異世界トレイン ~通勤電車が未知の世界に転移した!2500人の乗客と異世界サバイバル~
第28話 商業ギルドにて
――二千五百人の仲間が森の中にいる。
と、告げたら猫獣人ココさんが、万歳のポーズで倒れてしまった。
俺は慌てて猫獣人ココさんを助け起こす。
「ココさん! ココさん!」
「ニャッ! あまりにもビックリして、意識が飛んだニャ!」
猫獣人のココさんは立ち上がると、恥ずかしそうに三角耳の後ろ側をかいた。
なんか悪いことをしたな。
「すいません。ビックリさせてしまいましたね」
「いやあ~、二千五百人の仲間が森の中にいるってミッツが言う夢を見たニャ」
「あ、それ夢じゃなくて、現実です。二千五百人分の食料、衣類などが必要です」
「ニャー!!!!!!!! 夢じゃなかったニャ!!!!!!!!」
猫獣人のココさんが、地団駄を踏む。
仲間の人数が多くて意外だった――それはわかる。
けど、そこまで反応しなくもよくね?
俺……、何か悪いことした?
それまで黙っていた盾役のブラウニーさんが、怖い顔をして俺に詰め寄ってきた。
「ミッツ殿……その二千五百人は、外国の軍ではないのですか?」
「えっ!? 何だって!?」
ブラウニーさんの言葉が意外すぎて、俺は聞き返すのがやっとだった。
ブラウニーさんは、厳しい口調で続ける。
「二千五百人の軍勢が森に伏せられていて、ここ領都ノースポールを一呑みにする……。そんな計略ではないのですか?」
ブラウニーさんからの圧が凄い。
下手な答えをしたら、背中の大剣で叩っ切られそうだ。
俺はゴクリとツバをのみ込んだ。
「違います! 二千五百人は、旅の仲間です! 子供もいれば、お年寄りもいます!」
「……」
ブラウニーさんは、ジッと俺を見ている。
本当か嘘か見極めようとしているようだ。
リク、柴山さん、マリンさんの日本人組が俺に加勢する。
「なあ、ブラウニーさん。ミッツの言うことは、本当だぜ。人数が多くてビックリしたかもしれないけど、本当に旅の仲間なんだ」
「ミッツさん、リクさんのおっしゃる通りです。僕たちの仲間が森の中で立ち往生しているのです。付近の魔物を狩って肉は入手できていますが、塩、パン、野菜、果物、衣類などの日用品が不足しています。そこで、僕たち四人が森を踏破して、大きな町を探し、物資を調達することになったのです」
「そうです! それに軍隊だったら、どこかで補給できるでしょう? わざわざブラウニーさんたちに、食料を沢山買いたいなんて言いませんよ! だいたい、ミッツさんはバカなんですから! そんな隠密作戦は無理です!」
「おおふ!」
ヒドイ!
マリンさんが、俺のライフをゴリッと削った。
「ああ、ミッツはバカだ。軍事行動なんて無理だな」
「そうですね。ミッツさんが軍勢を伏せるなんて、真似は出来ませんよ。何せバカなんですから」
リクと柴山さんが、俺のピュアハートに追い討ちをかける。
俺のライフは、さらにゴリッと削られた。
「なるほど……納得しました!」
「ブラウニーさん!」
ブラウニーさんが、なぜか納得してしまった。
いや、まあ、良かったよ。
誤解が解けたから。
だが、俺のライフはゼロだ!
