【追放29回からの最強宣言!】ギルドで便利屋と呼ばれている私。~嫌われ者同士パーティーを組んだら、なぜか『最強無敵』になれました~
17. 追放者の反逆戦⑤
17. 追放者の反逆戦⑤
私たちはブレイドさんと合流し、クロスから『フレイムドレイクの爪』を奪い依頼物をすべて集めることができた。あとはこれをギルドに届けて依頼完了だ。これでシルバーランクへ昇格できる。そしてギルド冒険証の剥奪はなくなった。良かった……。本当に。
「待て!……オレは認めない!」
「うわ~……格好悪いよ?潔く負けを認めたら?」
「うるさい!そんなことできるか……オレはクロス=セントクレア。幼いころから光の女神に祝福を受けてる特別な存在なんだ!!!!!」
クロス=セントクレア。この世に光の魔法剣を使うことのできる人物は確かに数えるくらいしかいない。悪しき魔物討伐の人間の秘密兵器ともいうべきか、間違いなく優遇された存在なのは言うまでもない。そして彼はパーティーのリーダーとしての責任を持って行動している。そこは尊敬する。
そこへ遅れてクロスのパーティーが戻って来る。
「すまないクロス……遅れを取った」
「これどういう状況!?まさか……クロスが負けたの?」
「え~……」
状況を把握できていないようだ。そうあんたたちは負けたんだよ『便利屋』と呼んでいた私のパーティーに。その時ブレイドさんが唐突にあることを提案する。
「確かにこの依頼物を届ければオレたちの勝ちだ。ただオレはあの時こう言った。間違ってもエルンがそいつらに劣ることはないと。ならこうしよう、エルンとクロスで戦い勝ったほうが勝ちということにするのはどうだ?それならお前たちも飲めるだろう?ただしクロスが負けた時はエルンとアティに謝罪しろ。」
「はぁ?オレがエルンと戦う?ふざけてるのか!なぁみんなも言ってやれ!」
クロスはそうブレイドさんに言い放つ。いつもなら仲間も一緒になって発言してくるはずだが、もうその声が聞こえることはない。それは経験しているからだ。この場で私の力を見ていないのはクロスだけなのだから。
「お前ら……ちっ……いいだろう!勝負だエルン=アクセルロッド。」
「あのブレイドさん!ちょっといいですか?」
私はブレイドさんを呼ぶ。
「なんだ?」
「勝負って私はクロスを倒すことはできませんよ?どうしたら……」
「勝負をつけろと言ってるんだ。お前なら理解できるだろう?この戦いがお前がこれからギルド冒険者として同じような任務で対人を相手するときの勝ち方だ。そしてお前はクロスを負かす事で追放した奴ら全員を見返すことができるんだ。感謝しろ」
勝負をつける……。クロスに負けを認めさせるということか。私の『形態模写』と『相殺の調停』の神格スキルで。さらっと難題を与えてくるなこのおじさんは。やっぱり私の事嫌いでしょ?
「わかった。勝負だよクロス。パーティーのリーダーとしてどっちが強いか決めよう!」
「気に入らない……パーティーのリーダー?どっちが強いかだと?お前からその言葉がでるのは……覚悟しろ勝つのはオレだ!」
私とクロスは剣を抜きお互いを目の前にする。対峙した瞬間分かるクロスは実力者だ、別に弱いわけでもない。でも譲れないものがある。負けられない気持ちは私も持ち合わせている。私にはブレイドさん、ミーユ、アティのギルド冒険者としての人生がかかっている。もう今までの私じゃない!
「なんでこんな面倒なことするのブレイド?」
「それがあいつがこれからギルド冒険者として生きていくために必要な事だからだ。依頼はいつでも複数人でできるかわからない。こういう状況に陥った時このままではエルンは何もできない。いい機会だ。」
「ブレイドってさぁ……エルンの事好きだよね?まるでお父さんみたい」
「オレはあんなでかい娘がいる歳じゃねぇ。まぁ……ああいう馬鹿正直者は嫌いじゃないかもな。」
私とクロスはお互いの動きを見るかのように動き出すことはしない。
あたりに静寂が流れていく。
「………」
(なんなんだ……こいつこんなに異様なオーラを……このオレが動けないだと?)
