【最強のパン屋爆誕!?】~すべてを程よく焼きつくす私の炎魔法が周りから『パン魔法』と呼ばれてなぜかバズっていた件~
18. クレームは店長が処理しないと
18. クレームは店長が処理しないと
外はまだ大雨が降っている。私は猫族のルウを中に入れ、暖かいホットミルクを飲ませてあげた。
「くぅ~五臓六腑に染み渡りますにゃ~」
年寄りっぽい発言をするルウ。彼女はどう見てもエドと同じくらいの若い猫娘だ。猫族ってみんなこうなのかしら?
「暖まったかしら?私はリンネ=フルール。旅のパン屋。そしてエルフのフィーナと魔法使いの見習いのエドワードよ。よろしくね」
「はいですにゃ。あたしはルウといいますにゃ。こちらこそ宜しくお願いしますにゃ。」
「猫族は初めて見ました~!やっぱり猫耳なんですね?あっ尻尾もあります!」
フィーナは興味津々で目をキラキラさせている。そりゃ……猫だからね。
「それにしても山賊とかに襲われなくて良かったですねルウさん」
「はい。本当に助かりましたにゃ。でも山賊はもう少し山奥にいるのですにゃ」
「分かるんですか?」
「獣人は鼻がよく効きますにゃ。人間特有の臭いなんかでわかるのにゃ!エドやリンネのような臭いは」
それを聞いたフィーナとエドは首をかしげる。
「ルウちゃん。リンネ様は魔女様ですよ?」
「そうです。ボクたち人間とは少し違うと思いますけど?」
「魔女様……ですにゃ?」
ヤバ……そりゃルウも不思議がるわよね。だって私はただの人間なんだから。するとルウは突然立ち上がり私の目の前に来た。何事!?と思っているとルウは私を見つめてきた。
えっなに?この距離感……。ちょっと女同士でもドキドキするじゃない!そしてルウはいきなり私の胸に顔をうずめ匂いを嗅ぎ始めた。ちょっ!恥ずかしい!っていうかなんでそんなことすんのよ!!
「ふむふむ。やっぱり同じ臭いがしますにゃ」
「ルウ。雨で風邪を引いたんでしょ?そんなことより、ルウはこんなところで何をしてたのかしら?」
「実はあたしはこう見えても少しは名の通った情報屋なのにゃ。最近噂の赤い髪のパン屋の女性を探しているのにゃ。それでリーベル=アイル騎士団と会う予定があるにゃ!」
「えぇ!?リーベル=アイル騎士団ですか!?それじゃバレちゃいます……あっ。」
フィーナは大きな声をあげる。バカ!勘づかれるでしょ!そして案の定ルウはフィーナに追及し始める。
「ん?今のは何にゃフィーナ!?」
「あの……その……リンネ様~!」
「何か知ってるにゃ?怪しいにゃ!知ってること教えてほしいにゃ!」
従業員のミス……クレームは店長の私が責任をとるしかないわよね。本当に困った看板娘だ。クレーム対応の基本は相手の話を聞くことから。
「ねぇルウ。その赤い髪のパン屋の女性を探してどうするつもりなの?」
「それはもちろん懸賞金をもらうにゃ。そして、悠々自適な暮らしを送るにゃ!」
「ふーん。ルウのような情報屋が他にも騎士団に協力してるのかしら?」
「もちろんにゃ。この件は世界中に知れ渡っているのにゃ!だから早い者勝ちなのにゃ」
なるほど。いいこと聞いたわ。逆に好都合かもしれない、それだけ騒がれていたほうが色々な情報が出回るから。情報が乱立してたほうが私たちにとっては好都合。
ルウには悪いけど利用させてもらおうかしら。私はエドに目で合図を送る。この食いしん坊エルフはこういうことには役に立たないからね……。
「じゃあここで会ったのも何かの縁だからルウに教えるわ」
「やっぱり何か知ってるにゃ!?」
「ええ。ルウの探している赤い髪のパン屋の女性はもうこの近辺にはいないわ。エラドールで船に乗ったみたいだし。ねぇエド?」
「え?あっはい。確かに船に乗ってましたね。行き先は東の島国でしたかね?詳しくは分かりませんが」
「え?何言ってるんですかリンネ様とエド君。それは嘘じゃ……」
私はフィーナの口をパンで塞ぐ。黙ってなさい。これはあなたのミスを対応してるんだから。フィーナは口に入れられたパンをモグモグ食べるとおとなしくなる。
「あとルウ。その赤い髪のパン屋の女性は、あの気高きドラゴンですら一撃で倒せるほど恐ろしいらしいわよ?噂ではある国を一晩で滅ぼしたとか」
「人間の顔も捻り潰そうとしてますしね……。胸が小さくてコンプレックスなのか、キレると手がつけられないらしいですし、本当に恐ろしい人物です」
それを聞いて私はエドを睨みつける。ほー。あとでお望み通り捻り潰してやるわよ。私の胸のどこが小さいって?このふっくら柔らかメロンパンに向かって!これだから思春期のガキは困る。大きければいいってもんじゃないわよ!
