【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~
99. 前奏曲(プレリュード) ~マルセナside~
99. 前奏曲(プレリュード) ~マルセナside~
聖女マルセナは王都へ向かって歩いているが、足取りは重い。精神的なものもあるのかもしれない、それでも前に進まなければ一生後悔することになるだろう…… マルセナはそんなことを考えながら王都にたどり着いた。
街の入り口には幸い兵士がいない。おかしいとは思いつつも中に入っていく。するとどうだろうか?いつもなら人が大勢行き交っているはずの大通りを歩いても誰もいないのだ。
そして何より人がいないからこそ気づくことができた。マルセナは咄嵯に身を隠し様子を伺うことにした。すると二人の若者が歩きながら話している。
「あれ大広場だよな?夕方からの?」
「王子たちの処刑だろ?何でも国王直々にやるらしいぞ?」
その言葉を聞いた瞬間、マルセナは自分の耳を疑った。聞きたくない言葉だった。
(処刑…ライアン、みんなが!?)
早く助けに行かなければ、でもどうやって?私はもう…聖魔法が使えない。それでも…今のマルセナには考える余裕はなかった。アリーゼは同じ状況なら間違いなく飛び出して助けに向かうだろう。でもそんな勇気は私にはない。誰か勇気を与えてほしい……。
~過去~
今日はアリーゼと共に聖女祭を楽しむために街に出かけている。街の人たちは忙しそうにしている。それは何故かというと、この街の一大イベントだからである。特に子供にとっては楽しみで仕方がないみたい。
私たちが主役のお祭り。特にアリーゼはわくわくしながら出掛けている。今日は孤児院にも顔を出す予定なので、子供たちとも一緒に遊ぶつもりだ。最近は色々と忙しかったからなかなか遊びに行くことができなかったけど、ようやく時間ができた。久しぶりの街はとても賑やかで、活気がある。
「やっぱりお祭りはいいのですね。」
「そうね。私たちも楽しまないとね。」
「そうなのです!来年は聖女祭ではなくまた、カトリーナ教会の巡礼祭になるのです!」
今年の聖女祭は私の就任を祝ってのことらしい。色々予算とかがあったみたいだけど何とか無事に開催することができた。
「マルセナ。聖女祭はどうです?」
「はい。とても素晴らしいと思いますわ。」
私は素直に感想を言う。それを聞いたアリーゼも嬉しそうだ。しばらく屋台などをまわり、街の広場のベンチで休むことにする。私はずっとアリーゼに聞きたいことがあったので、いい機会だから聞いてみることにした。
「アリーゼ。あのひとつ聞いていいかしら?」
「どうぞなのです。」
「アリーゼは困難なことがあって無理だと思うことがあったら聖女としてどうします?」
もしそうなってしまったら?聖女としての役目を全うできるのか?そもそも私に務まるのか?不安なことだらけだった。だから答えを知りたかった。
質問の意図を理解したようで、考えずにすぐにアリーゼは言った。
「簡単なのです。私は自分を信じて行動を起こすだけなのです。」
「信じる……」
「私は私らしくあることが大切なのだと思ってるのです。もちろん周りの人の力を借りることもあると思うのです。でも最終的には自分が頑張ることが一番大事なのです。その行動を必ず大聖女ディアナ様は見てくれているのです!」
その通りだと思った。きっと私は怖かったんだろう。自分の力が足りなくて何もできないかもしれないことを。でも違った。確かに足りないことはたくさんあったけど、それ以上に私ができることをするべきなんだ。たとえそれがどんな結果になろうとも…… 
~現在~
王都の大広場。だから街の住人はほとんどいないのか。マルセナはあの時のアリーゼの言葉を思い出す。私は私らしくあることが大切。そうだ私ができることをするべきなんだわ。ここで後悔するくらいなら死んだほうがマシよ!マルセナは覚悟を決め、大広場へ走り出す。
大通りを抜けて、階段を駆け上がり、大広場の近くまでたどり着く。しかしそこのあたりからはさすがに兵士の姿があり近づくことができない。
「何か手はないかしら…」
すると1人の兵士がマルセナに気づく。
「ん?お前は聖女マルセナ!?」
その声を聞き、もう1人の兵士もこちらを見る。そして武器を構えながら近づいてくる。
マルセナは思わず身構えてしまうが、なんとか平静を保つ。もう聖魔法は使えない…でも、こんなところで捕まるわけにはいかない!とりあえずその場から逃げ出す。兵士2人は追いかけてくる。
このままでは追いつかれてしまう。その時だった。目の前に黒いローブの少女がこっちに向かって走ってくるのが見える。
「伏せるのじゃ!!」
「えっ!?」
その瞬間、轟音と爆炎と共に辺り一面が煙に包まれる。そしてその少女は自分の腕を掴み走り出す。しばらく走った後、立ち止まり振り返り言う。そこには先ほどまでの光景はなく、ただ焼け焦げた地面と兵士たちが倒れていた。
「はぁはぁ…あのあなたは?」
「ワシはロゼッタ=ロズウェルじゃ。金髪の巻き毛。お主が聖女マルセナじゃな?ワシについてくるのじゃ。」
そういうと再び歩き出した。ここにいても捕まってしまう。
『大聖女ディアナ様は見てくれている』
マルセナはこの少女に望みを託して黙ってついて行くことにしたのだった。
聖女マルセナは王都へ向かって歩いているが、足取りは重い。精神的なものもあるのかもしれない、それでも前に進まなければ一生後悔することになるだろう…… マルセナはそんなことを考えながら王都にたどり着いた。
街の入り口には幸い兵士がいない。おかしいとは思いつつも中に入っていく。するとどうだろうか?いつもなら人が大勢行き交っているはずの大通りを歩いても誰もいないのだ。
そして何より人がいないからこそ気づくことができた。マルセナは咄嵯に身を隠し様子を伺うことにした。すると二人の若者が歩きながら話している。
「あれ大広場だよな?夕方からの?」
「王子たちの処刑だろ?何でも国王直々にやるらしいぞ?」
その言葉を聞いた瞬間、マルセナは自分の耳を疑った。聞きたくない言葉だった。
(処刑…ライアン、みんなが!?)