「………」
(焦らなくていい。私はどうせクロスを倒すことはできない。クロスの攻撃をすべて防ぎきって絶望を与える。私は倒せないという絶望を)
「くっ……認めない……認めるものかぁ!!うおぉぉぉ!!!」
痺れを切らしたのかクロスがその静寂を破り私に向かってくる。そして手数の多い斬撃を放ってくるが私はすべて受け止める。グラッドより一太刀の威力は弱いが素早い。さすがにすべてを受け止めるのは集中が必要だ。でも問題はない。私には最強無敵の『相殺の調停』のスキルがあるから!
「なぜだ……なぜお前はオレの攻撃をすべて受けきっているんだ!?魔物一匹倒すことのできない、平凡な能力の『便利屋』のお前がぁぁぁ!!!」
威力の強い剣戟に私は後ろへ吹き飛ばされる。その威力からクロスのリーダーとしての想いが強いのが分かる。
「認めない!!オレは認めないぞ!!オレは光の女神に祝福を受けてるんだ!!」
クロスは魔力を高め得意の光の魔法剣を使い、私に向かってくる。その剣は煌めく閃光を纏っておりそれが特別なものなのは誰が見てもわかる。並の魔物なら一撃で葬り去ることができるだろう。
でもごめんね。私はあんたが最強だと思っているその光の魔法剣を何回も見たことがあるよ。ブレイドさんは私に勝負をつけろと言った。その意味は私でも理解している。みんなの為にも私自身で引導を渡してやるんだ!
「くらえエルン=アクセルロッドぉぉぉぉ!!!!!」
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
私は強力なクロスの光の魔法剣を受けとめ、あたりにまばゆい閃光が放たれる。その瞬間、鈍い音と共にクロスの剣は私の剣に弾き飛ばされカランカランという音だけがあたりに響いた。クロスは何が起こったのかわからないくらい気が動転しているであろう。私に弾かれた技は自分が最強だと思っている光の魔法剣だったんだから。
「な……」
そして剣をクロスに向けこう言い放ってやる。
「私の勝ちだよ。あんたたちが『便利屋』だと言った私に全員負けたんだ。まだやるなら何度でも私は受けて立つ。さぁ負けを認めて!」
「くっ……オレの……負けだ」
クロスは目を瞑り下を向く。これ以上の屈辱はないだろう。自分の最強の技で負けを宣告されるのは。私はやったんだ……私は自分で自分を証明したんだ。ブレイドさんが言っていた勝負をつけろ=負けを認めさせる。そういうことだったんだよね。
ふと私は空を見上げる……。
そこには今の私の心と同じ雲一つない、澄みきった青空の空間が広がっていたのだった。
私たちはブレイドさんと合流し、クロスから『フレイムドレイクの爪』を奪い依頼物をすべて集めることができた。あとはこれをギルドに届けて依頼完了だ。これでシルバーランクへ昇格できる。そしてギルド冒険証の剥奪はなくなった。良かった……。本当に。
「待て!……オレは認めない!」
「うわ~……格好悪いよ?潔く負けを認めたら?」
「うるさい!そんなことできるか……オレはクロス=セントクレア。幼いころから光の女神に祝福を受けてる特別な存在なんだ!!!!!」
クロス=セントクレア。この世に光の魔法剣を使うことのできる人物は確かに数えるくらいしかいない。悪しき魔物討伐の人間の秘密兵器ともいうべきか、間違いなく優遇された存在なのは言うまでもない。そして彼はパーティーのリーダーとしての責任を持って行動している。そこは尊敬する。
そこへ遅れてクロスのパーティーが戻って来る。
「すまないクロス……遅れを取った」
「これどういう状況!?まさか……クロスが負けたの?」
「え~……」
状況を把握できていないようだ。そうあんたたちは負けたんだよ『便利屋』と呼んでいた私のパーティーに。その時ブレイドさんが唐突にあることを提案する。
「確かにこの依頼物を届ければオレたちの勝ちだ。ただオレはあの時こう言った。間違ってもエルンがそいつらに劣ることはないと。ならこうしよう、エルンとクロスで戦い勝ったほうが勝ちということにするのはどうだ?それならお前たちも飲めるだろう?ただしクロスが負けた時はエルンとアティに謝罪しろ。」
「はぁ?オレがエルンと戦う?ふざけてるのか!なぁみんなも言ってやれ!」
クロスはそうブレイドさんに言い放つ。いつもなら仲間も一緒になって発言してくるはずだが、もうその声が聞こえることはない。それは経験しているからだ。この場で私の力を見ていないのはクロスだけなのだから。
「お前ら……ちっ……いいだろう!勝負だエルン=アクセルロッド。」
「あのブレイドさん!ちょっといいですか?」
私はブレイドさんを呼ぶ。
「なんだ?」
「勝負って私はクロスを倒すことはできませんよ?どうしたら……」
「勝負をつけろと言ってるんだ。お前なら理解できるだろう?この戦いがお前がこれからギルド冒険者として同じような任務で対人を相手するときの勝ち方だ。そしてお前はクロスを負かす事で追放した奴ら全員を見返すことができるんだ。感謝しろ」
勝負をつける……。クロスに負けを認めさせるということか。私の『形態模写』と『相殺の調停』の神格スキルで。さらっと難題を与えてくるなこのおじさんは。やっぱり私の事嫌いでしょ?
