47.　暑いものは暑い

47.　暑いものは暑い

「あの……先輩？聞いてもいいですか？」

「お前の聞いてもいいですか？は面倒だから嫌なんだが？」

「うぐっ！？で、でも聞きたいです！とても重要なことなんですよぉ！」

「なんだよ重要なことって？」

「先輩って私以外の女子と話すとき緊張してますか？」

「そりゃあ……緊張するかもな」

　オレだって男だ。女性と話したりするのは少し緊張する。別にコミュ障というわけではないのだが、それでも美人すぎる人には弱いのだ。いや、そもそもなんでこいつはこんなことを急に聞くんだ？

「なんでそんなこと聞くんだよ？」

「昨日友達から言われたんですよぉ～『夏帆の彼氏は今でも夏帆に対して緊張するの？なければマンネリになってんじゃない？』って……」

「まず大前提としてオレとお前は付き合ってない。だから別に緊張したりしないだろ。」

「じゃあ私が他の男子と話してても嫉妬しないんですか？」

「まぁそうだな。白石には興味ないし」

「本当にぃ～？」

　そう言って白石はわざとらしく体を密着させてきた。

「お、おいやめろよ……暑苦しい」

「えぇ～いいじゃないですかぁ～？緊張しないんですよね？」

「しねぇけど暑いもんは暑いんだよ！！」

　こいつはウザさのスペシャリストか？どうやったらここまでウザくなれるんだ。

「あれ？先輩～？私には興味ないんですよね？ならこの距離感も平気ですよねぇ？ほらほら、素直になったほうがいいと思いますよ～？」

「うるせぇ！！離れろよ！」

「へっへーん！嫌ですぅ～！」

　それからしばらくオレたちは押し問答を続けて無駄な時間を過ごすことになった。ん？イチャイチャ？白石だからそれはないから。