早く助けに行かなければ、でもどうやって?私はもう…聖魔法が使えない。それでも…今のマルセナには考える余裕はなかった。アリーゼは同じ状況なら間違いなく飛び出して助けに向かうだろう。でもそんな勇気は私にはない。誰か勇気を与えてほしい……。
~過去~
今日はアリーゼと共に聖女祭を楽しむために街に出かけている。街の人たちは忙しそうにしている。それは何故かというと、この街の一大イベントだからである。特に子供にとっては楽しみで仕方がないみたい。
私たちが主役のお祭り。特にアリーゼはわくわくしながら出掛けている。今日は孤児院にも顔を出す予定なので、子供たちとも一緒に遊ぶつもりだ。最近は色々と忙しかったからなかなか遊びに行くことができなかったけど、ようやく時間ができた。久しぶりの街はとても賑やかで、活気がある。
「やっぱりお祭りはいいのですね。」
「そうね。私たちも楽しまないとね。」
「そうなのです!来年は聖女祭ではなくまた、カトリーナ教会の巡礼祭になるのです!」
今年の聖女祭は私の就任を祝ってのことらしい。色々予算とかがあったみたいだけど何とか無事に開催することができた。
「マルセナ。聖女祭はどうです?」
「はい。とても素晴らしいと思いますわ。」
私は素直に感想を言う。それを聞いたアリーゼも嬉しそうだ。しばらく屋台などをまわり、街の広場のベンチで休むことにする。私はずっとアリーゼに聞きたいことがあったので、いい機会だから聞いてみることにした。
「アリーゼ。あのひとつ聞いていいかしら?」
「どうぞなのです。」
「アリーゼは困難なことがあって無理だと思うことがあったら聖女としてどうします?」
もしそうなってしまったら?聖女としての役目を全うできるのか?そもそも私に務まるのか?不安なことだらけだった。だから答えを知りたかった。
質問の意図を理解したようで、考えずにすぐにアリーゼは言った。
「簡単なのです。私は自分を信じて行動を起こすだけなのです。」
「信じる……」
「私は私らしくあることが大切なのだと思ってるのです。もちろん周りの人の力を借りることもあると思うのです。でも最終的には自分が頑張ることが一番大事なのです。その行動を必ず大聖女ディアナ様は見てくれているのです!」
その通りだと思った。きっと私は怖かったんだろう。自分の力が足りなくて何もできないかもしれないことを。でも違った。確かに足りないことはたくさんあったけど、それ以上に私ができることをするべきなんだ。たとえそれがどんな結果になろうとも…… 
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王都の大広場。だから街の住人はほとんどいないのか。マルセナはあの時のアリーゼの言葉を思い出す。私は私らしくあることが大切。そうだ私ができることをするべきなんだわ。ここで後悔するくらいなら死んだほうがマシよ!マルセナは覚悟を決め、大広場へ走り出す。
大通りを抜けて、階段を駆け上がり、大広場の近くまでたどり着く。しかしそこのあたりからはさすがに兵士の姿があり近づくことができない。
「何か手はないかしら…」
すると1人の兵士がマルセナに気づく。
「ん?お前は聖女マルセナ!?」
その声を聞き、もう1人の兵士もこちらを見る。そして武器を構えながら近づいてくる。
マルセナは思わず身構えてしまうが、なんとか平静を保つ。もう聖魔法は使えない…でも、こんなところで捕まるわけにはいかない!とりあえずその場から逃げ出す。兵士2人は追いかけてくる。
このままでは追いつかれてしまう。その時だった。目の前に黒いローブの少女がこっちに向かって走ってくるのが見える。
「伏せるのじゃ!!」
「えっ!?」
その瞬間、轟音と爆炎と共に辺り一面が煙に包まれる。そしてその少女は自分の腕を掴み走り出す。しばらく走った後、立ち止まり振り返り言う。そこには先ほどまでの光景はなく、ただ焼け焦げた地面と兵士たちが倒れていた。
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「ワシはロゼッタ=ロズウェルじゃ。金髪の巻き毛。お主が聖女マルセナじゃな?ワシについてくるのじゃ。」
そういうと再び歩き出した。ここにいても捕まってしまう。
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