「そんな恐ろしいなんて知らなかったにゃ……でも、それでもあたしは諦められないのにゃ!きっとどこかにいるはずなのにゃ!リンネ情報を教えてくれてありがとうにゃ」
少し心が痛むけど、ルウ。嘘ついてごめんなさいね。私は騎士団に捕まるわけにはいかないから。
「まあそのうち会えるんじゃない?もう遅くなるし、雨も止まなそうだし明日に備えて寝ましょ」
それから私たちは就寝した。
そして翌朝。夜の大雨とは打って変わって晴れており、雲ひとつなく快晴だった。私たちはルウと別れてそのまま次の街に向かうために山を進んで行くことにする。
「それにしても、危なかったですねリンネ様。ルウさんにバレなくて良かったですよ」
「髪を黒く染めておいて良かったわね。」
「その考えを思いついた私のおかげですね!えっへんです!」
「ピーッピーッ!」
フィーナは自慢げに胸を張る。確かにフィーナのおかげだけど。
「リンネ様。昨日ルウさんも言ってましたけど、山賊には気をつけましょう。」
「そうね。今日中には山を越えたいものね」
そう言いながら私たちは山を歩いていく。これで少しは時間が稼げるだろう。目的のパン屋開業までは余計なことに時間を取られたくないし、何より早くお金を作って店を持ちたい。そのためにも騎士団の目を欺く必要がある……
というか私はただのパン屋だし、何も悪いことしてないんだけどね。こっちのクレーム処理は時間がかかりそうだわ。
外はまだ大雨が降っている。私は猫族のルウを中に入れ、暖かいホットミルクを飲ませてあげた。
「くぅ~五臓六腑に染み渡りますにゃ~」
年寄りっぽい発言をするルウ。彼女はどう見てもエドと同じくらいの若い猫娘だ。猫族ってみんなこうなのかしら?
「暖まったかしら?私はリンネ=フルール。旅のパン屋。そしてエルフのフィーナと魔法使いの見習いのエドワードよ。よろしくね」
「はいですにゃ。あたしはルウといいますにゃ。こちらこそ宜しくお願いしますにゃ。」
「猫族は初めて見ました~!やっぱり猫耳なんですね?あっ尻尾もあります!」
フィーナは興味津々で目をキラキラさせている。そりゃ……猫だからね。
「それにしても山賊とかに襲われなくて良かったですねルウさん」
「はい。本当に助かりましたにゃ。でも山賊はもう少し山奥にいるのですにゃ」
「分かるんですか?」
「獣人は鼻がよく効きますにゃ。人間特有の臭いなんかでわかるのにゃ!エドやリンネのような臭いは」
それを聞いたフィーナとエドは首をかしげる。
「ルウちゃん。リンネ様は魔女様ですよ?」
「そうです。ボクたち人間とは少し違うと思いますけど?」
「魔女様……ですにゃ?」
ヤバ……そりゃルウも不思議がるわよね。だって私はただの人間なんだから。するとルウは突然立ち上がり私の目の前に来た。何事!?と思っているとルウは私を見つめてきた。
えっなに?この距離感……。ちょっと女同士でもドキドキするじゃない!そしてルウはいきなり私の胸に顔をうずめ匂いを嗅ぎ始めた。ちょっ!恥ずかしい!っていうかなんでそんなことすんのよ!!
