ガチャ転生!~異世界でFラン冒険者ですが、ガチャを引いてチートになります
第12話 2日目 冒険者Fランクから昇格試練
昇格をかけた2日目は最悪だった。
ハゲールが俺を妨害する為に、妨害役の冒険者を雇ったのだ。
総勢12人が俺の周りを一日中うろついた。
師匠のチーズレーショントラップを、奴らに見せる訳にもいかない。
仕方なく普通にダンジョン内を、うろついて狩りをした。
しかし、タミーマウスが現れる度に、奴らが獲物を横取りしていく。
移動しても付いて来るので、まくことも出来ない。
妨害役の冒険者はみなEランクで、俺と大して年も変わらない。
さすがに師匠も子供相手では文句を言えず、打つ手がなかった。
この日の成果は0だった。
*
「この! 恥を知れ! ハゲール!」
師匠は、ダンジョンから出ると真っ直ぐにギルドに来た。
かなり怒っている。
師匠の剣幕にギルドの受付は、冷え冷えになっている。
ロビーにたむろしている冒険者も師匠と目を合わせないように、あさっての方向を向いている。
妨害部隊の連中もロビーの隅に固まって、俺は知らない、とすました顔で飲み物を飲んでいる。
何かあったら止めなきゃ!
……とは思うけど。
S級冒険者の神速のダグを誰が止めるんだって話だ。
「ハーゲル! Fランクの冒険者相手に妨害工作など、オマエにはプライドがないのか!」
マー、そうですよね。
でも、狙いは俺じゃなくて師匠だからね。
神速のダグの弟子は、Fランク! Eランク昇格に失敗した!
って話を広めて師匠に恥をかかせるのが、ハゲールの狙いだろうからな~。
ハゲールは、顔を青くして、額に汗を浮かべてる。
そこまで、『ダグ先輩』が怖いなら、ちょっかい出さなきゃいいのに。
「ダ、ダグ先輩! け、契約には、邪魔しちゃいけない、とは書いていません。だから、これはセーフです!」
ひでえ理屈だ。
師匠が殺気立つ。
「……この!」
さって、俺の出番ですかね。
いくら冒険者が荒っぽいと言っても、ギルドマスターとS級冒険者の殴り合い(師匠からの一方的な)は、まずいだろう。
「師匠、いいじゃないですか」
「な! オイ! ヒロト!」
師匠は目をまん丸にして、驚いた顔で俺を見ている。
俺は師匠にニコリと笑ってから、笑顔のままハゲールを見ながら話を続けた。
「ギルドマスターの言う事も一理あります。確かにルール違反では……、ないかもしれませんね」
「……」
ハゲールは、ギルドの受付カウンターにしゃがみ込んで体を隠して、目だけ覗かせている。
師匠はそんなハゲールをにらみ、また、俺を見てを交互に繰り返した。
そして、師匠が気が付いてくれた。
そう、俺には俺の考えがある。
「これもギルドマスターから、俺への愛の鞭と甘受しますよ」
「……で、どうする?」
俺はわざと大きな声で、ギルド中に聞こえる様に師匠に返事をした。
「これから一晩中ダンジョンに潜って狩りますよ。3階層、4階層にも行って魔物を探します。なーに、あと38匹一晩徹夜すれば何とかなるでしょう!」
俺の言葉を聞いてハゲールとロビーにいた妨害部隊の連中が激しく動揺した。
師匠が追い打ちをかける。
「……そうか。まあ、弟子が徹夜するなら、師匠も付き合うかなあ」
「じゃあ、師匠! 早速ダンジョンへ!」
「おお! 行くか~!」
俺達はさっさとギルドを出た。
後ろの方からハゲール達の声が聞こえた。
「追え!」
とか。
「寝ないで見張れ!」
とかね。
ご苦労さん。
俺と師匠はギルドを出て、ダンジョンの方へ向かって歩いた。
「で、ヒロト、どうすりゃいいんだ?」
「まずは、あいつらをまけないですかね?」
「任しとけ。こっちだ」
師匠の先導で俺達はルドルの街の路地を走り抜けた。
もう陽が落ちてる。
街中の路地は暗くて見通しが悪い。
後ろから妨害役の連中の声が聞こえる。
「見失うな!」
「左だ! 左!」
だが、彼らが追っているのは神速のダグだ。
スイスイと路地から路地へと軽快に走り抜け、街を出た頃には誰もついて来ていなかった。
俺はついて行くのが大変だったが、何とか並走した。
「師匠、今夜は俺の家に泊まって下さい」
「え! いいのか? お袋さんに……。悪くないか?」
「大丈夫ですよ。この前ミートパイを嬉しそうに焼いてましたから。母も師匠のファンだと思いますよ」
「そ、それなら。お邪魔するよ」
師匠はやけに動揺していたが、今夜は俺の家に泊まってもらう事にした。
師匠が宿屋に戻れば、俺達がダンジョンにいない事がバレる。
俺の家は、冒険者に知られていないから、見張りはいないだろう
これで妨害役の連中は俺達を探して、一晩中ダンジョン内を探したり、宿屋を見張る事になるだろう。
俺と師匠は、俺の家に向かって夜道を歩いた。
師匠がヒソヒソ声で聞いてきた。
「それで、明日はどうするよ?」
「明日はヒロトルートを使って、連中をまきます」
今日は通常ルートを使った。
人が多いので妨害役の連中をまきづらかったし、あいつらも土地勘と言うか、ダンジョン勘があるエリアだから、自信を持って俺達についてきた。
だが、ヒロトルートならどうかな?
