自宅で寝ててもレベルアップ! ~転生商人が世界最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に触れてしまった件~
1-1-2. 見せてやろう、本当の強さとやらを
「ぐふぅ!」
俺は爆煙から『瞬歩』スキルで目にも止まらぬ速さで飛び出すと、アッパーカットで勇者を殴り飛ばしたのだ。
勇者の身体は大きく宙を舞い……ドスンと落ちて転がる。
俺はツカツカと勇者に迫った。
「き、貴様何者だ!」
勇者は青い顔をして、じりじりと後ずさりしながら喚く。
「お前もよく知ってるだろ? ただの商人だよ」
そう言いながら勇者のそばに立ち、指をポキポキと鳴らしニヤッと笑った。
「わ、わかった。何が欲しい? 金か? 爵位か? なんでも用意させよう!」
勇者はビビりながら交渉を始める。
俺は勇者を見下ろし、汚いものを見るような目で言った。
「お前は性欲と下らん虚栄心のために俺の大切な人を傷つけ、多くの命を奪った。その罪を償え!」
俺は勇者を蹴り上げ、瞬歩で迫ると、こぶしを顔面に叩きこんだ。
「ぐはぁ!」
もんどりうって転がる勇者。
超満員の闘技場は水を打ったように静まり返った。
人族最強の男がまるで子供のように、いいようにボコボコにされているのだ。観客にとってそれは目を疑うような事態である。
勇者は俺におびえながら、よろよろと立ち上がると、
「わ、分かった! お前の勝ちでいい、約束も守ろう! あ、握手だ、握手しよう!」
そう言いながら右手を差し出してきた……。
俺はしばしその右手を眺め……、チラッと勇者を見る。
「き、君がすごいのは良く分かった。仲良くやろうじゃないか。まず握手から……」
必死にアピールする勇者。
俺は無言で右手をつかんでみる。
すると、勇者はニヤッといやらしい笑みを浮かべながら俺の手をガシッと強くつかみ、叫んだ。
「絶対爆雷《サンダーエクスプロージョン》!」
直後、巨大な雷が天空から降ってきて俺の身体を貫いた。
会場を光で埋め尽くす激烈な閃光は熱を帯び、激しい地鳴りと共に俺の身体から爆炎がゴウッと立ち上る。
キャ――――!!
あまりの衝撃に観客からは悲鳴が巻き起こった。
「バカめ! 魔王すら倒せる究極魔法で黒焦げだ! ハーッハッハッハー!」
勇者が高らかに笑う。
爆炎は高く天を焦がし、放たれる熱線は闘技場一帯を熱く照らした。観客たちはあまりの熱さに顔を覆う。
勝利を確信した勇者だったが……、収まってきた爆炎の中に鋭く青く光る目を見た。
「え……?」
そして、右手が握りつぶされ始めたのを勇者は感じた。
「お、お前まだ生きてるのか!? ちょ、ちょっと痛い! や、止めてくれ!」
もだえる勇者。
チートで上げまくった俺の魔法防御力は、勇者の魔法攻撃力をはるかに上回っているのだ。効くわけがない。
俺は無表情でさらに強く勇者の手を握る。ベキベキベキッと音を立てながら手甲ごと潰れる勇者の右手。
「ぐわぁぁぁ!」
思わず尻もちをついて無様にうずくまる勇者。
「嘘つきの卑怯者が……」
俺は勇者に迫ると顔面を思いっきり蹴り上げた。
ゴスッという嫌な音と共に勇者が吹き飛び、真っ赤な血が飛び散って闘技場を染めた。
「きゃぁっ!」「うわっ!」
観客から悲痛な声が漏れる。
俺がスタスタと近づくと、勇者はボロボロになりながら
「わ、悪かった……全部俺が悪かった。は、反省する……」
と、ようやく罪を認めた。
俺は勇者のよろいをつかみ、持ち上げると言った。
「今後一切、俺や俺の仲間には関わらないこと、リリアン姫との結婚は断ること、分かったな?」
勇者は腫れあがった顔をさらしながら、
「わ、分かった」
と言った。
俺はもう一発、拳でこづくと、
「『分かりました』だろ?」
と、すごんだ。
目を回した勇者は小さな声で、
「す、すみません、分かり……ました」
そう言ってガクッと気を失った。
俺は勇者を舞台の外に無造作に放り、レフェリーを見る。
呆然としていたレフェリーは、俺の視線に気づいてあわてて叫ぶ。
「しょ、勝者……、えーと……ユーター!」
この瞬間、俺は武闘会優勝者となった。
俺はちょっとすっきりして右手を高く掲げる。
観客は、何があったかよく分からない様子だった。
人族トップクラスの強さを誇る王国の英雄、勇者が、ただの街の商人にボコボコにされ、倒されたのだ。一体これをどう理解したらいいのか、みんな困惑していた。
まぁ、それは仕方ない。もちろん、勇者は強い。俺以外なら世界トップだろう。だが、チートでひそかに鍛えていた俺のレベルは千を超えている。職種こそ『商人』ではあるが、これだけレベル差があるとたとえ『勇者』だろうが瞬殺なのだ。勝負になどなりようがない。
闘技場に集まった数千の観客たちはどよめいていた。
この平凡な街の商人が、勇者を倒せるのだとしたら、勇者とは何なのか? 観客たちはお互い顔を見合わせて首をひねるばかりだった。
俺はそんなザワザワしている観客たちをぐるっと見回し……、そして、貴賓席に向かって胸に手を当て、姿勢を正した。
コホンと軽く咳ばらいをし、豪奢な椅子にふんぞり返って座る王様に向かって大きく張りのある声で叫んだ。
「国王陛下、この度は素晴らしい武闘会を開催してくださったこと、謹んで御礼申し上げます!
