【最強のパン屋爆誕!?】~すべてを程よく焼きつくす私の炎魔法が周りから『パン魔法』と呼ばれてなぜかバズっていた件~
13. 新作パンの名前は決めさせない
13. 新作パンの名前は決めさせない
私たちは今海路を諦めて、陸路で商業都市まで向かうことにしている。
それもこれもあのゴリラのせいだ。おそらく私たちのことを報告しているだろう。これ以上エラドールにとどまればいずれ素性がバレてしまうし、面倒なことになりかねない。だから早々に街を発つことにしたのだ。
「リンネ様~お腹空きました~」
「ピーッピーッ」
いつものようにフィーナが食べ物をせがんでくる。しかもピー助も一緒に。
「さっき焼きたてのマフィンを食べたでしょ?もうお腹空いたの?」
「あれじゃ足りないですよ~ねぇエド君?」
「いやフィーナさんはボクの倍は食べてましたけど……」
「そんなことないですよ!私は蓄えるところがあるんですもん!」
そう言ってまた無駄に大きい胸を強調する。あぁ?この食いしん坊エルフは私に喧嘩売ってる?そしてエドとピー助が私の方をチラ見して目をそらす。私はすごい速さと勢いでエドの顔を右手で握る。
「痛っ!……痛いです!」
「なにかしら今のは?」
「何でもないですよ!」
私はそのまま更に力をいれる。エドは痛さにもがいてるようだ。
「エド。人間の頭蓋骨って意外に脆いらしいわよ?」
「ごめんなさい!比べてごめんなさい!」
やっぱり比べてんのかこのエロガキが!エドが半泣きで私の右手をタップしてきたので、渋々手を離すとエドはほっとした表情を浮かべた。
「あとピー助。こっちに来てこの掌に乗りなさい。その青い身体を黒くしてあげるから」
「ピーッ!?」
「リンネ様あまりいじめないでくださいよ。怖がってますよ。ほらほらもう大丈夫ですよデュランダル」
デュランダルって……どんなネーミングセンスしてんのよあなた……。新作パンとかの名前はフィーナには決めさせない方がいいわね。こんな感じの名前つけるなら即没だから。まあいいわ。
「それよりリンネ様。ボクたち大丈夫ですかね?騎士団にあんな態度とっちゃいましたけど……」
「気にすることないわよ。あのゴリラが悪いんだから」
「でも……」
「でもじゃない。それに大袈裟なのよね、たかがガルーダを倒したくらいで。あんなの誰でも出来るでしょ?」
そうよ。たかが魔物を一匹倒しただけ。それがなんだというのだ。私はベルセル鳥の卵サンドが作りたかっただけ。邪魔だからガルーダをこんがり焼いただけなんだから。
「あのリンネ様。ガルーダはこの世界で凶暴な魔物で有名です。普通は単独で討伐ができるほどの魔物じゃないですよ?魔女様のリンネ様には普通かもしれませんけど……」
「知らないわよ。そんなこと言われても」
「やっぱりリンネ様は強いです!」
フィーナがいつものようにキラキラした目でこちらを見る。やめて。私は強くなんかなりたくない。ただパン屋をやりたいだけなんだから。
「はぁ。ところでフィーナ、そのピー助どうするの?」
「ピー助じゃないです!デュランダルです!」
「ベルセル鳥は成長するともっと獰猛になるわ。私は野生に帰した方がいいと思うけど」
「ピー……」
「……この子は私と同じなんです。仲間もいない。だから私が育てますから、ダメですかリンネ様?」
フィーナはそう言うと、まるで子犬のような瞳で私を見つめてきた。うっ……この目は卑怯よ。私はフィーナの目を見ながら大きくため息をつく。
「責任持ちなさいよ?手がつけられなくなったら野生に帰す。それならピー助を飼ってもいいわよ」
「はい!良かったねデュランダル!」
「ピィーッ!!」
「エド。フィーナだけじゃ心配だから一緒に育ててあげて」
「はい。わかりました」
こうして私たちは商業都市へと旅立つことにする。まずは近くの街に向かいましょうか。そこで情報を集めてエラドールから離れないとね。
そのあと何とか日が暮れる前にレスリアという街にたどり着く。ここはエラドールよりは小さな街だが、それなりに栄えているようだ。
この街で宿を取り、明日の朝には出発することにした。あくまでも目的は商業都市だから。今日はゆっくり休んで明日に備えよう。そう思ってベッドに横になる。いつもならすぐ眠りにつくのだが、今日の私はなかなか眠ることができなかった。
「リンネ様起きてるんですか?」
隣のベッドにいるエドの声が聞こえてくる。私は返事をする代わりに、寝返りを打つことで意思表示をした。
「まだ寝れないんですか?」
「そうね。なんか眠れなくて……」
「昼間は歩き疲れたはずなのに……変な人ですねリンネ様って」
「うるさいわね。ほっときなさいよ」
私は少しムカついたのでエドに背を向けるようにした。するとエドは背中越しに話しかけてくる。
「リンネ様。ありがとうございます」
「は?何が?」
「ボク。ガルーダと戦ったとき、初めて魔法を使って戦ったんです。今まではそんな機会もなかったし、与えてもくれなかった。結果は足手まといになったかもしれないですけど、大魔法使いに一歩近づいた気がしました」
エドは今までパーティーの雑用係としてしか生きてこなかった。多少強引だったかもしれないけど、エドの夢に近づいたのなら、それはそれで嬉しいことよね。
「そう……よかったわね」
「はい。これからも頑張りますのでよろしくお願いしますリンネ様!」
「ええ。じゃあおやすみ」
「おやすみなさいリンネ様」
エドも眠ったみたいだし私もそろそろ寝るか。瞼を閉じるとすぐに意識が遠のいていくのを感じた。
