【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

80. お宝鑑定

80. お宝鑑定



 中級ダンジョン攻略に挑戦し、そのダンジョンの最奥で狂暴種と呼ばれる類の黒い虎(?)らしき魔物を倒した私たちはその部屋の奥にある宝箱の前にいるのです。念願のボスドロップが期待できそうなのです! そしてこの部屋の扉には鍵はかかっていなかったのですよ…… さてさて何が入っているのですかね? とりあえず開ける前に罠があるかどうかを確認してからですねー。

「こういう時は罠があるか確認したほうがいいのです!確か「鑑定」や「危険察知」の魔法があったのです。本に書いてあったのです!」

「そうだけど…誰かその魔法使える人いるの?」

「ソフィアさんの魔法はどうなの?」

「私ですか?正直、風魔法にそういう類いの魔法はありますがやったことないですね…」

 なら今ここで練習するべきなのです! そんなソフィアのために私は「世界書庫」でおそらく読んだことがあるであろう魔法書を探し、その本のページをめくる。

【宝箱の罠を魔法で調べる方法】
 1.対象の宝箱に対して鑑定を行いたい場合、自分が鑑定したいものを頭に思い描きながら宝箱に手を置いてください。
 2.すると手が少し温かく感じられます。
 3.この後のやり方は各属性魔法により異なります

【火属性魔法での鑑定方法】
 1.宝箱に触れている手に熱を感じ始めます。
 2.その後、徐々に光が強くなり視界を遮るほどになったら手を離します。
 3.すると、宝箱の中の部分だけが残り、それ以外は消え去っています。

【水属性魔法での鑑定方法】
 1.宝箱に手を当てたまま、水が溢れてくる光景を思い浮かべます。
 2.すると次第に宝箱が薄く透けていき、中に入っているものが見えてきます。
 3.さらに意識を向けることで中にあるものの詳細まで知ることが出来ます。

【風属性魔法による鑑定方法】
 1.魔法陣を書き、その上に対象となるものの絵を描いておきます。
 2.そのあとに風が発生するような状況を想像して、自分の魔力を込めます。
 3.すると、風が起こり始めだんだんと強くなるのを感じたら成功です。

【土属性魔法による鑑定方法】
 1.魔法陣を描き、そこに何かが地面に埋まった情景をイメージして、魔力を流し込みます。
 2.相手の情報が頭に浮かぶように強く念じることで鑑定が可能
 です。
 3.この方法は熟練度次第で鑑定できる宝箱の大きさが変わるので注意が必要です。

 なるほどなのです。ということはどんな属性の魔法でも「鑑定」は出来ると言うことなのです。まぁこういうのはロゼッタ様はやってくれなそうなので素直にソフィアに頼むことにするに限るのです!

 私が本を閉じソフィアに手を差し出しながらやり方を教える。えぇっと、風魔法で使う場合は風の初級魔法のウインドサーチあたりなのですかね?これさえ覚えていれば問題ないのです!

「では、まずやってみるのです!」

「頑張ってソフィア!」

「あ、はい。分かりました……『ウィンドサーチ』」

 ソフィアのは魔法陣を描き風が放たれて宝箱全体を包んでいく。そのまま風は勢いを増し数秒後に収まる。これはどうやら成功したみたいです。

「うーん、何も見えませんね……。特に変わったところはないと思いますよ?」

「なら安心なのです!ロゼッタ様宝箱を開けてほしいのです!」

「なんでワシが開けるんじゃ!お主が開ければ良かろう!」

 そんなこと言ってもどうせ面倒くさいんでしょう?私にはわかるのです。こういうのは年長者に譲るべきなんですよ! そうやって言い争っているとまた扉の方から音が聞こえてきた。今度はガチャリという音ではなくバタンと閉まった様な感じの音だった気がする。

「あれっ?今ドアの鍵閉まった?」

「……確かに閉まった感じがしました。それになんだかさっきより寒くなった気もします……」

「ソフィアの言う通りさっきより気温が下がっているのです。とりあえず一度出直すのです!」

 これは罠なのです!?だから私たちは宝箱に手を触れずに離れる。宝箱の上に白い塊が現れ、それが形を変えていく。最終的に出来上がったのは大きな雪だるまのような魔物。しかもどんどん大きくなるのです!その様子に思わずソフィアと一緒に一歩後ずさりをする。

「大きいのです……。」

「ごっごめんなさい!さっきは本当になにも感じなかったの。」

「ソフィア下がっておれ。あの魔物のほうがお主より魔力が高くて見えなかっただけじゃ。お主は何も悪くない。」

 ロゼッタ様は得意の爆炎魔法をその大きな雪だるまのような魔物に向かって放つ。そして直撃するのです。白い煙が舞い辺りが白一色に変わるのです。視界が晴れていくとそこにはまだその魔物はいたのです。もしかしたら効いてないのです!?

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