「ふう……わかったニャ。ミッツたちのことを信じるニャ。けど、二千五百人分の食料や衣類を一つの店で用意するのは無理ニャ」
「何か良い方法はないですか?」
「商業ギルドに依頼するニャ!」
「商業ギルド?」
猫獣人ココさんによれば、商業ギルドは商人の組合で、大きな商会から小さな屋台まで、この町ノースポールの商人は全員所属しているそうだ。
そんな大きな組織なら二千五百人分の物資を用意してくれるかもしれない。
猫獣人ココさんの提案に、俺たちは乗ることにした。
他に上手い手もないのだ。
商業ギルドは、商業地域の中心部にあり、古着屋からすぐだった。
「二千五百人分ですか!?」
「そうです。二千五百人分です。明日の朝出発します」
商業ギルドでは、すぐ応接室に通され、商業ギルドのギルドマスターが対応してくれた。
ご年配の恰幅の良いおじさんで、コロネさんと名乗った。
「必要な物は、塩、パンないし小麦などの穀物類、野菜、果物、調味料、調理用油、衣類、タオル、布地、石けんですか……。ううむ……」
商業ギルドマスターのコロネさんは、マリンさんと柴山さんが書いたリストを手にして唸った。
正直、俺は物を覚えるのが苦手だから、こういう局面では、お二人にお任せだ。
マリンさんが、補足する。
「他にも日用品で使えそうな物があれば、適当に混ぜてください」
「はあ……。あの……、お支払いは、大丈夫でしょうか? なにせ、二千五百人分ですよ? 町中の商人に声をかけることになります。代金は莫大な額になりますが、本当に支払い可能なのですか?」
商業ギルドマスターのコロネさんは、俺たちの支払い能力を疑っている。
俺は懐から冒険者ギルドが発行した書類を取り出した。
「支払いについては、冒険者ギルドが保障してくれます。こちらの書類を……」
「うーん、確かに冒険者ギルドが、ミッツさんたちの買い物を立替払いすると書いてありますね……。しかし、こんな大きな買い物も立替払いしてくれますかね? ミッツさんは、F級の新人冒険者でしょう?」
「ええと……。確かに、昨日冒険者登録したばかりですが……」
「それでは、信用が足りませんよ。出直していただけますかね?」
困ったな。
商業ギルドマスターのコロネさんは、俺たちを追い払おうとしている。
明らかに俺たちをバカにした態度だ。
俺たち日本人組が返答に困っていると、それまで脇に控えていた猫獣人ココさんが乗り出してきた。
「ちょっと待つニャ!」
「ああ、ココさん。新人の指導ですか? 大変ですね?」
猫獣人ココさんと商業ギルドマスターのコロネさんは、顔見知りのようだ。
親しげに話し始めた。
「指導ではないニャ。ウチらは、ミッツたちの護衛ニャ」
「ええ!? 新人冒険者の護衛ですか!?」
「そうニャ。冒険者ギルドは、ミッツたちを重要人物として扱っているニャ。冒険者ギルドに確認して欲しいニャ」
「わかりました……。ココさんが、そう言うなら……。私が冒険者ギルドのギルドマスターと話してきますよ」
「ありがとうニャ。ウチらは、待っているニャ」
商業ギルドマスターのコロネさんは、冒険者ギルドへ出かけた。
しばらくすると、息を切らして戻ってきた。
「お待たせいたしました! 商業ギルドが全力でやらせていただきます!」
「「「「おお!」」」」
冒険者ギルドで何かあったか知らないが、商業ギルドのバックアップが得られた!
商業ギルドマスターのコロネさんは、コロッと態度を変えた。
もみ手+ビジネススマイルだ。
「ただ、明日の朝までと急ぎのご依頼ですので、割増料金をいただきたいのですが?」
「ああ、それは仕方がないですね――」
割増料金にオーケーを出そうとしたら、猫獣人ココさんが割り込んできた。
「何を言うとるのニャ! 二千五百人分の大商いニャ! 何が割増料金ニャ! 普通は値引くニャ!」
「ちょっとココさん!? 私の商談に割り込まないでくださいよ!」
「ミッツたちをカモにしようとしても無駄だニャ。ぼったくるつもりなら、ミッツたちを他の町に案内するニャ」
「ちょっ!」
商業ギルドマスターのコロネさんが、本気で焦り始めた。
落ち着いて考えれば、猫獣人ココさんの言う通り、最悪他の町で取り引きする方法もあるな。
俺は猫獣人ココさんに合わせて芝居を打った。
「あっ! そうですね! ココさん、他の町に案内してもらえますか?」
「了解ニャ!」
「待ってくださいよ! 他の町には行かないで下さい! 絶対止めて下さい!」
「いやあ、俺も色々な町に行ってみたいので」
「わかりましたよ! わかりました!」
商業ギルドマスターのコロネさんが折れた!