ご覧いただきました通り、優勝者はわたくしに決まりました! つきましては、リリアン姫との結婚をお許しいただきたく存じます!」
王様の隣で可憐なドレスに身を包んだ絶世の美女、リリアンは両手を組み、感激のあまり目には涙すら浮かべていた。
王様はあっけにとられていたが、俺の言葉を聞いて激怒した。
「商人ごときが王族と結婚などできるわけなかろう! ふ、不正だ! 何か怪しいことを仕組んだに違いない! ひっとらえろ!」
王様の掛け声で警備兵がドッと舞台に上って俺を包囲する。
しかし、レベル千の俺からしたら雑兵など何の意味もない。体操競技選手のようにタンッと飛び上がり、クルクルッと回りながら警備兵を飛び越えると、
「みんな! ありがとー!」
と、観客席に手を振ってそのままゲートを突破し、退場した。
リリアンとの約束は『勇者との結婚を阻むこと』。これでお役目終了だ、ホッとした。
遠くの街まで逃げてまた商人を続ければいい、金ならいくらでもあるのだ。
だが、世の中そう簡単にはいかない。この世界は俺のようなチートを見逃してはくれないのだった。
ともあれ、なぜこんなことになったのか、順を追って語ってみたい。
俺は瀬崎豊、なんとか憧れの大学には入ったものの折からの不景気で就活に失敗。アルバイトをしながらのギリギリの暮らしに転落してしまった。
遊びまわる金もなく、ゲームばかりの毎日。しかも無課金だから、プレイ時間と技で何とか食らいついていくような惨めなプレイスタイルだった。
必死になった分、ゲームシステムの隙をつくような技にかけては自信はあるのだが、そんなスキルあっても全く金にはならないのだ。
カップラーメンや菓子パン詰め込んで朝までゲーム、そしてバイト。こんな暮らしがいつまでも続くわけがない。ある日、ついに不摂生がたたり、ゲームのイベント周回中に心臓が止まった。
俺は爆煙から『瞬歩』スキルで目にも止まらぬ速さで飛び出すと、アッパーカットで勇者を殴り飛ばしたのだ。
勇者の身体は大きく宙を舞い……ドスンと落ちて転がる。
俺はツカツカと勇者に迫った。
「き、貴様何者だ!」
勇者は青い顔をして、じりじりと後ずさりしながら喚く。
「お前もよく知ってるだろ? ただの商人だよ」
そう言いながら勇者のそばに立ち、指をポキポキと鳴らしニヤッと笑った。
「わ、わかった。何が欲しい? 金か? 爵位か? なんでも用意させよう!」
勇者はビビりながら交渉を始める。
俺は勇者を見下ろし、汚いものを見るような目で言った。
「お前は性欲と下らん虚栄心のために俺の大切な人を傷つけ、多くの命を奪った。その罪を償え!」
俺は勇者を蹴り上げ、瞬歩で迫ると、こぶしを顔面に叩きこんだ。
「ぐはぁ!」
もんどりうって転がる勇者。
超満員の闘技場は水を打ったように静まり返った。
人族最強の男がまるで子供のように、いいようにボコボコにされているのだ。観客にとってそれは目を疑うような事態である。
勇者は俺におびえながら、よろよろと立ち上がると、
「わ、分かった! お前の勝ちでいい、約束も守ろう! あ、握手だ、握手しよう!」
そう言いながら右手を差し出してきた……。
俺はしばしその右手を眺め……、チラッと勇者を見る。
「き、君がすごいのは良く分かった。仲良くやろうじゃないか。まず握手から……」
必死にアピールする勇者。
俺は無言で右手をつかんでみる。
すると、勇者はニヤッといやらしい笑みを浮かべながら俺の手をガシッと強くつかみ、叫んだ。
「絶対爆雷《サンダーエクスプロージョン》!」
直後、巨大な雷が天空から降ってきて俺の身体を貫いた。
会場を光で埋め尽くす激烈な閃光は熱を帯び、激しい地鳴りと共に俺の身体から爆炎がゴウッと立ち上る。
キャ――――!!