私たちは今海路を諦めて、陸路で商業都市まで向かうことにしている。
それもこれもあのゴリラのせいだ。おそらく私たちのことを報告しているだろう。これ以上エラドールにとどまればいずれ素性がバレてしまうし、面倒なことになりかねない。だから早々に街を発つことにしたのだ。
「リンネ様~お腹空きました~」
「ピーッピーッ」
いつものようにフィーナが食べ物をせがんでくる。しかもピー助も一緒に。
「さっき焼きたてのマフィンを食べたでしょ?もうお腹空いたの?」
「あれじゃ足りないですよ~ねぇエド君?」
「いやフィーナさんはボクの倍は食べてましたけど……」
「そんなことないですよ!私は蓄えるところがあるんですもん!」
そう言ってまた無駄に大きい胸を強調する。あぁ?この食いしん坊エルフは私に喧嘩売ってる?そしてエドとピー助が私の方をチラ見して目をそらす。私はすごい速さと勢いでエドの顔を右手で握る。
「痛っ!……痛いです!」
「なにかしら今のは?」
「何でもないですよ!」
私はそのまま更に力をいれる。エドは痛さにもがいてるようだ。
「エド。人間の頭蓋骨って意外に脆いらしいわよ?」
「ごめんなさい!比べてごめんなさい!」
やっぱり比べてんのかこのエロガキが!エドが半泣きで私の右手をタップしてきたので、渋々手を離すとエドはほっとした表情を浮かべた。
「あとピー助。こっちに来てこの掌に乗りなさい。その青い身体を黒くしてあげるから」
「ピーッ!?」
「リンネ様あまりいじめないでくださいよ。怖がってますよ。ほらほらもう大丈夫ですよデュランダル」
デュランダルって……どんなネーミングセンスしてんのよあなた……。新作パンとかの名前はフィーナには決めさせない方がいいわね。こんな感じの名前つけるなら即没だから。まあいいわ。
「それよりリンネ様。ボクたち大丈夫ですかね?騎士団にあんな態度とっちゃいましたけど……」
「気にすることないわよ。あのゴリラが悪いんだから」
「でも……」
「でもじゃない。それに大袈裟なのよね、たかがガルーダを倒したくらいで。あんなの誰でも出来るでしょ?」
そうよ。たかが魔物を一匹倒しただけ。それがなんだというのだ。私はベルセル鳥の卵サンドが作りたかっただけ。邪魔だからガルーダをこんがり焼いただけなんだから。
「あのリンネ様。ガルーダはこの世界で凶暴な魔物で有名です。普通は単独で討伐ができるほどの魔物じゃないですよ?魔女様のリンネ様には普通かもしれませんけど……」
「知らないわよ。そんなこと言われても」
「やっぱりリンネ様は強いです!」
フィーナがいつものようにキラキラした目でこちらを見る。やめて。私は強くなんかなりたくない。ただパン屋をやりたいだけなんだから。
「はぁ。ところでフィーナ、そのピー助どうするの?」
「ピー助じゃないです!デュランダルです!」
「ベルセル鳥は成長するともっと獰猛になるわ。私は野生に帰した方がいいと思うけど」
「ピー……」
「……この子は私と同じなんです。仲間もいない。だから私が育てますから、ダメですかリンネ様?」
フィーナはそう言うと、まるで子犬のような瞳で私を見つめてきた。うっ……この目は卑怯よ。私はフィーナの目を見ながら大きくため息をつく。
「責任持ちなさいよ?手がつけられなくなったら野生に帰す。それならピー助を飼ってもいいわよ」
「はい!良かったねデュランダル!」
「ピィーッ!!」
「エド。フィーナだけじゃ心配だから一緒に育ててあげて」
「はい。わかりました」
こうして私たちは商業都市へと旅立つことにする。まずは近くの街に向かいましょうか。そこで情報を集めてエラドールから離れないとね。
そのあと何とか日が暮れる前にレスリアという街にたどり着く。ここはエラドールよりは小さな街だが、それなりに栄えているようだ。
この街で宿を取り、明日の朝には出発することにした。あくまでも目的は商業都市だから。今日はゆっくり休んで明日に備えよう。そう思ってベッドに横になる。いつもならすぐ眠りにつくのだが、今日の私はなかなか眠ることができなかった。
「リンネ様起きてるんですか?」
隣のベッドにいるエドの声が聞こえてくる。私は返事をする代わりに、寝返りを打つことで意思表示をした。
「まだ寝れないんですか?」
「そうね。なんか眠れなくて……」
「昼間は歩き疲れたはずなのに……変な人ですねリンネ様って」
「うるさいわね。ほっときなさいよ」
私は少しムカついたのでエドに背を向けるようにした。するとエドは背中越しに話しかけてくる。
「リンネ様。ありがとうございます」
「は?何が?」
「ボク。ガルーダと戦ったとき、初めて魔法を使って戦ったんです。今まではそんな機会もなかったし、与えてもくれなかった。結果は足手まといになったかもしれないですけど、大魔法使いに一歩近づいた気がしました」
エドは今までパーティーの雑用係としてしか生きてこなかった。多少強引だったかもしれないけど、エドの夢に近づいたのなら、それはそれで嬉しいことよね。
「そう……よかったわね」
「はい。これからも頑張りますのでよろしくお願いしますリンネ様!」
「ええ。じゃあおやすみ」
「おやすみなさいリンネ様」
エドも眠ったみたいだし私もそろそろ寝るか。瞼を閉じるとすぐに意識が遠のいていくのを感じた。
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