これで拠点にいる人たちに、ビッグなお土産を持ち帰れるぜ!
と、告げたら猫獣人ココさんが、万歳のポーズで倒れてしまった。
俺は慌てて猫獣人ココさんを助け起こす。
「ココさん! ココさん!」
「ニャッ! あまりにもビックリして、意識が飛んだニャ!」
猫獣人のココさんは立ち上がると、恥ずかしそうに三角耳の後ろ側をかいた。
なんか悪いことをしたな。
「すいません。ビックリさせてしまいましたね」
「いやあ~、二千五百人の仲間が森の中にいるってミッツが言う夢を見たニャ」
「あ、それ夢じゃなくて、現実です。二千五百人分の食料、衣類などが必要です」
「ニャー!!!!!!!! 夢じゃなかったニャ!!!!!!!!」
猫獣人のココさんが、地団駄を踏む。
仲間の人数が多くて意外だった――それはわかる。
けど、そこまで反応しなくもよくね?
俺……、何か悪いことした?
それまで黙っていた盾役のブラウニーさんが、怖い顔をして俺に詰め寄ってきた。
「ミッツ殿……その二千五百人は、外国の軍ではないのですか?」
「えっ!? 何だって!?」
ブラウニーさんの言葉が意外すぎて、俺は聞き返すのがやっとだった。
ブラウニーさんは、厳しい口調で続ける。
「二千五百人の軍勢が森に伏せられていて、ここ領都ノースポールを一呑みにする……。そんな計略ではないのですか?」
ブラウニーさんからの圧が凄い。
下手な答えをしたら、背中の大剣で叩っ切られそうだ。
俺はゴクリとツバをのみ込んだ。
「違います! 二千五百人は、旅の仲間です! 子供もいれば、お年寄りもいます!」
「……」
ブラウニーさんは、ジッと俺を見ている。
本当か嘘か見極めようとしているようだ。
リク、柴山さん、マリンさんの日本人組が俺に加勢する。
「なあ、ブラウニーさん。ミッツの言うことは、本当だぜ。人数が多くてビックリしたかもしれないけど、本当に旅の仲間なんだ」
「ミッツさん、リクさんのおっしゃる通りです。僕たちの仲間が森の中で立ち往生しているのです。付近の魔物を狩って肉は入手できていますが、塩、パン、野菜、果物、衣類などの日用品が不足しています。そこで、僕たち四人が森を踏破して、大きな町を探し、物資を調達することになったのです」
「そうです! それに軍隊だったら、どこかで補給できるでしょう? わざわざブラウニーさんたちに、食料を沢山買いたいなんて言いませんよ! だいたい、ミッツさんはバカなんですから! そんな隠密作戦は無理です!」
「おおふ!」
ヒドイ!
マリンさんが、俺のライフをゴリッと削った。
「ああ、ミッツはバカだ。軍事行動なんて無理だな」
「そうですね。ミッツさんが軍勢を伏せるなんて、真似は出来ませんよ。何せバカなんですから」
リクと柴山さんが、俺のピュアハートに追い討ちをかける。
俺のライフは、さらにゴリッと削られた。
「なるほど……納得しました!」
「ブラウニーさん!」
ブラウニーさんが、なぜか納得してしまった。
いや、まあ、良かったよ。
誤解が解けたから。
だが、俺のライフはゼロだ!