「ふむふむ。やっぱり同じ臭いがしますにゃ」
「ルウ。雨で風邪を引いたんでしょ?そんなことより、ルウはこんなところで何をしてたのかしら?」
「実はあたしはこう見えても少しは名の通った情報屋なのにゃ。最近噂の赤い髪のパン屋の女性を探しているのにゃ。それでリーベル=アイル騎士団と会う予定があるにゃ!」
「えぇ!?リーベル=アイル騎士団ですか!?それじゃバレちゃいます……あっ。」
フィーナは大きな声をあげる。バカ!勘づかれるでしょ!そして案の定ルウはフィーナに追及し始める。
「ん?今のは何にゃフィーナ!?」
「あの……その……リンネ様~!」
「何か知ってるにゃ?怪しいにゃ!知ってること教えてほしいにゃ!」
従業員のミス……クレームは店長の私が責任をとるしかないわよね。本当に困った看板娘だ。クレーム対応の基本は相手の話を聞くことから。
「ねぇルウ。その赤い髪のパン屋の女性を探してどうするつもりなの?」
「それはもちろん懸賞金をもらうにゃ。そして、悠々自適な暮らしを送るにゃ!」
「ふーん。ルウのような情報屋が他にも騎士団に協力してるのかしら?」
「もちろんにゃ。この件は世界中に知れ渡っているのにゃ!だから早い者勝ちなのにゃ」
なるほど。いいこと聞いたわ。逆に好都合かもしれない、それだけ騒がれていたほうが色々な情報が出回るから。情報が乱立してたほうが私たちにとっては好都合。
ルウには悪いけど利用させてもらおうかしら。私はエドに目で合図を送る。この食いしん坊エルフはこういうことには役に立たないからね……。
「じゃあここで会ったのも何かの縁だからルウに教えるわ」
「やっぱり何か知ってるにゃ!?」
「ええ。ルウの探している赤い髪のパン屋の女性はもうこの近辺にはいないわ。エラドールで船に乗ったみたいだし。ねぇエド?」
「え?あっはい。確かに船に乗ってましたね。行き先は東の島国でしたかね?詳しくは分かりませんが」
「え?何言ってるんですかリンネ様とエド君。それは嘘じゃ……」
私はフィーナの口をパンで塞ぐ。黙ってなさい。これはあなたのミスを対応してるんだから。フィーナは口に入れられたパンをモグモグ食べるとおとなしくなる。
「あとルウ。その赤い髪のパン屋の女性は、あの気高きドラゴンですら一撃で倒せるほど恐ろしいらしいわよ?噂ではある国を一晩で滅ぼしたとか」
「人間の顔も捻り潰そうとしてますしね……。胸が小さくてコンプレックスなのか、キレると手がつけられないらしいですし、本当に恐ろしい人物です」
それを聞いて私はエドを睨みつける。ほー。あとでお望み通り捻り潰してやるわよ。私の胸のどこが小さいって?このふっくら柔らかメロンパンに向かって!これだから思春期のガキは困る。大きければいいってもんじゃないわよ!
「そんな恐ろしいなんて知らなかったにゃ……でも、それでもあたしは諦められないのにゃ!きっとどこかにいるはずなのにゃ!リンネ情報を教えてくれてありがとうにゃ」
少し心が痛むけど、ルウ。嘘ついてごめんなさいね。私は騎士団に捕まるわけにはいかないから。
「まあそのうち会えるんじゃない?もう遅くなるし、雨も止まなそうだし明日に備えて寝ましょ」
それから私たちは就寝した。
そして翌朝。夜の大雨とは打って変わって晴れており、雲ひとつなく快晴だった。私たちはルウと別れてそのまま次の街に向かうために山を進んで行くことにする。
「それにしても、危なかったですねリンネ様。ルウさんにバレなくて良かったですよ」
「髪を黒く染めておいて良かったわね。」
「その考えを思いついた私のおかげですね!えっへんです!」
「ピーッピーッ!」
フィーナは自慢げに胸を張る。確かにフィーナのおかげだけど。
「リンネ様。昨日ルウさんも言ってましたけど、山賊には気をつけましょう。」
「そうね。今日中には山を越えたいものね」
そう言いながら私たちは山を歩いていく。これで少しは時間が稼げるだろう。目的のパン屋開業までは余計なことに時間を取られたくないし、何より早くお金を作って店を持ちたい。そのためにも騎士団の目を欺く必要がある……
というか私はただのパン屋だし、何も悪いことしてないんだけどね。こっちのクレーム処理は時間がかかりそうだわ。
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