【最強のパン屋爆誕!?】~すべてを程よく焼きつくす私の炎魔法が周りから『パン魔法』と呼ばれてなぜかバズっていた件~
2. エルフの看板娘ってヤバいわね
2. エルフの看板娘ってヤバいわね
翌朝、私は昨日の森の少し深いところまできていた。ちなみに、今朝は珍しく寝坊してしまったせいで朝食抜きだ。おかげでお腹ペコペコである。
早速。パンを作るための石窯を作るための材料集めを始める。と言ってもこの辺りにある石ころを拾い集めるだけなのだけれど……。
それでも結構大変な作業だったりする。石を集めるだけでも時間がかかるからだ。しばらく作業をしていると、あることに気がついた。
「あれ?おかしいわ。全然石が集まらない……」
いくら探しても石が見つからないのだ。確かにこの場所は木が少ない。でも、全くないというのはさすがに変だと思う。
「まさか……同業者?石窯を作る輩がいるのかしら?」
そうなると厄介だ。せっかく苦労して集めた石が奪われてしまう可能性がある……とか下らないことを考えながら石を集め続けていると、
「ん?これは……」
ふとあるものを見つけた。それは地面を這っている細長い芋虫みたいな魔物。
「キャアァ!?いやぁああ!!何よコレぇ!!」
私は思わず叫び声を上げた。だって気持ち悪いんだもん!虫だけは無理!人生最大のピンチ!てか良く見たらコイツが地面の石食べてる!
「な、なによコイツ!ちょっと!こっちに来ないでよ!!」
私は必死に逃げようとする。だが、その生物は私を標的にしたらしく、ゆっくりと近づいてくる。
「い、イヤ……来ないで……誰か助けて……!!」
私は涙目で叫ぶ。だが、周囲には誰もいない。完全に孤立無援の状態だ。このままだと私はこの芋虫の魔物の餌になってしまうだろう。だが……その時、遠くから一本の矢が飛んできて一瞬で芋虫を貫く。そしてそのまま絶命した。
その矢が飛んできた方向を見ると、頭が見える。もしかして……隠れているのかしら?……見えてるけど。私は良くその頭を遠目に見ると耳が尖っているように見えた。もしかしてエルフかしら?
私は恐る恐る近づくと、そこにいたのは可憐な少女であった。長い金髪に青い瞳。そして美しい顔立ち。まるで絵本に出てくる妖精みたいだ。
「あ、あのぉ……ありがとうございます」
私が声を掛けるとそのエルフは驚いて大きな大木に隠れこっちを見る。その姿が可愛くて私は笑ってしまった。
「大丈夫よ。ほら、何もしないわ」
私は手を広げて敵意がないことを示す。すると、彼女は恐る恐るという感じで姿を現した。
「あ、あなたは……人間ですか?」
やはりエルフは人間嫌いというのは本当らしい。警戒しながら質問してきた。せっかくエルフなんて稀少な種族に出会えたのだから、さっきのお礼もしたいし仲良くしたいものだ。私はあえて嘘をつくことにした。これはこの子のためだから。
「あー。違うわ」
「え?違う?」
「私は魔女だから。ほら、この通り」
私はそう言って手をかざすと、彼女の前で火を出して見せた。
「……本当に魔女様なの?」
「ええ、そうよ。私は……えっと……パン屋の魔女リンネ=フルールよ」
「ぱん?」
どうやらエルフはパンを知らないようだ。こんなに最強の食べ物を知らないなんて可哀想だわ。
「それより、あなた名前は?」
「あ。私は……フィーナです……」
「フィーナね。助けてくれてありがとう。良かったら私のパン食べない?美味しくて頬っぺたが落ちるわよ」
それを聞いたフィーナは耳をピンと尖らせソワソワしだす。あーこれは興味あるんだな。
「まあ、とりあえず準備をするからあなたは適当にしていて」
私はそのままなんとか集めた石で石窯を作り始める。フィーナは遠目でこっちを見ているけど興味津々といった感じだ。だって耳が尖ってるし。それにここから離れないから少しは私のことを信用してくれているのかもしれない。
そして、出来上がったところでパンを取り出す。今日は昨日のゴブリン討伐で得たお金でバターとミルクを多めに買ったから、甘いブリオッシュを作る。それをフィーナに手渡した。
「はい。熱いうちに召し上がれ。甘くて美味しいわよ」
私が笑顔で言うと、フィーナは驚いた表情を浮かべた後、すぐにパンを口に運ぶ。するとフィーナは突然大粒の涙をこぼす。
