ガチャ転生!~異世界でFラン冒険者ですが、ガチャを引いてチートになります

武蔵野純平

第97話 新ダンジョンへ

 ――翌日。


 第三冒険者ギルド全員で新しいダンジョンに向かった。


 参加メンバーは――


 ・スコットさんたち王者の魂:五人
 ・俺、サクラ、セレーネ、マチルダ:四人
 ・銀翼のフランチェスカさん、師匠神速のダグ:二人
 ・ギルド長ハゲール、受付のジュリさん:二人


 ――合計十三人だ。


 第三冒険者ギルドを出て、俺の案内で東へ向かう。
 一時間ほど歩いた所で、草地右の魔の森を指さす。


「そこです。そこの木の間にダンジョンの入り口があります。わかりますか?」


「おおっ!」
「本当だ!」


 スコットさんとハゲールが興奮して騒ぐ。
 フランチェスカさんと師匠は流石だ。
 慌てず騒がずジッと観察している。


「なあ、ダグ。ダグの弟子が見つけたダンジョンは、入り口が広い」


「そうだな、フランチェスカ。あんな広い入り口を持つダンジョンは、初めて見るな」


 フランチェスカさんと師匠の言う通りで、ここのダンジョンの入り口は横に広い。
 ルドルのダンジョンの入り口は、石造りの階段で人が四、五人、並べる程度の幅だった。
 師匠とフランチェスカさんは、新しいダンジョンの入り口に少し警戒をしているようだ。


 二人に目をやるとうなずいたので、俺が先頭に立ちダンジョンへ向かう。


「じゃあ、行きましょう」


 俺が歩き出すと、サクラ、セレーネ、マチルダから注意が飛んで来た。


「あー、ヒロトさん! ちょっと待って下さい!」
「一人で行かない!」
「パーティーとして行動して!」


「おっ! ごめん!」


 俺とサクラが左右に並び、後ろをセレーネとマチルダが固める。
 パーティーとして探索フォーメーションを作ってから、魔の森に足を踏み入れた。


 マチルダにパーティーメンバーとしての自覚が出たのが嬉しい。


 服装も変わった。
 昨日まではドレス姿だったけれど、今日は動きやすそうなキュロットスカートに革のショートブーツ、通気性の良さそうなシャツの上に革鎧を着込んでいる。


 魔法使いらしいのはマントと杖だけで、動きやすさ重視の若手冒険者らしい格好だ。
 魔の森の中を逃げ回った事で、色々と意識に変化が出たのだろう。


 ひと騒動あったけれど、結果的に良かった。
 雨降って地固まる、だな。


 俺たちヒロトのパーティー、銀翼、ギルド長たち、王者の魂の順番で進む。
 魔の森に入ってすぐにダンジョンの入り口だ。


 普通のダンジョンの入り口は、地下鉄の入り口程度の幅なのだが、新しいダンジョンの入り口は、馬車がすれ違えるほどの幅がある。
 この前は気が付かなかったけれど、こうして正面から見ると圧迫感や何か他のダンジョンとは違う感じがするな。


 俺は悪魔に新しいダンジョンのアイデアを色々出した。
 この入り口が広いのも俺のアイデアだ。
 まあ、理由は色々とあって、入り口は広くしておけと悪魔にいったのだが……。


 普通のダンジョンと違う様子に、みんなが警戒度を上げてピリピリしているのがわかる。


 俺は入った事があるし、何よりこのダンジョンは顔見知りの悪魔が造ったダンジョンだ。
 だから下に降りても危険は無い事を知っている。


 とは言え……。
 緊張感ゼロでピックニックに行く雰囲気もおかしいからな。
 少し芝居しとくか……。
 俺は眉間にグッとシワを寄せ、腰を落として警戒する素振りを見せる。


 すると、スキル【意識潜入】でサクラが話しかけて来た。


(ヒロトさん。このダンジョンって……)


(悪魔が造ったダンジョンだよ)


(やっぱりそうですか! じゃあ、警戒する必要はないですね)


(いや、それも逆に不自然なので、警戒している風で芝居しているよ)


(なるほど! それもそうですね!)


 言うが早いか、サクラは腰をかがめて辺りをキョロキョロと見回す。


「異常はないか? 大丈夫かな? むむむ!」


 いや、そのセリフわざとらしいから。
 その昭和のコントみたいなノリは止めろ!


「サクラちゃん、何をしているの?」


「警戒ですよ! セレーネちゃん!」


「真面目にやって」


「ガーン! 凄く真剣にやっていたのに!」


 サクラの様子にマチルダが困惑して、俺に小声で問いかけて来る。


「ねえ!? あんたたちホントにC級冒険者なの?」


「まあ、一応……」


「緊張感ないわね~」


「どうも、すいません」


 入り口から地下一階への通路は、石造りのゆるやかなスロープになっている。
 ゆっくりと、一歩一歩、スロープを降りて行く。
 若干一名、キョロキョロと挙動不審なヤツがいるけど、スルーだ。


 俺たちは新しいダンジョンの地下一階に足を踏み入れた。



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