【王都最強のクラン誕生!】~戦えないやつはいらん。と追放された『スカウト』は【スカウト】されたので、個性派メンバーと共に超絶サポートします~

夕姫

18. ゴーレム討伐(前編)

18. ゴーレム討伐(前編)



 私たちは泣き虫自信家の『ブレードガンナー』のミルフィを仲間に加え、ついに今日は1つ目の目的、ダンジョン『王都の地下迷宮』でゴーレム討伐に挑む。

 正直、まだ不安が残るけど頑張らないとね。私は着替えて店に降りていくと、そこには笑顔のロザリーさんがいた。

「あっおはようなの!今日はダンジョン攻略でしょ?元気が出る朝食作ったの!いっぱい食べるなの!」

 ……いきなり、ダメージを受けるのか。でも不味いとは言えないしな……。そこにミルフィがやってくる。

「おはようございますエステル」

「あっおはようミルフィ」

「美味しそうな朝食ですわね?ロザリーさんが作ったのかしら?」

「そうなの!いっぱい食べるなの!」

「そうですか。では頂きますわね」

 私はミルフィに忠告をしておいてあげる。

「あまり無理して食べない方がいいよ……」

 ミルフィは少しムッとした顔をする。

「なんですの?食べるなと言いたいんですの?」

「あっいや……その……」

 そう言ってミルフィはロザリーさんの料理を口に運ぶ。すると……

「ぐっ……うぅ……」

 やはりか……この人は料理の腕だけは壊滅的だ。

「あー!どうしたの!?大丈夫なの!?」

「……お水下さいまし……」

 ロザリーは慌てて水を持ってきた。そしてそれを飲み干すミルフィ。

「ふぅ……なるほど。これがあなたたちの洗礼なのですわね。いいでしょう。受けて立ちますわ!」

 そう言って無理矢理食べ始めるミルフィ。私と同じく半泣きで食事を終えた。そしてみんなでダンジョンに向かう。

「あはは。ミルフィ姉さん大丈夫?ロザリーさんの料理は食べないほうがいいよ?鬼ヤバいし」

「あの解毒ポーション飲んでください」

 だからルシル。それは失礼だよ。ミルフィは受け取ったポーションを飲み干すと「毒耐性のスキルを習得するべきですわ」とぶつぶつ言いながら歩き出した。

 人数が5人になって私たちは戦略が広がったけど、最大の欠点はある。それは圧倒的な火力不足。メイン職と呼ばれる戦闘向きの職業なら別だけど、私たちは全員サブ職だ。一応リーゼは『ストライカー』で前衛だけど、剣や槍などの武器を持つ相手には分が悪い。

 そんなわけで私たちの戦い方はとにかくヒットアンドアウェイを繰り返すこと。一撃離脱を繰り返しゴーレムの攻撃をかわしつつ攻撃を与えていくという戦法しかない。

 今回は前回よりもさらに厳しい戦いになるだろう。私たちは気を引き締め直してダンジョンに向かった。

「よし!この最強アサシンのあたしについてきなさい!」

「ちょっと待ってキルマリア。みんなに話しておくことがあるわ」

「なにエステルちゃん?」

「このダンジョンのマッピングは6階層まで完璧にしてある。最短ルートでゴーレムがいる7階層までいけるわ」

 そう。だからこそ今の私たちの万全でゴーレム討伐に挑みたい。

「いい?道中はリーゼとルシルで出てきた魔物を倒すわ。キルマリアとミルフィは体力とスキルを温存しつつ応戦して、アイテムサポートは私が受け持つから」

「え?スキルを使うなってこと?それは映えないよ?」

「映えは求めてないわ。ゴーレムにはキルマリアとミルフィのスキルが必要だと思うから。」

「華麗なる正義のブレードガンナーの私を温存するなんて、エステルあなたギャンブラーですわね!嫌いじゃないですけど」

 いや……ミルフィ。あなた弾をはずしたら使いものにならないじゃない。私は心の中でツッコミを入れる。

 ミルフィは一応ソロで攻略しているだけはあるから、おそらく銃剣の接近戦は得意なんだと思う。でもゴーレム戦ではどうしても後衛からの射撃が必要になるから、そこまでは弾を撃たせてはならない。

 キルマリアはこのパーティーの中で一番戦闘能力がある。ただ、アサシンなのにおしゃべりなだけだ。

「了解まぁ任せてよ。ゴーレムにあたしの必殺の一撃を見せればおけね?」

「仕方ありませんわね。私の華麗なる弾幕も見せつけてあげますわ!」

 2人ともやる気満々だ。正直不安が残るけど、もうここまで来たらやるしかない。

「じゃあ行くわよ!」

 私たちはダンジョンに入っていく。マッピングした地図を頼りに進んでいく。道中の魔物はさっきの作戦通り、リーゼとルシルで倒していく。ミルフィとキルマリアは後方から出てくる魔物を倒してもらい、私は回復ポーションや状態異常回復ポーションなどを出し惜しみなく使って2人を援護する。

「なんかいい感じじゃない!団結って感じしてるし!」

「キルマリア。あなたもう少し静かにあるけないの?魔物に気づかれるわよ?」

「えぇー?エステル姉さんがスキル使うなって言ったんじゃん!スキル使っていいなら『忍び足』とか使うけど?」

「いや、足音じゃなくておしゃべりのことよ。」

 本当にこの子は。そんなやり取りを見てみんなは呆れている様子だった。私たちは順調に進んでいきついに7階層に到着する。するとそこには1体の巨大なゴーレムがいた。

「あれがゴーレム?大きいね!あれじゃ私の手じゃ掴むところないね!」

「デカっ!ちょーヤバくない!?」

「なんですのこれ!?大きすぎますわ!?昨日のと違くありません!?」

 確かにミルフィの言う通り、大きさが違う。前のゴーレムよりもかなり大きくなっている。でも……逆に今の私たちにとっては好都合かもしれない。

「とりあえず作戦通りに。キルマリアとミルフィで引きつけるわよ」

「おけまる!」

「わかりましたわ!」

「リーゼは私とルシルの援護。ルシルは防御魔法でキルマリアとミルフィを援護して」

「はーい!」

「分かりました!」

「さぁゴーレムを倒すわよ!」

 大丈夫。私たちならできる。こうして私たちはゴーレム討伐に挑むのだった。

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