「ふう……わかったニャ。ミッツたちのことを信じるニャ。けど、二千五百人分の食料や衣類を一つの店で用意するのは無理ニャ」
「何か良い方法はないですか?」
「商業ギルドに依頼するニャ!」
「商業ギルド?」
猫獣人ココさんによれば、商業ギルドは商人の組合で、大きな商会から小さな屋台まで、この町ノースポールの商人は全員所属しているそうだ。
そんな大きな組織なら二千五百人分の物資を用意してくれるかもしれない。
猫獣人ココさんの提案に、俺たちは乗ることにした。
他に上手い手もないのだ。
商業ギルドは、商業地域の中心部にあり、古着屋からすぐだった。
「二千五百人分ですか!?」
「そうです。二千五百人分です。明日の朝出発します」
商業ギルドでは、すぐ応接室に通され、商業ギルドのギルドマスターが対応してくれた。
ご年配の恰幅の良いおじさんで、コロネさんと名乗った。
「必要な物は、塩、パンないし小麦などの穀物類、野菜、果物、調味料、調理用油、衣類、タオル、布地、石けんですか……。ううむ……」
商業ギルドマスターのコロネさんは、マリンさんと柴山さんが書いたリストを手にして唸った。
正直、俺は物を覚えるのが苦手だから、こういう局面では、お二人にお任せだ。
マリンさんが、補足する。
「他にも日用品で使えそうな物があれば、適当に混ぜてください」
「はあ……。あの……、お支払いは、大丈夫でしょうか? なにせ、二千五百人分ですよ? 町中の商人に声をかけることになります。代金は莫大な額になりますが、本当に支払い可能なのですか?」
商業ギルドマスターのコロネさんは、俺たちの支払い能力を疑っている。
俺は懐から冒険者ギルドが発行した書類を取り出した。
「支払いについては、冒険者ギルドが保障してくれます。こちらの書類を……」
「うーん、確かに冒険者ギルドが、ミッツさんたちの買い物を立替払いすると書いてありますね……。しかし、こんな大きな買い物も立替払いしてくれますかね? ミッツさんは、F級の新人冒険者でしょう?」
「ええと……。確かに、昨日冒険者登録したばかりですが……」
「それでは、信用が足りませんよ。出直していただけますかね?」
困ったな。
商業ギルドマスターのコロネさんは、俺たちを追い払おうとしている。
明らかに俺たちをバカにした態度だ。
俺たち日本人組が返答に困っていると、それまで脇に控えていた猫獣人ココさんが乗り出してきた。
「ちょっと待つニャ!」
「ああ、ココさん。新人の指導ですか? 大変ですね?」
猫獣人ココさんと商業ギルドマスターのコロネさんは、顔見知りのようだ。
親しげに話し始めた。
「指導ではないニャ。ウチらは、ミッツたちの護衛ニャ」
「ええ!? 新人冒険者の護衛ですか!?」
「そうニャ。冒険者ギルドは、ミッツたちを重要人物として扱っているニャ。冒険者ギルドに確認して欲しいニャ」
「わかりました……。ココさんが、そう言うなら……。私が冒険者ギルドのギルドマスターと話してきますよ」
「ありがとうニャ。ウチらは、待っているニャ」
商業ギルドマスターのコロネさんは、冒険者ギルドへ出かけた。
しばらくすると、息を切らして戻ってきた。
「お待たせいたしました! 商業ギルドが全力でやらせていただきます!」
「「「「おお!」」」」
冒険者ギルドで何かあったか知らないが、商業ギルドのバックアップが得られた!
商業ギルドマスターのコロネさんは、コロッと態度を変えた。
もみ手+ビジネススマイルだ。
「ただ、明日の朝までと急ぎのご依頼ですので、割増料金をいただきたいのですが?」
「ああ、それは仕方がないですね――」
割増料金にオーケーを出そうとしたら、猫獣人ココさんが割り込んできた。
「何を言うとるのニャ! 二千五百人分の大商いニャ! 何が割増料金ニャ! 普通は値引くニャ!」
「ちょっとココさん!? 私の商談に割り込まないでくださいよ!」
「ミッツたちをカモにしようとしても無駄だニャ。ぼったくるつもりなら、ミッツたちを他の町に案内するニャ」
「ちょっ!」
商業ギルドマスターのコロネさんが、本気で焦り始めた。
落ち着いて考えれば、猫獣人ココさんの言う通り、最悪他の町で取り引きする方法もあるな。
俺は猫獣人ココさんに合わせて芝居を打った。
「あっ! そうですね! ココさん、他の町に案内してもらえますか?」
「了解ニャ!」
「待ってくださいよ! 他の町には行かないで下さい! 絶対止めて下さい!」
「いやあ、俺も色々な町に行ってみたいので」
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