【最強のパン屋爆誕!?】~すべてを程よく焼きつくす私の炎魔法が周りから『パン魔法』と呼ばれてなぜかバズっていた件~
27. 炎が怖いならパン屋やってられないでしょ
27. 炎が怖いならパン屋やってられないでしょ
迷いの森の奥深くで巨大なドラゴンと対峙した私たち。目的の『奇跡の花』を目の前にしながら、ピンチを迎えている。
エドの姿を見るとブルブルと震えて、完全に怯えきっている様子だ。
「グォオオオッ!」
「わああっ!?」
ドラコンが大きな雄叫びを一つ上げるだけで、ビリビリとした振動が伝わってくる。その迫力たるや、とてもじゃないけど普通の冒険者が敵う相手ではないと思わせるには十分だった。
「やっぱり無理です!!」
「やる前から無理なんて決めるもんじゃないわよエド。フィーナはルチアを連れて少し離れてなさい」
「わかりました~!」
私が指示を出すと、フィーナはルチアを連れて離れていった。さすがに守りながら戦うのは難しいからね。
「ボクどうしたら……」
「どうもこうもないでしょ?さっさと魔法を使いなさい、このおバカさん!ほら早く!」
「は、はいぃいいいっ!」
私の剣幕に押されるようにして、エドは慌てて構える。
「サンダー・ショック!」
エドの手から放たれたのは電撃の塊だった。それは一直線にドラゴンに向かって飛んでいき、直撃したかに見えた……だが――
「ギャオオオッ!!」
「ひっ……!」
まるで効いてないみたいね。しかも怒ったのかめちゃくちゃ睨んできてるし。
「な、なんで効かないんですかぁあああっ!?」
「落ち着きなさい。もっと魔力を込めなさい。あれじゃ効かないわ」
「えぇーっ!?そ、そんなこと言われてもぉ……!」
涙目になって訴えるエドだけど、ここで助けてあげたら意味はない。というかあのドラゴンまったく怯む様子がないわね。
「グゥウウッ……!」
そしてドラゴンの方は、今にも襲いかかってきそうだ。まずいわね……。早くエドになんとかさせないと! 私はエドの腕を掴むと、強引に自分の前に立たせた。
「私が隙を作るから、あんたが攻撃するのよ!」
「ふぇええっ!?ぼ、ボクですかぁあああっ!?」
「他に誰がいるっていうの?」
「だってボクなんかが戦っても勝てるわけないし……」
エドはすっかり自信を失っているようだった。そりゃまあ普通ならそう思うでしょうね。でも……エドは大魔法使いになるという夢がある。
「いい加減にしなさい!あなたは逃げているだけでしょ!いつまでも弱いままでいたいの!?強くなりたいんじゃなかったの!?ルチアにいい格好見せたいんじゃないの!?」
「……ッ!」
私の言葉を聞いてハッとするエド。すると目に闘志のようなものが見えてきた気がした。
「……やります。やってみせます!」
「その意気よ。それでこそ男だわ!あなたは魔女の孫なんでしょ?自信を持ちなさい!」
エドは私の言葉を聞いて大きくうなずく。そしてありったけの魔力を込めてドラゴンに手をかざすと、巨大な火球を放った。それは今までのエドの魔法とは違い凄まじい威力を持ってドラゴンへと向かっていく。
「いっけぇ!!」
「グォオオオッ!!」
しかし、ドラゴンはそれを大きな爪のついた腕を振るってかき消してしまったが、威力があったおかげでドラゴンの爪から煙が出ている。
「リンネ様~!!ダメですぅううっ!!」
「ふむ。及第点ね。よくやったわ」
私はエドの前に出てドラゴンを見据える。さっきの攻撃のせいで警戒しているようだ。
「グルル……!」
「さぁかかってらっしゃいな。私が軽く焼いてあげるわ?」
私は挑発するように言う。これで乗ってくれればいいんだけど。
「グルァアアッ!!」
