【大賢者の弟子?相棒?】世界の為に尽くした大賢者は転生したらただの『アイアンソード』で草生えたので、とりあえず貴族令嬢を最強にする事に決めました。
18. 導いてあげるだけ
18. 導いてあげるだけ
サーシャとクレアはルグニカの北にあると言われている、年中暗闇に覆われている森、別名『魔女の森』に向かって街道を歩いている。
「うぅ……やっぱり怖いですね……魔女と言えば悪い噂ばかり聞きますし……」
「クレアさん。怖がりすぎですよ。その魔女さんを見た人はドミニクさんの話だといないらしいですし、ただの噂ですよ」
「そ、そうなんですけどね……。あぁ、でも、もし本当に魔女がいたらどうしましょうか……」
魔女。それは、かつての私のような賢者と呼ばれる者とは違った形で魔法を極めし者。人間とは違い寿命も長く、力の強い種族で、多くの国や都市に被害をもたらしてきた存在でもある。
しかし一部の魔女は人間とは関わらず、自由気ままに生きているという。それ故に人間達からは恐れられ、中には悪の権化として討伐の対象とされている者もいるとか……。
「大丈夫ですって!私も一緒にいますから!」
「そうですよね!サーシャさんがいるなら安心です!」
この2人、なんだかんだでもうこんなにも仲良くなったのね。しばらく歩き続けると、遠くに目的の『魔女の森』が見えてきた。そして入り口にたどり着くサーシャとクレア。
「……なんか奥が見えないですね?」
「はい……なんか不気味です……」
「とりあえず中に入りましょう。私が先導しますので、クレアさんはあとに続いてください」
「はい。分かりました」
森の中へ足を踏み入れる。すると途端に視界が悪くなり、まるで夜のように暗くなる。
「あのサーシャさん。私が魔法で灯りを作ります」
「そんなことできるんですか!?」
「私の光魔法ならこれくらいできますよ。『ライト』!」
クレアは光魔法の『ライト』を発動し、小さな光の玉を作り出す。これで周りを見渡せるようになった。
ふむ。『ライト』か。懐かしいわね。私も初めて魔法を使った時はこの魔法から練習したものよ。まぁ、私はすぐに別の魔法を覚えてあまり使わなかったんだけどね。
その後もサーシャ達はどんどん先へ進む。しかし一向に何も出てこない。魔物の姿すら見えず、静かな時間だけが過ぎていく。おかしいわね。これだけ広い森なのに何もないなんて。やはり魔法の類いだったのかしら?
「あ、あれサーシャさん?ここはさっき通りませんでしたっけ?」
「え?クレアさん。今通ってきた道は一本道なんですよ?間違えるはずがないと思いますけど……」
「いえ。ここはさっき通りました。間違いありません」
クレアはそう断言する。絶望的な方向音痴のサーシャはともかく、クレアは嘘を言っているようには見えない。
「とりあえず少し休みませんかクレアさん。私疲れちゃいました」
「そうですね。じゃあそこの木陰で休みましょうか」
2人は近くにあった大きな木の根元に座って休憩をとる。その間も辺りを警戒しているが、特に怪しい気配はない。これは完全に罠にハマったわね。
「ん~!気持ちいい風!」
「ふぅ……。本当に静かですね……。何か出てきそうなくらい静かですけどね……」
「クレアさん……怖いこと言わないでください!」
こらクレア。変なフラグ立てない。ほら、サーシャもビクッとしたじゃない。しかしそのおかげでサーシャは警戒して私を握りしめる。……サーシャ。少し魔力を借りるわよ。
私はそのまま魔法で周囲を確認することにした。ーー……あったわね。やっぱり結界か。しかもかなり強力なものみたいだけど、私には関係ないわ。
《我願う。その輝きを以て魔を退けよ!『アンチシールド』》
魔法を発動させると、今まで木々で覆われていた場所に新しい道が出現する。ふふん。大賢者の私にかかればこんなものよね?そしてそれにサーシャが気づく。
「ん?あれ?あんなところに道なんてありましたかクレアさん?」
「え?確かになかったと思うのですが……。でも、サーシャさんの言うとおり道がありますね」
「もしかして……アイリス様が導いてくれたのかな?」
サーシャは私を握りしめながら見つめる。そんな可愛い顔を向けられても、私は何も言わない。
「まただんまりか。……でもきっとそうだよね。とりあえずあの道に行ってみましょうクレアさん。アイリス様が導いてくれますから!」
「はい!」
サーシャとクレアは道を通って進んでいく。私は自分の正体が知られるかもしれないという少しの葛藤はあるけど、サーシャが決めたことなら反対するつもりはない。だから私はただ黙って、剣の精霊として導いてあげるだけだから。