「え!?美味しくなかった!?」
「いえ……美味しい……です」
「……ふふ。でしょう?私の作ったパンは世界一なんだから!何があったの?話してくれる?」
「はい。実は……」
フィーナは私に話す。エルフの里から追放されたこと。仲間とはぐれたこと。そして今の状況に至ることを全て話してくれた。
なるほど。彼女は頼る相手も住む場所もないのか……。
というか良く見たら、フィーナってスタイルいいわね。胸も大きい方だし、顔も可憐で可愛らしいし。こんな子が私のパン屋の看板娘になってくれたら最高よね。人間嫌いのエルフが看板娘なんて評判良くなるに決まってるわ!ヤバいわヤバすぎるわ。うん、決めた。
「ねぇフィーナ。行くところが無いなら私の店(仮)で働きなさい!」
私はビシッと指を指して宣言する。フィーナは最初何を言っているのか理解できていないようだったが、しばらくして意味が分かったようで顔を真っ赤にして慌て出す。
「そ、そんな!ダメですよ!!私なんかが人間のお店で働けるわけありません!!」
「大丈夫よ。あなたの美貌があれば問題なし!」
「び、美……!?な、何を言うんですか!!とにかく無理です!」
まぁ!なんてお手本のような反応を見せてくれるんだこの子は。仕方ないわね、ここでこの子を放っておけるわけもないし。
「なら、あなたの住む場所を旅の中で見つける。それより先に私のパン屋さんが開業できたらそこで働く。どう?それなら問題ないでしょ?」
私の提案にフィーナはしばらく考え込む。そして観念したのか小さくため息をつく。
「どっちにしてもこのままじゃいけませんし。リンネ様は魔女なので少し安心だし。その……よろしくお願いします」
「ええよろしくねフィーナ」
ふふ。これで看板娘は手に入れた。一歩前進ね。
「ねぇフィーナあなた食べ物で何が好きかしら?」
「え?……お肉」
「そう。なら今日もホワイトウルフを狩ろうかしら。そのお肉を挟んだ私特製のバーガーは絶品よ?」
「え!?……食べたい……」
「ふふ。それじゃホワイトウルフを狩りにいくわよフィーナ!あなたの歓迎会よ!お腹いっぱい食べさせてあげるから」
「お肉……いっぱい食べます」
こうして私は、はぐれエルフのフィーナを看板娘にすることにした。ふふ。着々と私の夢のパン屋が近づいているわ!
翌朝、私は昨日の森の少し深いところまできていた。ちなみに、今朝は珍しく寝坊してしまったせいで朝食抜きだ。おかげでお腹ペコペコである。
早速。パンを作るための石窯を作るための材料集めを始める。と言ってもこの辺りにある石ころを拾い集めるだけなのだけれど……。
それでも結構大変な作業だったりする。石を集めるだけでも時間がかかるからだ。しばらく作業をしていると、あることに気がついた。
「あれ?おかしいわ。全然石が集まらない……」
いくら探しても石が見つからないのだ。確かにこの場所は木が少ない。でも、全くないというのはさすがに変だと思う。
「まさか……同業者?石窯を作る輩がいるのかしら?」
そうなると厄介だ。せっかく苦労して集めた石が奪われてしまう可能性がある……とか下らないことを考えながら石を集め続けていると、
「ん?これは……」
ふとあるものを見つけた。それは地面を這っている細長い芋虫みたいな魔物。
「キャアァ!?いやぁああ!!何よコレぇ!!」
私は思わず叫び声を上げた。だって気持ち悪いんだもん!虫だけは無理!人生最大のピンチ!てか良く見たらコイツが地面の石食べてる!
「な、なによコイツ!ちょっと!こっちに来ないでよ!!」
私は必死に逃げようとする。だが、その生物は私を標的にしたらしく、ゆっくりと近づいてくる。
「い、イヤ……来ないで……誰か助けて……!!」
私は涙目で叫ぶ。だが、周囲には誰もいない。完全に孤立無援の状態だ。このままだと私はこの芋虫の魔物の餌になってしまうだろう。だが……その時、遠くから一本の矢が飛んできて一瞬で芋虫を貫く。そしてそのまま絶命した。
その矢が飛んできた方向を見ると、頭が見える。もしかして……隠れているのかしら?……見えてるけど。私は良くその頭を遠目に見ると耳が尖っているように見えた。もしかしてエルフかしら?
