっかくだから先輩のご両親にも挨拶しよう!

 こうして私は押し掛け女房ならぬ押し掛け彼女(仮)になることになったのだった。

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