地図に載っていない、広い……広い……ルドルのダンジョンの深い場所だ。
深い場所へ向かう俺たちに、遭難覚悟で付いて来る度胸が連中にあるかな?
それに連中は若いEランクの冒険者だ。
スキル【マッピング】を持ってる奴もいないだろう。
俺達についてくれば、ダンジョン内で迷うはずだ。
「いいのか? あいつらダンジョン内で迷子になるぞ?」
師匠が心配して聞いてきた。
妨害役の連中も俺と年が変わらない。
師匠からすれば子供だ。心配なんだろう。
「その時は、ギルドマスターから捜索依頼を出してもらいますよ。公式依頼で、有料でね」
俺はニンマリと笑った。
師匠は目を丸くして、マジマジと俺を見た。
俺は12才のまだ子供だ。
こんな辛辣な事を考えるとは、思わなかったのだろう。
「ハハ! 面白いな! そうすりゃ、次のランク昇格にもつながるしな」
「次のランク昇格ですか?」
「ああ。EからDへの昇格条件は、ギルドからの依頼3件を連続で成功だ」
「なるほど。ちょうど良いですね」
Dランクのギルドカードは、ブルーカードだ。
俺の当面の目標の一つだ。丁度良い。
「ああ、そうだ。師匠! 俺、【罠作成】と【忍び足】のスキルが付いたんですよ!」
「お! 早いな! やっぱり師匠が優秀だからだな~」
「世界一の師匠ですよ!」
ゴマはすれる時にすっておくに限る。
ヨイショは、心の潤滑油。
俺の外見は12才だが、中身はしたたかな大人だからな。
家ではチアキママが師匠を歓迎した。
二人は顔見知りだったらしい。
まあ、師匠は地元出身だから当たり前か。
こうして2日目が終わった。
俺も師匠もフラストレーションのたまった二日目だったが、俺は明日の逆襲に備えて早寝した。
ハゲールが俺を妨害する為に、妨害役の冒険者を雇ったのだ。
総勢12人が俺の周りを一日中うろついた。
師匠のチーズレーショントラップを、奴らに見せる訳にもいかない。
仕方なく普通にダンジョン内を、うろついて狩りをした。
しかし、タミーマウスが現れる度に、奴らが獲物を横取りしていく。
移動しても付いて来るので、まくことも出来ない。
妨害役の冒険者はみなEランクで、俺と大して年も変わらない。
さすがに師匠も子供相手では文句を言えず、打つ手がなかった。
この日の成果は0だった。
*
「この! 恥を知れ! ハゲール!」
師匠は、ダンジョンから出ると真っ直ぐにギルドに来た。
かなり怒っている。
師匠の剣幕にギルドの受付は、冷え冷えになっている。
ロビーにたむろしている冒険者も師匠と目を合わせないように、あさっての方向を向いている。
妨害部隊の連中もロビーの隅に固まって、俺は知らない、とすました顔で飲み物を飲んでいる。
何かあったら止めなきゃ!
……とは思うけど。
S級冒険者の神速のダグを誰が止めるんだって話だ。
「ハーゲル! Fランクの冒険者相手に妨害工作など、オマエにはプライドがないのか!」
マー、そうですよね。
でも、狙いは俺じゃなくて師匠だからね。
神速のダグの弟子は、Fランク! Eランク昇格に失敗した!