案の定、怒り狂ったドラゴンはその巨体からは想像できないような速さで飛びかかってきた。その動きを冷静に見極めると、タイミングを合わせてそれをかわす。
「意外に素早いわね。まぁいいでしょ。えっと……体長10.6メートル、水分量79~83%。おー!パンを焼くには理想の水分量じゃない!これはクロワッサン一択よね!……ただデカすぎるけど」
私が分析をしているとドラゴンの身体が大きく膨らみ炎のブレスを私に向かって吐いてくる。まったく無駄なことを。炎が怖くてパン屋なんかやってられないわよね。そして私は右手を出し炎魔法を詠唱する。
「我が力を解放せん。炎王の怒りを受けろ。《インフェルノ・ドライブ》!!」
私の手から放たれた炎の玉はドラゴンの放った炎のブレスすらを飲み込み、そのままドラゴンに向かって突き進んでいく。そして直撃した瞬間、爆発が起こりドラゴンの全身が燃え上がった。
「グギャオオオオッ!!」
「おっと、火力が強かったかしら?ちょっと焦げちゃったかもね。ごめんあそばせ?」
私はペロリと舌を出してウインクをしてみせる。ドラゴンは苦しそうな声を上げながら、しばらくすると地面に倒れ伏した。そしてフィーナとルチアがやってくる。
「リンネ様~!やっぱり最強です!早くドラゴンバーガー作ってください~!」
「リンネ様すごい!あんなに大きなドラゴンを倒しちゃうなんて!」
「ふふ。ありがとう」
私はそのままエドの方を向くと、笑顔を浮かべて親指を立てる。
「エド。怖がらずによく戦ったわ。これであなたは魔物なんか怖くないでしょ?だってドラゴンと戦ったんだから」
「あ……リンネ様」
「最後の魔法良かったわよ。あなたには才能があるんだから、もっと自分に自信を持ちなさい!」
「は、はいぃ……!ありがどうございまず……」
エドは感極まったように泣き出してしまう。まったく……男の子なのにすぐ泣かないの!こうしてドラゴンを討伐……いや美味しい巨大なクロワッサンを焼き上げたのだった。
迷いの森の奥深くで巨大なドラゴンと対峙した私たち。目的の『奇跡の花』を目の前にしながら、ピンチを迎えている。
エドの姿を見るとブルブルと震えて、完全に怯えきっている様子だ。
「グォオオオッ!」
「わああっ!?」
ドラコンが大きな雄叫びを一つ上げるだけで、ビリビリとした振動が伝わってくる。その迫力たるや、とてもじゃないけど普通の冒険者が敵う相手ではないと思わせるには十分だった。
「やっぱり無理です!!」
「やる前から無理なんて決めるもんじゃないわよエド。フィーナはルチアを連れて少し離れてなさい」
「わかりました~!」
私が指示を出すと、フィーナはルチアを連れて離れていった。さすがに守りながら戦うのは難しいからね。
「ボクどうしたら……」
「どうもこうもないでしょ?さっさと魔法を使いなさい、このおバカさん!ほら早く!」
「は、はいぃいいいっ!」
私の剣幕に押されるようにして、エドは慌てて構える。
「サンダー・ショック!」
エドの手から放たれたのは電撃の塊だった。それは一直線にドラゴンに向かって飛んでいき、直撃したかに見えた……だが――
「ギャオオオッ!!」
「ひっ……!」
まるで効いてないみたいね。しかも怒ったのかめちゃくちゃ睨んできてるし。
「な、なんで効かないんですかぁあああっ!?」
「落ち着きなさい。もっと魔力を込めなさい。あれじゃ効かないわ」
「えぇーっ!?そ、そんなこと言われてもぉ……!」
涙目になって訴えるエドだけど、ここで助けてあげたら意味はない。というかあのドラゴンまったく怯む様子がないわね。
「グゥウウッ……!」
そしてドラゴンの方は、今にも襲いかかってきそうだ。まずいわね……。早くエドになんとかさせないと! 私はエドの腕を掴むと、強引に自分の前に立たせた。
