【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

98. 序曲(オーバーチュア) ~アリーゼside~

98. 序曲(オーバーチュア) ~アリーゼside~




 私とミルディは馬車を走らせユトナ聖橋を目指しているのです。時間の猶予は刻々と迫っているのです。私はふと馬車の窓から外を見る。遠く遠くに私がいたカトリーナ教会が見える。ずいぶん懐かしいのです。私は16歳の時に「聖痕」が発現し、それからカトリーナ教会の聖女として任を与えられたのです。ふとマルセナの事を思う。私とマルセナの出逢いは今日のようなすみわたる青空が広がった晴れの日でしたから。




 ~1年前~
 カトリーナ教会。セントリン王国を代表する古い教会なのです。今日は新しい聖女様が来てくれるので凄く楽しみなのです!私の先輩聖女様方はみんなご結婚されて聖女を辞め。今カトリーナ教会の聖女は私だけなのです。だから一緒に聖女として頑張れる人がいると思うだけで心強いのです!そんな事を考えていたらあっという間に時間が経ってしまったようなのです。

「あっもうこんな時間なのです!」

 気づけばもう到着していたのです。早く着いたならお出迎えをしなければならないのです。私は急いで正門に向かう事にしました。

 するとちょうど正面から馬車が来るのが見えました。あれ?この紋章って………… そしてその馬車からは1人の少女が出てきました。

 あの紋章は貴族紋?そう言えばオイゲン大司教が新しい聖女は貴族様と言ってましたね。

「ごきげんよう。マルセナ=アステリアですわ。これからよろしくお願いしますわ」

 ほえー。綺麗なのです。とても美人さんなのです。この子が新しい聖女様なのですね。とりあえず挨拶をしないといけないですね。

「こんにちは。アリーゼ=ホーリーロックなのです。」

 私も自己紹介をしてお互い握手をする。そして私は思ったのです。この子は多分いい子だと。私の直感はよく当たるのですよ。こうして私たち二人の聖女としての生活が始まったのです。

 数日マルセナの仕事を見ていた私は彼女の仕事ぶりを見ていて気づいたことがあるのです。それは彼女は相当な努力家で出来ない事があっても次に同じ仕事をすると完璧にこなしているのです!凄いのです!

 マルセナは天才肌で凄く努力をする子だと思います。だから覚えも早いのでしょう。でも私はそれを上回ろうと密かに決意するのです。これは負けられない戦いなのです。

(何としても私が先輩の聖女としてみっともないところを見せれないのです)


 そんなある日のことです。


 朝起きて身支度を整えた後、朝食を食べようと食堂に行く途中、ろから声をかけられたのです。振り向くとそこにはマルセナがいましたので朝の挨拶を交わすのです。

「おはようございますなのです。今日もいい天気なのです。ところで今日は何時からお祈りがあるのでしたっけ?」

「はい。今日は8時30分から礼拝がありますわ。それまでには礼拝堂に行かないとなりませんわ。」

「そうなのですか!?︎急がないと大変なことになるのです!」

 それを聞いたマルセナは不思議そうに私に聞いてくるのです。

「えっ?まだ6時…全然時間があると思いますわ。」

「お掃除をしないといけないのですから!あとお花の水やりもあるのです。それから薪割りもしておかないとなのですね…水汲みと畑で野菜の収穫もあるのです!」

「えっと…アリーゼ様…それは…聖女の仕事なんですの?」

「違うのです。私の日課なのです。それでは礼拝堂で。」

 そう言って私は駆け出すのです。まず最初にするのは花壇のお手入れなのです。ここは私にとって思い出深い場所なのです。ここに初めてマルセナを案内したら初めて笑顔を見せてくれたのです。そしてあの白い小さなアストラムの花を気に入ったみたいなのです。

 それにその時はまだマルセナは聖女の任を受けたばかりで右往左往していた頃だったのです。次に薪割り場へ行って薪を割るのです。

 これもまた大切な仕事の一つなのです。これをしないとご飯が食べられないのです。

 次は厨房に行って水を汲みます。この井戸の水はとても冷たいので冬は特に大変なのです。

 その後は裏庭にある畑に行き野菜の収穫を行うのです。これが一番時間がかかる作業なのです。そして最後に礼拝堂へ行きお祈りを捧げるのです。ここで私はいつもある事をしています。それはお祈りの時間を使ってマルセナの事を考える事なのです。

(昨日もマルセナは凄かったのです。私は聖女として彼女と同じように頑張れているのですかね?今日は私も頑張らないとなのです!)

 お祈りが終わるとマルセナと一緒にお昼を食べるのです。お昼は朝収穫した野菜の簡単なサンドイッチなのです。

「マルセナ。その野菜は朝収穫したものなのです!絶対美味しいのですよ!」

「はい。とても新鮮ですわね。それにこのソースが絶品ですわ!」

「それはマーシャさん特製のトマトケチャップなのです!凄いのですよ!」

「まぁ。この赤いスープのような物がですか?少し味見してもよろしいかしら?」

 私はコクりと首を縦に振る。するとマルセナはスプーンを使い一口食べる。すると驚いた顔をして一気に食べてしまったのです。どうやら気に入ってくれたみたいですね。

 昼食後、マルセナはお祈りの準備をするので私はその間お掃除をするのです。お掃除が終わったら次は礼拝堂の祭壇の用意をするのです。これは二人でやるのが恒例になっているのです。そして準備が終わった後は一緒にお祈りをするのです。

 そしてその後マルセナは勉強の為に図書室へ行くので私は自室に戻り大好きな読書を始めるのです。

 マルセナは聖女に必要な知識の他に様々な学問も学んでいます。その努力家ぶりに私は尊敬するのです。

 私もマルセナのように頑張って聖女としての務めを果たすのです!

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