サーシャとクレアはルグニカの北にあると言われている、年中暗闇に覆われている森、別名『魔女の森』に向かって街道を歩いている。
「うぅ……やっぱり怖いですね……魔女と言えば悪い噂ばかり聞きますし……」
「クレアさん。怖がりすぎですよ。その魔女さんを見た人はドミニクさんの話だといないらしいですし、ただの噂ですよ」
「そ、そうなんですけどね……。あぁ、でも、もし本当に魔女がいたらどうしましょうか……」
魔女。それは、かつての私のような賢者と呼ばれる者とは違った形で魔法を極めし者。人間とは違い寿命も長く、力の強い種族で、多くの国や都市に被害をもたらしてきた存在でもある。
しかし一部の魔女は人間とは関わらず、自由気ままに生きているという。それ故に人間達からは恐れられ、中には悪の権化として討伐の対象とされている者もいるとか……。
「大丈夫ですって!私も一緒にいますから!」
「そうですよね!サーシャさんがいるなら安心です!」
この2人、なんだかんだでもうこんなにも仲良くなったのね。しばらく歩き続けると、遠くに目的の『魔女の森』が見えてきた。そして入り口にたどり着くサーシャとクレア。
「……なんか奥が見えないですね?」
「はい……なんか不気味です……」
「とりあえず中に入りましょう。私が先導しますので、クレアさんはあとに続いてください」
「はい。分かりました」
森の中へ足を踏み入れる。すると途端に視界が悪くなり、まるで夜のように暗くなる。
「あのサーシャさん。私が魔法で灯りを作ります」
「そんなことできるんですか!?」
「私の光魔法ならこれくらいできますよ。『ライト』!」
クレアは光魔法の『ライト』を発動し、小さな光の玉を作り出す。これで周りを見渡せるようになった。
ふむ。『ライト』か。懐かしいわね。私も初めて魔法を使った時はこの魔法から練習したものよ。まぁ、私はすぐに別の魔法を覚えてあまり使わなかったんだけどね。
その後もサーシャ達はどんどん先へ進む。しかし一向に何も出てこない。魔物の姿すら見えず、静かな時間だけが過ぎていく。おかしいわね。これだけ広い森なのに何もないなんて。やはり魔法の類いだったのかしら?
「あ、あれサーシャさん?ここはさっき通りませんでしたっけ?」
「え?クレアさん。今通ってきた道は一本道なんですよ?間違えるはずがないと思いますけど……」
「いえ。ここはさっき通りました。間違いありません」
クレアはそう断言する。絶望的な方向音痴のサーシャはともかく、クレアは嘘を言っているようには見えない。
「とりあえず少し休みませんかクレアさん。私疲れちゃいました」
「そうですね。じゃあそこの木陰で休みましょうか」
2人は近くにあった大きな木の根元に座って休憩をとる。その間も辺りを警戒しているが、特に怪しい気配はない。これは完全に罠にハマったわね。
「ん~!気持ちいい風!」
「ふぅ……。本当に静かですね……。何か出てきそうなくらい静かですけどね……」
「クレアさん……怖いこと言わないでください!」
こらクレア。変なフラグ立てない。ほら、サーシャもビクッとしたじゃない。しかしそのおかげでサーシャは警戒して私を握りしめる。……サーシャ。少し魔力を借りるわよ。
私はそのまま魔法で周囲を確認することにした。ーー……あったわね。やっぱり結界か。しかもかなり強力なものみたいだけど、私には関係ないわ。
《我願う。その輝きを以て魔を退けよ!『アンチシールド』》
魔法を発動させると、今まで木々で覆われていた場所に新しい道が出現する。ふふん。大賢者の私にかかればこんなものよね?そしてそれにサーシャが気づく。
「ん?あれ?あんなところに道なんてありましたかクレアさん?」
「え?確かになかったと思うのですが……。でも、サーシャさんの言うとおり道がありますね」
「もしかして……アイリス様が導いてくれたのかな?」
サーシャは私を握りしめながら見つめる。そんな可愛い顔を向けられても、私は何も言わない。
「まただんまりか。……でもきっとそうだよね。とりあえずあの道に行ってみましょうクレアさん。アイリス様が導いてくれますから!」
「はい!」
サーシャとクレアは道を通って進んでいく。私は自分の正体が知られるかもしれないという少しの葛藤はあるけど、サーシャが決めたことなら反対するつもりはない。だから私はただ黙って、剣の精霊として導いてあげるだけだから。
コメント