って話を広めて師匠に恥をかかせるのが、ハゲールの狙いだろうからな~。
ハゲールは、顔を青くして、額に汗を浮かべてる。
そこまで、『ダグ先輩』が怖いなら、ちょっかい出さなきゃいいのに。
「ダ、ダグ先輩! け、契約には、邪魔しちゃいけない、とは書いていません。だから、これはセーフです!」
ひでえ理屈だ。
師匠が殺気立つ。
「……この!」
さって、俺の出番ですかね。
いくら冒険者が荒っぽいと言っても、ギルドマスターとS級冒険者の殴り合い(師匠からの一方的な)は、まずいだろう。
「師匠、いいじゃないですか」
「な! オイ! ヒロト!」
師匠は目をまん丸にして、驚いた顔で俺を見ている。
俺は師匠にニコリと笑ってから、笑顔のままハゲールを見ながら話を続けた。
「ギルドマスターの言う事も一理あります。確かにルール違反では……、ないかもしれませんね」
「……」
ハゲールは、ギルドの受付カウンターにしゃがみ込んで体を隠して、目だけ覗かせている。
師匠はそんなハゲールをにらみ、また、俺を見てを交互に繰り返した。
そして、師匠が気が付いてくれた。
そう、俺には俺の考えがある。
「これもギルドマスターから、俺への愛の鞭と甘受しますよ」
「……で、どうする?」
俺はわざと大きな声で、ギルド中に聞こえる様に師匠に返事をした。
「これから一晩中ダンジョンに潜って狩りますよ。3階層、4階層にも行って魔物を探します。なーに、あと38匹一晩徹夜すれば何とかなるでしょう!」
俺の言葉を聞いてハゲールとロビーにいた妨害部隊の連中が激しく動揺した。
師匠が追い打ちをかける。
「……そうか。まあ、弟子が徹夜するなら、師匠も付き合うかなあ」
「じゃあ、師匠! 早速ダンジョンへ!」
「おお! 行くか~!」
俺達はさっさとギルドを出た。
後ろの方からハゲール達の声が聞こえた。
「追え!」
とか。
「寝ないで見張れ!」
とかね。
ご苦労さん。
俺と師匠はギルドを出て、ダンジョンの方へ向かって歩いた。
「で、ヒロト、どうすりゃいいんだ?」
「まずは、あいつらをまけないですかね?」
「任しとけ。こっちだ」
師匠の先導で俺達はルドルの街の路地を走り抜けた。
もう陽が落ちてる。
街中の路地は暗くて見通しが悪い。
後ろから妨害役の連中の声が聞こえる。
「見失うな!」
「左だ! 左!」
だが、彼らが追っているのは神速のダグだ。
スイスイと路地から路地へと軽快に走り抜け、街を出た頃には誰もついて来ていなかった。
俺はついて行くのが大変だったが、何とか並走した。
「師匠、今夜は俺の家に泊まって下さい」
「え! いいのか? お袋さんに……。悪くないか?」
「大丈夫ですよ。この前ミートパイを嬉しそうに焼いてましたから。母も師匠のファンだと思いますよ」
「そ、それなら。お邪魔するよ」
師匠はやけに動揺していたが、今夜は俺の家に泊まってもらう事にした。
師匠が宿屋に戻れば、俺達がダンジョンにいない事がバレる。
俺の家は、冒険者に知られていないから、見張りはいないだろう
これで妨害役の連中は俺達を探して、一晩中ダンジョン内を探したり、宿屋を見張る事になるだろう。
俺と師匠は、俺の家に向かって夜道を歩いた。
師匠がヒソヒソ声で聞いてきた。
「それで、明日はどうするよ?」
「明日はヒロトルートを使って、連中をまきます」
今日は通常ルートを使った。
人が多いので妨害役の連中をまきづらかったし、あいつらも土地勘と言うか、ダンジョン勘があるエリアだから、自信を持って俺達についてきた。
だが、ヒロトルートならどうかな?
地図に載っていない、広い……広い……ルドルのダンジョンの深い場所だ。
深い場所へ向かう俺たちに、遭難覚悟で付いて来る度胸が連中にあるかな?
それに連中は若いEランクの冒険者だ。
スキル【マッピング】を持ってる奴もいないだろう。
俺達についてくれば、ダンジョン内で迷うはずだ。
「いいのか? あいつらダンジョン内で迷子になるぞ?」
師匠が心配して聞いてきた。
妨害役の連中も俺と年が変わらない。
師匠からすれば子供だ。心配なんだろう。
「その時は、ギルドマスターから捜索依頼を出してもらいますよ。公式依頼で、有料でね」
俺はニンマリと笑った。
師匠は目を丸くして、マジマジと俺を見た。
俺は12才のまだ子供だ。
こんな辛辣な事を考えるとは、思わなかったのだろう。
「ハハ! 面白いな! そうすりゃ、次のランク昇格にもつながるしな」
「次のランク昇格ですか?」
「ああ。EからDへの昇格条件は、ギルドからの依頼3件を連続で成功だ」
「なるほど。ちょうど良いですね」
Dランクのギルドカードは、ブルーカードだ。
俺の当面の目標の一つだ。丁度良い。
「ああ、そうだ。師匠! 俺、【罠作成】と【忍び足】のスキルが付いたんですよ!」
「お! 早いな! やっぱり師匠が優秀だからだな~」
「世界一の師匠ですよ!」
ゴマはすれる時にすっておくに限る。
ヨイショは、心の潤滑油。
俺の外見は12才だが、中身はしたたかな大人だからな。
家ではチアキママが師匠を歓迎した。
二人は顔見知りだったらしい。
まあ、師匠は地元出身だから当たり前か。
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