【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

64. ドラゴン討伐 ~後編~

64. ドラゴン討伐 ~後編~



 私は最後のドラゴンを討伐するため、動き出すのです!このまま統制がとれていないままなら、ドラゴンを倒すことは出来ないのです!私は深く深呼吸をし、みんなに聞こえるように大きな声で伝える。

「私は聖女アリーゼなのです!!みなさん落ち着いて欲しいのです!この国に住む人々を苦しめているドラゴンに鉄槌を下すときが来たのです!あのドラゴンこそが諸悪の根源であり今まさに暴れまわろうとしている邪悪な存在なのです!」

 私はさらに声を上げて言う。

「ドラゴンの攻撃は非常に強力で危険なものです。皆さんの力でそれを止めて欲しいのです!どうか力を貸してください!」

 私は必死になってお願いする。ここで戦わないとみんな殺されちゃうかもしれないのです。私も精一杯の声を出して協力を煽るのです。それからしばらくして騎士団長らしき人がやってきて話を聞いてくれたのです。

「聖女様?確かに彼女の言うとおりだな。皆のもの聞けぃい!!我らに今必要なのは勇敢なる勇気だぁあああ!!」

 そして騎士団長は雄叫びをあげて味方の士気を上げていく。そしてこちらを見て笑顔で言った。

「聖女アリーゼよ感謝する。君のおかげで勇気が出たようだ。これより反撃を開始する!総員突撃準備ーっ!!!」

 こうしてドラゴンとの戦いが始まったのでした。先陣を切るのはやはり冒険者のようです。

 彼らは今までの戦いの中でもドラゴンに対して最も手柄を立てたことがあるような口ぶりでした。冒険者達が次々とドラゴンに飛びかかる。

 しかし、やはりドラゴンは硬い鱗で覆われていてダメージを与えれていない。冒険者の中にもかなりの実力者がいるように見えますがそれでも決め手に欠けてしまうようでした。

 そこで今度は騎士団が動くのです。大きな盾をいくつも重ね合わせてドラゴンの前に立ちふさがりました。ドラゴンはその光景を見た後、その盾に向かって思いっきり尻尾を振り下ろした。

 すると、まるで紙屑のように簡単に崩れ去ってしまったのです。これにはさすがの騎士団の面々も驚いていたのです。しかしすぐに体制を整え直し武器を構えるのでした。

 次は魔法使い達による攻撃が始まる。詠唱を開始して次々と炎や氷、風の魔法を放つ。それらはドラゴンに当たるのだが少しばかりダメージを与えるだけで決定打にはならないのです。しかも魔法を

 放った後に体勢が崩れてしまいとても戦い続けれる状態では無かったのでした。

 ドラゴンは大きな魔法を使う隙を与えてはくれず次々に襲ってくるのです。これでは魔法を発動させることすら困難なのです。

「くそっ!なんて硬さだ!全然攻撃が効いてねぇじゃねえか!」

「落ち着け!奴に疲れが見えてきているぞ!もうすぐ倒せるはずだ!」

 冒険者や騎士団の人たちが言う。なるほど。確かに攻撃の威力が落ちてきていましたし動きも遅くなってきていたのです。ここで一発でかいのを喰らわせれるのです。

「ロゼッタ様…」

「わかっておる!」

 ロゼッタ様はすでに魔法の準備に入っていました。これは……おそらく今の魔力の全力の一撃になるはずなのです。

 それを理解しているからこそ周りの人は離れて距離を取り始めたのです。

 それにしてもドラゴンはさっきよりも弱っているように見えるのです。さあ、とどめを刺すといいのです! 私が心の中で叫ぶと同時に上空に大きな火球が出現する。

「食らうが良い!爆炎魔法の神髄・フレアバースト!!」

 そしてそれは一気にドラゴンへと向かって飛んでいったのです。

 ドラゴンはそれを何とか避ける。そして大きな爆発と共にバランスを大きく崩す。そこへすかさず騎士団の剣撃が入るのです。ついに致命傷を与えたのかドラゴンは大きくよろめいてそのまま地面へ倒れるのです。

「フィオナあとは頼むのじゃ!」

「炎の聖剣……フランベルジュ!!はぁぁぁぁぁぁ!!」

 フィオナは強力な魔法剣でドラゴンの額の核に一閃を放つのです。その瞬間ドラゴンは完全に力尽きたのです。そして身体全体が崩壊していき光の粒子となって消えていったのでした。

 やった……やったのです!遂にドラゴンを倒したのです!! 私は思わず喜びの歓声を上げるのです。みんなも歓喜の声を上げて抱き合ったりしている。これでみんな助かると思うと涙が出そうになるのでした。

「聖女様」

 そこに現れたのはあの騎士団長さんでした。

「聖女様本当にありがとうございました。あなたのおかげで我々は希望を捨てず最後まで戦いこの国は救われました」

 そう言って頭を下げてくるので慌ててしまうのでした。でも喜んでくれているのですね。

「いえ、私は何もしていないのです。ドラゴンを倒せたのは皆さんが協力してくれたおかげでもあるのです。」

「謙遜されるな。貴女が声を上げなければ私たちは戦えなかっただろう。正直諦めていた者もいた。もしこのまま戦い続けていたら全滅していたかもしれない。だから貴女には感謝しかないのだ。もちろん私も含めて他のものたちもだ。」

 その言葉を聞いて私は照れてしまったのです。こうして誰かに感謝されるのはやっぱり嬉しいものなのです。

 その後、私たち一行はマジカリア城に戻ることにしました。これで鉱山の「ミスリル」発掘が出来るのです!そして帰りの馬車の中。フィオナとミルディは疲れて寝ているのです。ロゼッタ様は2人の顔をみて話すのです。

「ふむ。フィオナがドラゴンを討伐できるくらい強くなってるの。そしてミルディも魔法鍛冶屋として十分能力が上がっておる。成長しておるな2人とも。良いことじゃ」

「ふふっそれ、2人に言ってあげたほうがいいのではないのです?」

「ふん。直接言うのはお主の仕事じゃろ。ワシにはそういうのはむかん。」

 そう、微笑みながらロゼッタ様は話す。やっぱりロゼッタ様は素直じゃないのです。

 それから1週間が経ち、鉱山の安全も確認がとれ、とうとう発掘に行く日になりました。ミルディは待ちに待った嬉しさを隠しきれないのかツルハシをぶんぶん振っているのです。正直危ないのです。気をつけてほしいのです。

 なんにせよドラゴンを倒せたのは良かったのです。さて当初の目的の「ミスリル」発掘に出発するのです!凄く楽しみなのです!

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