【最強のパン屋爆誕!?】~すべてを程よく焼きつくす私の炎魔法が周りから『パン魔法』と呼ばれてなぜかバズっていた件~
8. パン屋さんの頭の中には
8. パン屋さんの頭の中には
私たちは海沿いの街エラドールにたどり着いた。しかしすぐに問題は発生する。
「高すぎ……」
「はい。乗れませんね船」
「あのリンネ様。私お腹空きました」
とりあえずフィーナにバゲットを渡して大人しくさせる。そう、船の乗船賃が予想以上に高すぎて、手持ちのお金では全く足りなかったのだ。はぁ……また資金集めからか。こんなんじゃいつまでたってもパン屋開業なんてできないじゃない。足止めとか頭の中にはなかったわ。
「エド。乗船賃にはあとどのくらい足りないのかしら?」
「金貨3枚必要ですね。毎日のパン代も考えると、毎日銀貨3枚の依頼を受けてだいたい3ヶ月くらいですかね……」
うっ……そんなに待ってられないわよ。海沿いだから潮風で髪とかヤバいことになりそうだし。ここはなんとかして資金を調達しないと……。
「ねぇリンネ様」
「なにフィーナ?バゲットもう食べちゃったの?」
「違います。リンネ様のパンを販売したらどうですか?こんなに美味しいんだし、すぐに資金は貯まりますよ!」
「あのフィーナさん。そんなに簡単なことじゃないですよ。パンを販売するならそれなりの設備と作る量も必要。それをするにも資金が必要ですから」
エドは冷静に問題点を指摘する。さすが経理担当だわ。その通りよね。いくら私がパンを焼くことができても肝心のパンを売る場所がない。それにパンを作るにしても材料費がかかる。そしてそもそも大量のパンを焼く石窯がない。
「でもこのパンなら売れますよ!絶対!」
「ありがとうフィーナ。その気持ちだけで嬉しいわ」
「えーなんでですか!リンネ様が作ったパンなのに売らないんですか!?」
納得いかないのかフィーナは不満げに頬を膨らませている。ほんと可愛い子ね。
「その前にフィーナあなた人間相手に呼び込みとかできるの?」
「それは無理ですけど……でも……」
そんなやり取りをしているとエドがある提案をしてくる。
「それならまずは手売りとかしてみますか?確かギルドの横あたりに露店があったはずですよ。」
手売りか。確かにいい考えではある。どっちにしてもやることになるし。フィーナの経験を積ませるためにも悪くはない。
「あー面白いかもね。それなら商業ギルドの許可をとりに行きましょうか」
こうして私たちは冒険者ギルドの隣にある商業ギルドに向かうことにした。中に入ると受付嬢が笑顔で迎えてくれる。
「ようこそ商業ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「はい。実は……」
私はパンの販売について説明した。すると受付嬢は少し考え込むような仕草をして答える。
「なるほど……パン屋の開業許可ですね。確かに商業ギルドの管轄になります。申し訳ないのですが、手売りでの販売は許可しておりません。ただもしギルドの売店などで販売するのであれば話は別です。もちろん販売にかかる費用はそちら持ちとなりますが」
「わかりました。ではギルドの売店で販売させていただけないでしょうか?今はまだ準備中なので準備が出来たらまた伺います」
「かしこまりました。お待ちしていますね」
ふぅ……とりあえずこれで一安心かな。あとはどうやって資金を調達するかだけど……
「リンネ様。これってチャンスじゃないですか?うまくやればいっぱいバーガー食べれますよね!」
「本当にフィーナさんはリンネ様のパンが好きなんですね」
いやフィーナは私のパンというより、食べ物ならなんでも好きなだけだから。どっちにしてもギルドで仕事はもらわないとダメか。私たちはそのままの足で冒険者ギルドに向かうことにする。
私が受付で依頼書を見ているとフィーナとエドが掲示板を見て私を呼ぶ。
「リンネ様見て下さい!これなんかどうですか?」
「東の洞窟の貴重な素材探しみたいですよ。『ベルセル鳥の卵』らしいです。」
「ベルセル鳥!?」
私は2人の元に急ぎ、その掲示板を食い入るように見る。まさかここでベルセル鳥の名前を聞くとは思わなかった。
ベルセル鳥。それは美しい青い羽根を持つ巨大な鶏型の魔物である。しかしその見た目とは裏腹に非常に凶暴であり、普段は大人しいのだが縄張り意識が強く侵入したものには容赦なく襲ってくるのだ。
その肉は非常に美味しいと評判だが、とにかく凶暴なため捕獲が非常に難しく、また討伐難易度も高いことからなかなか市場に出てこない幻の食材でもある。しかも新たな縄張りを見つけて飛び立つ時、卵を産み落とすことでも有名な鳥よね。
そしてそのベルセル鳥の卵は絶品中の絶品。それの卵サンドなんて食べたら幸せすぎて昇天してしまうかもしれない。
「よし決めたわ。この依頼を受けるわよ!」
「あっでもこの依頼は騎士団に移行してますよ?どうやら凶暴な魔物ガルーダがその東の洞窟で目撃されたようですね。今は立ち入り禁止らしいです」
はぁ!?知らないわよそんなこと!せっかくのベルセル鳥の卵なのに……。私たちは仕方ないので、とりあえず薬草採取の依頼をこなして宿屋に戻ることにする。
でもここでベルセル鳥の卵を諦めるにはいかないでしょ。パン屋さんとして。私の頭の中は、ベルセル鳥の卵サンドを作ることしか考えられなくなったのだった。