「私が隙を作るから、あんたが攻撃するのよ!」
「ふぇええっ!?ぼ、ボクですかぁあああっ!?」
「他に誰がいるっていうの?」
「だってボクなんかが戦っても勝てるわけないし……」
エドはすっかり自信を失っているようだった。そりゃまあ普通ならそう思うでしょうね。でも……エドは大魔法使いになるという夢がある。
「いい加減にしなさい!あなたは逃げているだけでしょ!いつまでも弱いままでいたいの!?強くなりたいんじゃなかったの!?ルチアにいい格好見せたいんじゃないの!?」
「……ッ!」
私の言葉を聞いてハッとするエド。すると目に闘志のようなものが見えてきた気がした。
「……やります。やってみせます!」
「その意気よ。それでこそ男だわ!あなたは魔女の孫なんでしょ?自信を持ちなさい!」
エドは私の言葉を聞いて大きくうなずく。そしてありったけの魔力を込めてドラゴンに手をかざすと、巨大な火球を放った。それは今までのエドの魔法とは違い凄まじい威力を持ってドラゴンへと向かっていく。
「いっけぇ!!」
「グォオオオッ!!」
しかし、ドラゴンはそれを大きな爪のついた腕を振るってかき消してしまったが、威力があったおかげでドラゴンの爪から煙が出ている。
「リンネ様~!!ダメですぅううっ!!」
「ふむ。及第点ね。よくやったわ」
私はエドの前に出てドラゴンを見据える。さっきの攻撃のせいで警戒しているようだ。
「グルル……!」
「さぁかかってらっしゃいな。私が軽く焼いてあげるわ?」
私は挑発するように言う。これで乗ってくれればいいんだけど。
「グルァアアッ!!」
案の定、怒り狂ったドラゴンはその巨体からは想像できないような速さで飛びかかってきた。その動きを冷静に見極めると、タイミングを合わせてそれをかわす。
「意外に素早いわね。まぁいいでしょ。えっと……体長10.6メートル、水分量79~83%。おー!パンを焼くには理想の水分量じゃない!これはクロワッサン一択よね!……ただデカすぎるけど」
私が分析をしているとドラゴンの身体が大きく膨らみ炎のブレスを私に向かって吐いてくる。まったく無駄なことを。炎が怖くてパン屋なんかやってられないわよね。そして私は右手を出し炎魔法を詠唱する。
「我が力を解放せん。炎王の怒りを受けろ。《インフェルノ・ドライブ》!!」
私の手から放たれた炎の玉はドラゴンの放った炎のブレスすらを飲み込み、そのままドラゴンに向かって突き進んでいく。そして直撃した瞬間、爆発が起こりドラゴンの全身が燃え上がった。
「グギャオオオオッ!!」
「おっと、火力が強かったかしら?ちょっと焦げちゃったかもね。ごめんあそばせ?」
私はペロリと舌を出してウインクをしてみせる。ドラゴンは苦しそうな声を上げながら、しばらくすると地面に倒れ伏した。そしてフィーナとルチアがやってくる。
「リンネ様~!やっぱり最強です!早くドラゴンバーガー作ってください~!」
「リンネ様すごい!あんなに大きなドラゴンを倒しちゃうなんて!」
「ふふ。ありがとう」
私はそのままエドの方を向くと、笑顔を浮かべて親指を立てる。
「エド。怖がらずによく戦ったわ。これであなたは魔物なんか怖くないでしょ?だってドラゴンと戦ったんだから」
「あ……リンネ様」
「最後の魔法良かったわよ。あなたには才能があるんだから、もっと自分に自信を持ちなさい!」
「は、はいぃ……!ありがどうございまず……」
エドは感極まったように泣き出してしまう。まったく……男の子なのにすぐ泣かないの!こうしてドラゴンを討伐……いや美味しい巨大なクロワッサンを焼き上げたのだった。
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