自宅で寝ててもレベルアップ! ~転生商人が世界最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に触れてしまった件~
1-1. 見せてやろう、本当の強さとやらを
「ぐわぁぁぁ! 勇者めぇ!!」
目の前で激しい灼熱のエネルギーがほとばしり、核爆弾レベルの閃光が麦畑を、街を、辺り一帯を覆った――――。
倉庫も木々も周りの工場も一瞬で粉々に吹き飛ばされ、まさにこの世の終わりのような光景が展開されていく。
立ち上る灼熱の巨大キノコ雲を目の前にして、俺は愕然とする。勇者の命を何とも思わない発想はもはや悪魔としか思えなかった。
彼女……、ドロシーはどうなってしまっただろうか?
爆煙たち込める爆心地の灼熱の地獄に突っ込んでいくと、俺は瓦礫の山を必死で掘っていった。
「ドロシー! ドロシー!!」
自然と溢れ出す涙がポタポタと落ちていく。
石をどかしていくと、見慣れた白い綺麗な手が見えた。
見つけた!
「ドロシー!!」
俺は急いで手をつかむ……が、何かがおかしい……。
「え? なんだ?」
俺はそーっと手を引っ張ってみる……。
すると、スポッと簡単に抜けてしまった。
「え?」
なんと、ドロシーの手は肘までしかなかったのである。
「あぁぁぁぁ……」
俺は崩れ落ちた。一体彼女が何をしたというのか? なぜこんな罰を受けねばならないのか?
「うわぁぁぁぁ! ドロシー!!」
さっきまで美しい笑顔を見せていた彼女はもう居ない。
俺は狂ったように泣き喚いた。
「勇者……、お前は絶対に許さん……」
俺はドロシーの腕をきつく胸に抱き、涙をぽたぽたと落としながら復讐を誓った。
準備を重ねること数カ月、ついにその時がやってきた――――。
「さぁ皆さんお待ちかね! 我らが勇者様の登場です!」
ウワ――――ッ!! ピューィィ――――!!
超満員の闘技場に勇者が登場し、場内の熱気は最高潮に達した。
今日は武闘会の最終日。いよいよ決勝戦が始まるのだ。
金髪をキラキラとなびかせて、豪奢なよろいを装備した勇者は、観客に向かって煌びやかな聖剣を高々と掲げ、歓声に応えた。
続いて、俺の入場である。
「対するは~! えーと、武器の店『星多き空』店主、ユータ……かな?」
呼び声がかかると、俺は淡々と舞台に進み出た。地味で冴えない中世ヨーロッパ風の服を着こみ、ハンチング帽をかぶった、ひょろっとしたただの商人。ポケットに手を突っ込んで、武器も持っていない、ただの会場の作業員と変わらないいで立ちである。
観客たちはなぜ丸腰の商人が勇者と戦うのか、訳が分からずどよめいている。
「なぜ、お前がここにいる……」
勇者はムッとした表情で、俺を見下しながら言う。
「お前に殺された者、襲われた者を代表し、お前に泣いて謝らせるために来た」
俺は勇者をにらみながら淡々と返した。
「貴族は平民を犯そうが殺そうが合法だ。俺に殺される? 名誉な事じゃないか!」
勇者は悪びれず、いやらしい笑みを浮かべる。
「このクズが……」
激しい怒りが俺を貫く。
「お前、武器はどうした?」
何も持ってない俺を見て、訝しげに勇者は聞いてくる。
「お前ごときに武器など要らん」
バカにされたと思った勇者は、聖剣をビュッと振って俺を指し、叫んだ。
「たかが商人の分際で、勇者の俺様に勝てるとでも思ってんのか!」
俺はニヤッと笑い、
「勝つよ。勝ったら土下座して俺たちに二度と関わるな……、リリアン姫との結婚もあきらめろよ」
と、いいながら勇者を指さす。
勇者はあきれた表情で、
「いいだろう……。だが、生意気言った奴は全員殺す……、これが俺様のルールだ」
そう言って、いやらしく嗤った。
「約束だからな。こちらも殺しちゃったら……、ごめんね」
俺は勇者にニッコリと笑いかけた。
しばし、にらみ合う両者……。
「はい、両者位置について~!」
レフェリーが叫ぶ。
勇者は指定位置まで下がり、聖剣を目の前に立てると、フンッと気合を込めた。
すると、刀身に青く光る幻獣の模様が浮きあがり、金の装飾が施されたミスリル製のよろいも青く光り始める。
ウォ――――!
