蒼の魔法士
プロローグ
「誰かが、助けを叫んでる……」
傘をさした少年は空を仰いだ。
ひどくつよい雨だった。
まだ昼中なのに夜のように暗い。
人通りもまばらな街の歩道を、傘もささずに歩く人影はぼんやりと白く浮き上がり目立っていた。 小さなそれは、やがて白い包みを抱えた少年になった。
少年の荷物にしてはかなり大きい。時々、重たそうに、しかし大事そうに抱え直している。
今の天気が彼の心境を表しているのだとすれば、まさに暗鬱として重たいものだった。
少年の黒い髪は雨に濡れ、その先から雫がとめどなく滴っていた。
少年だけでなく、抱えていた布の包みまでずぶ濡れであった。
突如、少年はバランスを崩してその場に倒れる。
慌てて起き上がり、包みを確かめた。布包みの隙間から、少年よりもさらに小さな子供の寝顔が覗く。
青い髪の、小さな小さな、子供。
雨であるにも、少年の顔が暗いにもかかわらず、子供の表情は安らかだった。
その顔を見て、少年の表情は少しだけ和らぐ。
ふらふらの足でどうにか立ち上がり、やさしく抱きなおす。と、雨が止んだ。
いや。少年が顔を上げると、そこに、真っ黒な傘をさした少年が立っていた。
「……誰?」
「助けを叫んでたのは、君か」
それが、はじまりだった。
傘をさした少年は空を仰いだ。
ひどくつよい雨だった。
まだ昼中なのに夜のように暗い。
人通りもまばらな街の歩道を、傘もささずに歩く人影はぼんやりと白く浮き上がり目立っていた。 小さなそれは、やがて白い包みを抱えた少年になった。
少年の荷物にしてはかなり大きい。時々、重たそうに、しかし大事そうに抱え直している。
今の天気が彼の心境を表しているのだとすれば、まさに暗鬱として重たいものだった。
少年の黒い髪は雨に濡れ、その先から雫がとめどなく滴っていた。
少年だけでなく、抱えていた布の包みまでずぶ濡れであった。
突如、少年はバランスを崩してその場に倒れる。
慌てて起き上がり、包みを確かめた。布包みの隙間から、少年よりもさらに小さな子供の寝顔が覗く。
青い髪の、小さな小さな、子供。
雨であるにも、少年の顔が暗いにもかかわらず、子供の表情は安らかだった。
その顔を見て、少年の表情は少しだけ和らぐ。
ふらふらの足でどうにか立ち上がり、やさしく抱きなおす。と、雨が止んだ。
いや。少年が顔を上げると、そこに、真っ黒な傘をさした少年が立っていた。
「……誰?」
「助けを叫んでたのは、君か」
それが、はじまりだった。
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