【究極の押し掛けラブコメ】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫

29. あれだよあれ

29. あれだよあれ



 今日も暑いな……本当にこんな日に外に出るなんて自殺行為だ。オレは部屋のエアコンに当たりながらそう思っている。

「ねぇねぇ先輩!聞いてくださいよ!」

 ただ、こいつはうるさいしウザいし暑苦しいがな。

「なんだよ」

「今日友達に『え?夏帆って付き合ってるのになにもされないのヤバくない?彼氏浮気してるんじゃない?』って言われたんですよぉ~!先輩浮気してるんですかぁ!?」

「なにもされないのはオレがお前とは付き合ってないからだ。わかるか白石?」

「なんでですかぁー!私はちゃんと彼氏彼女だって思ってますよぉー!!」

「オレは思ってないんだよ!」

 こいつは本当にうるさい。ただでさえ暑いというのにこいつがいるせいで余計に暑苦しい。いつものようにスルーするのが一番良い方法なはずだ。

「私ってそんなに女として魅力ないですかね?顔は可愛いし、巨乳じゃないですけど、胸だってありますよね?」

「知らん。勝手に言ってろ」

「むぅ……でも、先輩から何もされないのは悲しいですよ……」

 なんだよこいつは。何が悲しくてオレの前で涙目になるんだよ……。さすがにそこまでされると少しだけ罪悪感を感じるぞ。

「あのな白石。何もしないわけじゃなくてだな、その……あれだよ」

「なんですかあれって?」

「いやだから……ほら、あれだよあれ。わかるだろ?」

「わからないですよ。もっとはっきり言ってくれないと」

 ん?待て待て。なんでオレが気をつかってんだよ。おかしいだろ。なんでオレがこんなに悩まなきゃいけないんだ。くそっ。……もういい。

「なぁ白石。そういうのはそういう時がくれば自然にそうなっていくだろ。オレとお前は今は付き合ってないけど、この先はどうなるかわからないしよ……」

「何がわからないんですか?んん?私わからないなぁ?」

 こいつ……さっきの泣きそうな顔、演技かよ……うぜぇ。ムカつく。

「わかったよ。言えばいいんだろ。オレはお前が気に入らない。今すぐ出ていけ」

「あーん。嘘ですぅ。ごめんなさい。先輩許して?」

「離れろ気持ち悪い」

「ひどい!先輩ったら照れ屋さんですね!」

 ……こいつには何を言っても無駄な気がしてきた。こうして今日もオレは白石に振り回されるのであった。

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