私は恐る恐る近づくと、そこにいたのは可憐な少女であった。長い金髪に青い瞳。そして美しい顔立ち。まるで絵本に出てくる妖精みたいだ。
「あ、あのぉ……ありがとうございます」
私が声を掛けるとそのエルフは驚いて大きな大木に隠れこっちを見る。その姿が可愛くて私は笑ってしまった。
「大丈夫よ。ほら、何もしないわ」
私は手を広げて敵意がないことを示す。すると、彼女は恐る恐るという感じで姿を現した。
「あ、あなたは……人間ですか?」
やはりエルフは人間嫌いというのは本当らしい。警戒しながら質問してきた。せっかくエルフなんて稀少な種族に出会えたのだから、さっきのお礼もしたいし仲良くしたいものだ。私はあえて嘘をつくことにした。これはこの子のためだから。
「あー。違うわ」
「え?違う?」
「私は魔女だから。ほら、この通り」
私はそう言って手をかざすと、彼女の前で火を出して見せた。
「……本当に魔女様なの?」
「ええ、そうよ。私は……えっと……パン屋の魔女リンネ=フルールよ」
「ぱん?」
どうやらエルフはパンを知らないようだ。こんなに最強の食べ物を知らないなんて可哀想だわ。
「それより、あなた名前は?」
「あ。私は……フィーナです……」
「フィーナね。助けてくれてありがとう。良かったら私のパン食べない?美味しくて頬っぺたが落ちるわよ」
それを聞いたフィーナは耳をピンと尖らせソワソワしだす。あーこれは興味あるんだな。
「まあ、とりあえず準備をするからあなたは適当にしていて」
私はそのままなんとか集めた石で石窯を作り始める。フィーナは遠目でこっちを見ているけど興味津々といった感じだ。だって耳が尖ってるし。それにここから離れないから少しは私のことを信用してくれているのかもしれない。
そして、出来上がったところでパンを取り出す。今日は昨日のゴブリン討伐で得たお金でバターとミルクを多めに買ったから、甘いブリオッシュを作る。それをフィーナに手渡した。
「はい。熱いうちに召し上がれ。甘くて美味しいわよ」
私が笑顔で言うと、フィーナは驚いた表情を浮かべた後、すぐにパンを口に運ぶ。するとフィーナは突然大粒の涙をこぼす。
「え!?美味しくなかった!?」
「いえ……美味しい……です」
「……ふふ。でしょう?私の作ったパンは世界一なんだから!何があったの?話してくれる?」
「はい。実は……」
フィーナは私に話す。エルフの里から追放されたこと。仲間とはぐれたこと。そして今の状況に至ることを全て話してくれた。
なるほど。彼女は頼る相手も住む場所もないのか……。
というか良く見たら、フィーナってスタイルいいわね。胸も大きい方だし、顔も可憐で可愛らしいし。こんな子が私のパン屋の看板娘になってくれたら最高よね。人間嫌いのエルフが看板娘なんて評判良くなるに決まってるわ!ヤバいわヤバすぎるわ。うん、決めた。
「ねぇフィーナ。行くところが無いなら私の店(仮)で働きなさい!」
私はビシッと指を指して宣言する。フィーナは最初何を言っているのか理解できていないようだったが、しばらくして意味が分かったようで顔を真っ赤にして慌て出す。
「そ、そんな!ダメですよ!!私なんかが人間のお店で働けるわけありません!!」
「大丈夫よ。あなたの美貌があれば問題なし!」
「び、美……!?な、何を言うんですか!!とにかく無理です!」
まぁ!なんてお手本のような反応を見せてくれるんだこの子は。仕方ないわね、ここでこの子を放っておけるわけもないし。
「なら、あなたの住む場所を旅の中で見つける。それより先に私のパン屋さんが開業できたらそこで働く。どう?それなら問題ないでしょ?」
私の提案にフィーナはしばらく考え込む。そして観念したのか小さくため息をつく。
「どっちにしてもこのままじゃいけませんし。リンネ様は魔女なので少し安心だし。その……よろしくお願いします」
「ええよろしくねフィーナ」
ふふ。これで看板娘は手に入れた。一歩前進ね。
「ねぇフィーナあなた食べ物で何が好きかしら?」
「え?……お肉」
「そう。なら今日もホワイトウルフを狩ろうかしら。そのお肉を挟んだ私特製のバーガーは絶品よ?」
「え!?……食べたい……」
「ふふ。それじゃホワイトウルフを狩りにいくわよフィーナ!あなたの歓迎会よ!お腹いっぱい食べさせてあげるから」
「お肉……いっぱい食べます」
こうして私は、はぐれエルフのフィーナを看板娘にすることにした。ふふ。着々と私の夢のパン屋が近づいているわ!
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