私たちは海沿いの街エラドールにたどり着いた。しかしすぐに問題は発生する。
「高すぎ……」
「はい。乗れませんね船」
「あのリンネ様。私お腹空きました」
とりあえずフィーナにバゲットを渡して大人しくさせる。そう、船の乗船賃が予想以上に高すぎて、手持ちのお金では全く足りなかったのだ。はぁ……また資金集めからか。こんなんじゃいつまでたってもパン屋開業なんてできないじゃない。足止めとか頭の中にはなかったわ。
「エド。乗船賃にはあとどのくらい足りないのかしら?」
「金貨3枚必要ですね。毎日のパン代も考えると、毎日銀貨3枚の依頼を受けてだいたい3ヶ月くらいですかね……」
うっ……そんなに待ってられないわよ。海沿いだから潮風で髪とかヤバいことになりそうだし。ここはなんとかして資金を調達しないと……。
「ねぇリンネ様」
「なにフィーナ?バゲットもう食べちゃったの?」
「違います。リンネ様のパンを販売したらどうですか?こんなに美味しいんだし、すぐに資金は貯まりますよ!」
「あのフィーナさん。そんなに簡単なことじゃないですよ。パンを販売するならそれなりの設備と作る量も必要。それをするにも資金が必要ですから」
エドは冷静に問題点を指摘する。さすが経理担当だわ。その通りよね。いくら私がパンを焼くことができても肝心のパンを売る場所がない。それにパンを作るにしても材料費がかかる。そしてそもそも大量のパンを焼く石窯がない。
「でもこのパンなら売れますよ!絶対!」
「ありがとうフィーナ。その気持ちだけで嬉しいわ」
「えーなんでですか!リンネ様が作ったパンなのに売らないんですか!?」
納得いかないのかフィーナは不満げに頬を膨らませている。ほんと可愛い子ね。
「その前にフィーナあなた人間相手に呼び込みとかできるの?」
「それは無理ですけど……でも……」
そんなやり取りをしているとエドがある提案をしてくる。
「それならまずは手売りとかしてみますか?確かギルドの横あたりに露店があったはずですよ。」
手売りか。確かにいい考えではある。どっちにしてもやることになるし。フィーナの経験を積ませるためにも悪くはない。
「あー面白いかもね。それなら商業ギルドの許可をとりに行きましょうか」
こうして私たちは冒険者ギルドの隣にある商業ギルドに向かうことにした。中に入ると受付嬢が笑顔で迎えてくれる。
「ようこそ商業ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「はい。実は……」
私はパンの販売について説明した。すると受付嬢は少し考え込むような仕草をして答える。
「なるほど……パン屋の開業許可ですね。確かに商業ギルドの管轄になります。申し訳ないのですが、手売りでの販売は許可しておりません。ただもしギルドの売店などで販売するのであれば話は別です。もちろん販売にかかる費用はそちら持ちとなりますが」
「わかりました。ではギルドの売店で販売させていただけないでしょうか?今はまだ準備中なので準備が出来たらまた伺います」
「かしこまりました。お待ちしていますね」
ふぅ……とりあえずこれで一安心かな。あとはどうやって資金を調達するかだけど……
「リンネ様。これってチャンスじゃないですか?うまくやればいっぱいバーガー食べれますよね!」
「本当にフィーナさんはリンネ様のパンが好きなんですね」
いやフィーナは私のパンというより、食べ物ならなんでも好きなだけだから。どっちにしてもギルドで仕事はもらわないとダメか。私たちはそのままの足で冒険者ギルドに向かうことにする。
私が受付で依頼書を見ているとフィーナとエドが掲示板を見て私を呼ぶ。
「リンネ様見て下さい!これなんかどうですか?」
「東の洞窟の貴重な素材探しみたいですよ。『ベルセル鳥の卵』らしいです。」
「ベルセル鳥!?」
私は2人の元に急ぎ、その掲示板を食い入るように見る。まさかここでベルセル鳥の名前を聞くとは思わなかった。
ベルセル鳥。それは美しい青い羽根を持つ巨大な鶏型の魔物である。しかしその見た目とは裏腹に非常に凶暴であり、普段は大人しいのだが縄張り意識が強く侵入したものには容赦なく襲ってくるのだ。
その肉は非常に美味しいと評判だが、とにかく凶暴なため捕獲が非常に難しく、また討伐難易度も高いことからなかなか市場に出てこない幻の食材でもある。しかも新たな縄張りを見つけて飛び立つ時、卵を産み落とすことでも有名な鳥よね。
そしてそのベルセル鳥の卵は絶品中の絶品。それの卵サンドなんて食べたら幸せすぎて昇天してしまうかもしれない。
「よし決めたわ。この依頼を受けるわよ!」
「あっでもこの依頼は騎士団に移行してますよ?どうやら凶暴な魔物ガルーダがその東の洞窟で目撃されたようですね。今は立ち入り禁止らしいです」
はぁ!?知らないわよそんなこと!せっかくのベルセル鳥の卵なのに……。私たちは仕方ないので、とりあえず薬草採取の依頼をこなして宿屋に戻ることにする。
でもここでベルセル鳥の卵を諦めるにはいかないでしょ。パン屋さんとして。私の頭の中は、ベルセル鳥の卵サンドを作ることしか考えられなくなったのだった。
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