超満員のスタンドから地響きのような歓声が上がる。『人族最強』の男が最高の装備をスタンバイしたのだ。きっとあのふざけた商人の首が飛ぶところが見られるだろう。観客たちはそんな野蛮な期待に興奮を隠せなかった。
俺は青白く浮き上がる『鑑定スキル』のウィンドウを見ていた。勇者のステータスがぐんぐんと上がっていく。もともと二百レベル相当だった勇者の攻撃力は、各種強化武具で今や三百レベル相当を超えている。なるほど、これは確かに人族最強レベルだ。
観客からかけ声が上がる。
「勇者様~!」「いいぞー!」「カッコい――――!」「抱いて――――!」
俺は闘技場をぐるりと見まわし、観客の盛り上がりに申し訳なさを覚えた。
この勇者は極悪人だ。俺の大切な人を攫い、乱暴し、挙句の果てに勇者の仲間ごと爆殺したのだ。観客の期待を裏切るようで悪いが、二度と悪さができないように叩きのめしてやる。
準備が整ったのを見て、レフェリーが叫ぶ。
「レディ――――ッ! ファイッ!」
勇者は俺をにらみ、大きく息をすると、
「ゴミが! 死にさらせ――――!」
と、吠えながら、すさまじい速度で迫り、目にも止まらぬ速さで俺めがけて聖剣を振り下ろした。聖剣の速度は音速を超え、ドン!という衝撃波の爆音が空気を切り裂く。
人族最高レベルの攻撃、見事だ。しかし……
ガッ!
俺は顔色一つ変えず、聖剣の刃を左手で無造作につかんだ。
「えっ!? あ、あれ!?」
勇者はうろたえた。
あわてて聖剣を構えなおそうとするが……俺につかまれた聖剣はビクともしない。
「ちょっと、何すんだよ!」
勇者は冷や汗を垂らしながら、俺に文句を言う。バカなのかな?
「武器なんかに頼っちゃダメだな」
そう言って、勇者の手から聖剣を奪い取った。
「うわっ! 返せよ!!」
聖剣を取り上げられてうろたえる勇者。
「約束は守れよ」
俺はそう言うと、刃をつかんだまま、素早く聖剣の鍔で勇者の頭をどつき、吹き飛ばした。
勇者は、
「ぐぉっ」
と、わめき、間抜けな顔をさらして転がる。
どよめく観衆。
俺は聖剣を投げ捨て、勇者をにらむ。
「いたたた……」
どつかれた頭を手で押さえながら、ゆっくりと体を起こす勇者。
「き、貴様! 怪しい技を使いやがって!!」
そう叫ぶと、勇者は口から流れる血を指先でぬぐいながら、よろよろと立ち上がり、
「許さん! 許さんぞぉ!! ぬぉぉぉぉ!」
と、わめきながら、全身に気合をこめ始めた。身体は徐々に輝き始める。
「ぐぉぉぉぉ!」
勇者の叫び声は闘技場に響きわたり、金色に光り輝く姿は神々しくすら見えた。
そして、ドヤ顔で俺を見下した。
「見せてやろう、勇者の……、選ばれた者の力を!」
勇者は両腕をクロスさせると指先をまぶしく光らせた。
「え? 見せて」
俺はワクワクし、ニヤッと笑った。初めて見る勇者の技……どんな技だろうか?
