【王都最強のクラン誕生!】~戦えないやつはいらん。と追放された『スカウト』は【スカウト】されたので、個性派メンバーと共に超絶サポートします~

夕姫

7. 水色の悪魔

7. 水色の悪魔



 私はリーゼとゲイルさんと共にフォレストベアの討伐をするために森に向かうことにする。

「ねぇフォレストベアってゲイル君より大きい?」

「お前、オレを魔物と比べるな。大きいに決まってるだろ?大体2メートルくらいだが、個体によっては3メートル超えも居る」

「へぇーそうなんだ。じゃあフォレストベアが居たら教えてね!私、戦いたいから!」

 リーゼは凄く嬉しそうにしている。なぜここまで魔物と戦いたいのか……?普通に考えて危険だろうに……。

「エステル。リーゼは定期的に戦って力を発散しないと力をコントロールできないんだ。最近扉をぶち破るのはそのせいだ。あいつはまだ幼い、力のコントロールをするには、まだまだ鍛練が必要なんだよ」

 どうやらリーゼの力はかなりのものらしい。確かに私の部屋の扉を壊した時は尋常じゃない威力だったしね。でもこの様子だと、そのうち本当に酒場を破壊しそうだわ。

「それなら仕方ないですね。でもリーゼ怪我だけはしないでよ?」

「大丈夫だよ!だって私が戦うんだもん!」

 そんな会話をしながら私達は森の中に入っていった。フォレストベアは木々に囲まれた場所を好んで巣を作る習性があるみたいだから、奥の方まで進んでいく。すると早速1匹のフォレストベアに遭遇した。

「あれがフォレストベアかぁ~初めて見たけど大きいね!それじゃサクッと倒しちゃおう!」

「待ってリーゼ。他に魔物がいないか確認するから」

「エステルちゃんそんなことできるの!?すごいすごい!」

 そんなに褒められても。一応『スカウト』だからね。私は索敵スキルの【鷹の目】を起動して辺りを見回す。うん、近くに敵はいないようだ。

「大丈夫。近くには魔物はいないみたい」

「よし!それじゃ行ってくる!」

 そう言うとリーゼはフォレストベアに向かって走り出していく。私たちは『スカウト』『ストライカー』『ソードマスター』の組み合わせだから、私はサポートだよね。

「グルルルルゥ……!!」

 フォレストベアはこちらに気づいて威嚇してくる。そしてそのまま勢いよくリーゼに飛びかかった!

 しかしリーゼはその攻撃をあっさりと受け止めてしまった。そしてフォレストベアの首根っこを掴み力を込めていく。

「グガァァアアッ!!」

 首を掴まれたフォレストベアは必死にもがくが、リーゼの腕力はすさまじいらしくビクともしない。そのまま地面に叩きつける。

「バイバイ」

 そして更に力を込める。ゴギンッという音と共にフォレストベアは動かなくなった。リーゼは息絶えたフォレストベアを投げ捨てるとこっちに戻って来た。

「終わったよー!エステルちゃん!ゲイル君!」

「お疲れ様、リーゼ。それにしても強いのね……」

 私はリーゼの戦いを見て唖然としていた。『ストライカー』って打撃系のスキル持ちじゃないんだっけ?なんであんなにパワーあるのよ……。しかもあの巨体を軽々と持ち上げて投げ飛ばすなんて……。破壊魔と言うより、水色の悪魔だよあの子。

「どうだリーゼ?」

「うーん……まだまだ戦いたいかな~!まだ足りないかも!」

 リーゼはニコニコしながら答える。満足していないみたいだけど、もう十分だと思うんだけど……。

「ねぇ、次はどの魔物と戦うの?早く行こうよ!」

「まぁ待て。まずは休憩だ。腰が痛い。座らせろ」

「えー!ゲイル君、それじゃおじいちゃんじゃん!めんどくさいなぁ……」

 リーゼは不満げな表情を浮かべるが、とりあえずは大人しく従ってくれた。さすがにここで暴れたりはしなかったみたいだ。リーゼは近くの川で水を汲みに行っている。ゲイルさんはロザリーさんが作ってくれたサンドイッチを食べている。

「あの……大丈夫ですかそのサンドイッチ?」

「ああ?ロザリーが作ったものなんだろ?何言ってんだおまえ?」

 ロザリーさんが作ったから聞いているんだけど。もしかしてこの人、味音痴?自覚がないのかな……。

「いや、何でもないです。ところでこれからどうします?」

「そうだな。あと2時間くらいリーゼに戦ってもらったら、街に戻るぞ」

「分かりました。」

 それから2時間ほど、私たちは魔物を倒し続けた。リーゼは相変わらず戦いまくっている。私はリーゼをフォローしながら戦っていた。たまに攻撃を受けることもあったが、すぐにポーションで治せる程度だったので問題はなかった。ちなみにゲイルさんは何もしてなかったけど……。こうして依頼も達成して、リーゼの溜め込んだ力の発散も出来たのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品