あまりの衝撃に観客からは悲鳴が巻き起こった。
「バカめ! 魔王すら倒せる究極魔法で黒焦げだ! ハーッハッハッハー!」
勇者が高らかに笑う。
爆炎は高く天を焦がし、放たれる熱線は闘技場一帯を熱く照らした。観客たちはあまりの熱さに顔を覆う。
勝利を確信した勇者だったが……、収まってきた爆炎の中に鋭く青く光る目を見た。
「え……?」
そして、右手が握りつぶされ始めたのを勇者は感じた。
「お、お前まだ生きてるのか!? ちょ、ちょっと痛い! や、止めてくれ!」
もだえる勇者。
チートで上げまくった俺の魔法防御力は、勇者の魔法攻撃力をはるかに上回っているのだ。効くわけがない。
俺は無表情でさらに強く勇者の手を握る。ベキベキベキッと音を立てながら手甲ごと潰れる勇者の右手。
「ぐわぁぁぁ!」
思わず尻もちをついて無様にうずくまる勇者。
「嘘つきの卑怯者が……」
俺は勇者に迫ると顔面を思いっきり蹴り上げた。
ゴスッという嫌な音と共に勇者が吹き飛び、真っ赤な血が飛び散って闘技場を染めた。
「きゃぁっ!」「うわっ!」
観客から悲痛な声が漏れる。
俺がスタスタと近づくと、勇者はボロボロになりながら
「わ、悪かった……全部俺が悪かった。は、反省する……」
と、ようやく罪を認めた。
俺は勇者のよろいをつかみ、持ち上げると言った。
「今後一切、俺や俺の仲間には関わらないこと、リリアン姫との結婚は断ること、分かったな?」
勇者は腫れあがった顔をさらしながら、
「わ、分かった」
と言った。
俺はもう一発、拳でこづくと、
「『分かりました』だろ?」
と、すごんだ。
目を回した勇者は小さな声で、
「す、すみません、分かり……ました」
そう言ってガクッと気を失った。
俺は勇者を舞台の外に無造作に放り、レフェリーを見る。
呆然としていたレフェリーは、俺の視線に気づいてあわてて叫ぶ。
「しょ、勝者……、えーと……ユーター!」
この瞬間、俺は武闘会優勝者となった。
俺はちょっとすっきりして右手を高く掲げる。
観客は、何があったかよく分からない様子だった。
人族トップクラスの強さを誇る王国の英雄、勇者が、ただの街の商人にボコボコにされ、倒されたのだ。一体これをどう理解したらいいのか、みんな困惑していた。
まぁ、それは仕方ない。もちろん、勇者は強い。俺以外なら世界トップだろう。だが、チートでひそかに鍛えていた俺のレベルは千を超えている。職種こそ『商人』ではあるが、これだけレベル差があるとたとえ『勇者』だろうが瞬殺なのだ。勝負になどなりようがない。
闘技場に集まった数千の観客たちはどよめいていた。
この平凡な街の商人が、勇者を倒せるのだとしたら、勇者とは何なのか? 観客たちはお互い顔を見合わせて首をひねるばかりだった。
俺はそんなザワザワしている観客たちをぐるっと見回し……、そして、貴賓席に向かって胸に手を当て、姿勢を正した。
コホンと軽く咳ばらいをし、豪奢な椅子にふんぞり返って座る王様に向かって大きく張りのある声で叫んだ。
「国王陛下、この度は素晴らしい武闘会を開催してくださったこと、謹んで御礼申し上げます!
ご覧いただきました通り、優勝者はわたくしに決まりました! つきましては、リリアン姫との結婚をお許しいただきたく存じます!」
王様の隣で可憐なドレスに身を包んだ絶世の美女、リリアンは両手を組み、感激のあまり目には涙すら浮かべていた。
王様はあっけにとられていたが、俺の言葉を聞いて激怒した。
「商人ごときが王族と結婚などできるわけなかろう! ふ、不正だ! 何か怪しいことを仕組んだに違いない! ひっとらえろ!」
王様の掛け声で警備兵がドッと舞台に上って俺を包囲する。
しかし、レベル千の俺からしたら雑兵など何の意味もない。体操競技選手のようにタンッと飛び上がり、クルクルッと回りながら警備兵を飛び越えると、
「みんな! ありがとー!」
と、観客席に手を振ってそのままゲートを突破し、退場した。
リリアンとの約束は『勇者との結婚を阻むこと』。これでお役目終了だ、ホッとした。
遠くの街まで逃げてまた商人を続ければいい、金ならいくらでもあるのだ。
だが、世の中そう簡単にはいかない。この世界は俺のようなチートを見逃してはくれないのだった。
ともあれ、なぜこんなことになったのか、順を追って語ってみたい。
俺は瀬崎豊、なんとか憧れの大学には入ったものの折からの不景気で就活に失敗。アルバイトをしながらのギリギリの暮らしに転落してしまった。
遊びまわる金もなく、ゲームばかりの毎日。しかも無課金だから、プレイ時間と技で何とか食らいついていくような惨めなプレイスタイルだった。
必死になった分、ゲームシステムの隙をつくような技にかけては自信はあるのだが、そんなスキルあっても全く金にはならないのだ。
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