「光子斬!」
勇者は叫びながら両腕を素早く開き、まばゆい光跡から光の刃が俺めがけて放たれる……が、俺はガッカリしながらすかさずそれを叩き落とした。
光の刃は舞台に落ち、激しい地響きと共に大爆発を起こす。衝撃波は観客席にまで届き、悲鳴が上がった。
舞台上には爆炎が煌めき、舞台の上にはもうもうと煙が上がっている。
「な、なぜだ!」
勇者は光の刃を叩き落とされたことに動揺を隠せない。叩き落せるなんて勇者も知らなかったのだ。
次の瞬間、勇者の身体は宙を舞う。
目の前で激しい灼熱のエネルギーがほとばしり、核爆弾レベルの閃光が麦畑を、街を、辺り一帯を覆った――――。
倉庫も木々も周りの工場も一瞬で粉々に吹き飛ばされ、まさにこの世の終わりのような光景が展開されていく。
立ち上る灼熱の巨大キノコ雲を目の前にして、俺は愕然とする。勇者の命を何とも思わない発想はもはや悪魔としか思えなかった。
彼女……、ドロシーはどうなってしまっただろうか?
爆煙たち込める爆心地の灼熱の地獄に突っ込んでいくと、俺は瓦礫の山を必死で掘っていった。
「ドロシー! ドロシー!!」
自然と溢れ出す涙がポタポタと落ちていく。
石をどかしていくと、見慣れた白い綺麗な手が見えた。
見つけた!
「ドロシー!!」
俺は急いで手をつかむ……が、何かがおかしい……。
「え? なんだ?」
俺はそーっと手を引っ張ってみる……。
すると、スポッと簡単に抜けてしまった。
「え?」
なんと、ドロシーの手は肘までしかなかったのである。
「あぁぁぁぁ……」
俺は崩れ落ちた。一体彼女が何をしたというのか? なぜこんな罰を受けねばならないのか?
「うわぁぁぁぁ! ドロシー!!」
さっきまで美しい笑顔を見せていた彼女はもう居ない。
俺は狂ったように泣き喚いた。
「勇者……、お前は絶対に許さん……」
俺はドロシーの腕をきつく胸に抱き、涙をぽたぽたと落としながら復讐を誓った。
準備を重ねること数カ月、ついにその時がやってきた――――。
「さぁ皆さんお待ちかね! 我らが勇者様の登場です!」
ウワ――――ッ!! ピューィィ――――!!
超満員の闘技場に勇者が登場し、場内の熱気は最高潮に達した。
今日は武闘会の最終日。いよいよ決勝戦が始まるのだ。
金髪をキラキラとなびかせて、豪奢なよろいを装備した勇者は、観客に向かって煌びやかな聖剣を高々と掲げ、歓声に応えた。
続いて、俺の入場である。
「対するは~! えーと、武器の店『星多き空』店主、ユータ……かな?」
呼び声がかかると、俺は淡々と舞台に進み出た。地味で冴えない中世ヨーロッパ風の服を着こみ、ハンチング帽をかぶった、ひょろっとしたただの商人。ポケットに手を突っ込んで、武器も持っていない、ただの会場の作業員と変わらないいで立ちである。
観客たちはなぜ丸腰の商人が勇者と戦うのか、訳が分からずどよめいている。
「なぜ、お前がここにいる……」
勇者はムッとした表情で、俺を見下しながら言う。
「お前に殺された者、襲われた者を代表し、お前に泣いて謝らせるために来た」
俺は勇者をにらみながら淡々と返した。
「貴族は平民を犯そうが殺そうが合法だ。俺に殺される? 名誉な事じゃないか!」
勇者は悪びれず、いやらしい笑みを浮かべる。
「このクズが……」
激しい怒りが俺を貫く。
「お前、武器はどうした?」
何も持ってない俺を見て、訝しげに勇者は聞いてくる。
「お前ごときに武器など要らん」
バカにされたと思った勇者は、聖剣をビュッと振って俺を指し、叫んだ。
「たかが商人の分際で、勇者の俺様に勝てるとでも思ってんのか!」
俺はニヤッと笑い、
「勝つよ。勝ったら土下座して俺たちに二度と関わるな……、リリアン姫との結婚もあきらめろよ」
と、いいながら勇者を指さす。
勇者はあきれた表情で、
「いいだろう……。だが、生意気言った奴は全員殺す……、これが俺様のルールだ」
そう言って、いやらしく嗤った。
「約束だからな。こちらも殺しちゃったら……、ごめんね」
俺は勇者にニッコリと笑いかけた。
しばし、にらみ合う両者……。
「はい、両者位置について~!」
レフェリーが叫ぶ。
勇者は指定位置まで下がり、聖剣を目の前に立てると、フンッと気合を込めた。
すると、刀身に青く光る幻獣の模様が浮きあがり、金の装飾が施されたミスリル製のよろいも青く光り始める。
ウォ――――!