「わかった。勝負だよクロス。パーティーのリーダーとしてどっちが強いか決めよう!」
「気に入らない……パーティーのリーダー?どっちが強いかだと?お前からその言葉がでるのは……覚悟しろ勝つのはオレだ!」
私とクロスは剣を抜きお互いを目の前にする。対峙した瞬間分かるクロスは実力者だ、別に弱いわけでもない。でも譲れないものがある。負けられない気持ちは私も持ち合わせている。私にはブレイドさん、ミーユ、アティのギルド冒険者としての人生がかかっている。もう今までの私じゃない!
「なんでこんな面倒なことするのブレイド?」
「それがあいつがこれからギルド冒険者として生きていくために必要な事だからだ。依頼はいつでも複数人でできるかわからない。こういう状況に陥った時このままではエルンは何もできない。いい機会だ。」
「ブレイドってさぁ……エルンの事好きだよね?まるでお父さんみたい」
「オレはあんなでかい娘がいる歳じゃねぇ。まぁ……ああいう馬鹿正直者は嫌いじゃないかもな。」
私とクロスはお互いの動きを見るかのように動き出すことはしない。
あたりに静寂が流れていく。
「………」
(なんなんだ……こいつこんなに異様なオーラを……このオレが動けないだと?)
「………」
(焦らなくていい。私はどうせクロスを倒すことはできない。クロスの攻撃をすべて防ぎきって絶望を与える。私は倒せないという絶望を)
「くっ……認めない……認めるものかぁ!!うおぉぉぉ!!!」
痺れを切らしたのかクロスがその静寂を破り私に向かってくる。そして手数の多い斬撃を放ってくるが私はすべて受け止める。グラッドより一太刀の威力は弱いが素早い。さすがにすべてを受け止めるのは集中が必要だ。でも問題はない。私には最強無敵の『相殺の調停』のスキルがあるから!
「なぜだ……なぜお前はオレの攻撃をすべて受けきっているんだ!?魔物一匹倒すことのできない、平凡な能力の『便利屋』のお前がぁぁぁ!!!」
威力の強い剣戟に私は後ろへ吹き飛ばされる。その威力からクロスのリーダーとしての想いが強いのが分かる。
「認めない!!オレは認めないぞ!!オレは光の女神に祝福を受けてるんだ!!」
クロスは魔力を高め得意の光の魔法剣を使い、私に向かってくる。その剣は煌めく閃光を纏っておりそれが特別なものなのは誰が見てもわかる。並の魔物なら一撃で葬り去ることができるだろう。
でもごめんね。私はあんたが最強だと思っているその光の魔法剣を何回も見たことがあるよ。ブレイドさんは私に勝負をつけろと言った。その意味は私でも理解している。みんなの為にも私自身で引導を渡してやるんだ!
「くらえエルン=アクセルロッドぉぉぉぉ!!!!!」
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
私は強力なクロスの光の魔法剣を受けとめ、あたりにまばゆい閃光が放たれる。その瞬間、鈍い音と共にクロスの剣は私の剣に弾き飛ばされカランカランという音だけがあたりに響いた。クロスは何が起こったのかわからないくらい気が動転しているであろう。私に弾かれた技は自分が最強だと思っている光の魔法剣だったんだから。
「な……」
そして剣をクロスに向けこう言い放ってやる。
「私の勝ちだよ。あんたたちが『便利屋』だと言った私に全員負けたんだ。まだやるなら何度でも私は受けて立つ。さぁ負けを認めて!」
「くっ……オレの……負けだ」
クロスは目を瞑り下を向く。これ以上の屈辱はないだろう。自分の最強の技で負けを宣告されるのは。私はやったんだ……私は自分で自分を証明したんだ。ブレイドさんが言っていた勝負をつけろ=負けを認めさせる。そういうことだったんだよね。
ふと私は空を見上げる……。
そこには今の私の心と同じ雲一つない、澄みきった青空の空間が広がっていたのだった。
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