超満員のスタンドから地響きのような歓声が上がる。『人族最強』の男が最高の装備をスタンバイしたのだ。きっとあのふざけた商人の首が飛ぶところが見られるだろう。観客たちはそんな野蛮な期待に興奮を隠せなかった。
俺は青白く浮き上がる『鑑定スキル』のウィンドウを見ていた。勇者のステータスがぐんぐんと上がっていく。もともと二百レベル相当だった勇者の攻撃力は、各種強化武具で今や三百レベル相当を超えている。なるほど、これは確かに人族最強レベルだ。
観客からかけ声が上がる。
「勇者様~!」「いいぞー!」「カッコい――――!」「抱いて――――!」
俺は闘技場をぐるりと見まわし、観客の盛り上がりに申し訳なさを覚えた。
この勇者は極悪人だ。俺の大切な人を攫い、乱暴し、挙句の果てに勇者の仲間ごと爆殺したのだ。観客の期待を裏切るようで悪いが、二度と悪さができないように叩きのめしてやる。
準備が整ったのを見て、レフェリーが叫ぶ。
「レディ――――ッ! ファイッ!」
勇者は俺をにらみ、大きく息をすると、
「ゴミが! 死にさらせ――――!」
と、吠えながら、すさまじい速度で迫り、目にも止まらぬ速さで俺めがけて聖剣を振り下ろした。聖剣の速度は音速を超え、ドン!という衝撃波の爆音が空気を切り裂く。
人族最高レベルの攻撃、見事だ。しかし……
ガッ!
俺は顔色一つ変えず、聖剣の刃を左手で無造作につかんだ。
「えっ!? あ、あれ!?」
勇者はうろたえた。
あわてて聖剣を構えなおそうとするが……俺につかまれた聖剣はビクともしない。
「ちょっと、何すんだよ!」
勇者は冷や汗を垂らしながら、俺に文句を言う。バカなのかな?
「武器なんかに頼っちゃダメだな」
そう言って、勇者の手から聖剣を奪い取った。
「うわっ! 返せよ!!」
聖剣を取り上げられてうろたえる勇者。
「約束は守れよ」
俺はそう言うと、刃をつかんだまま、素早く聖剣の鍔で勇者の頭をどつき、吹き飛ばした。
勇者は、
「ぐぉっ」
と、わめき、間抜けな顔をさらして転がる。
どよめく観衆。
俺は聖剣を投げ捨て、勇者をにらむ。
「いたたた……」
どつかれた頭を手で押さえながら、ゆっくりと体を起こす勇者。
「き、貴様! 怪しい技を使いやがって!!」
そう叫ぶと、勇者は口から流れる血を指先でぬぐいながら、よろよろと立ち上がり、
「許さん! 許さんぞぉ!! ぬぉぉぉぉ!」
と、わめきながら、全身に気合をこめ始めた。身体は徐々に輝き始める。
「ぐぉぉぉぉ!」
勇者の叫び声は闘技場に響きわたり、金色に光り輝く姿は神々しくすら見えた。
そして、ドヤ顔で俺を見下した。
「見せてやろう、勇者の……、選ばれた者の力を!」
勇者は両腕をクロスさせると指先をまぶしく光らせた。
「え? 見せて」
俺はワクワクし、ニヤッと笑った。初めて見る勇者の技……どんな技だろうか?
「光子斬!」
勇者は叫びながら両腕を素早く開き、まばゆい光跡から光の刃が俺めがけて放たれる……が、俺はガッカリしながらすかさずそれを叩き落とした。
光の刃は舞台に落ち、激しい地響きと共に大爆発を起こす。衝撃波は観客席にまで届き、悲鳴が上がった。
舞台上には爆炎が煌めき、舞台の上にはもうもうと煙が上がっている。
「な、なぜだ!」
勇者は光の刃を叩き落とされたことに動揺を隠せない。叩き落せるなんて勇者も知らなかったのだ。
次の瞬間、勇者の身体は宙を舞う。
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