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いつでも側に〜一途な両片想い〜

せいとも

ハッピーウェディング②

 『コンコン』

 タイミングよく、社長室の扉がノックされた。

「はい」

「畑中です」

「どうぞ」

 そっと扉が開く。そして、鈴が顔を覗かせる。

「……」

 鈴の父親は、テレビでは成長を見てきたが、直接会うのは十八年振り近くになる。感極まり、涙を流している。

「お父さん?」

 鈴の記憶にはない父親の姿に、半信半疑だ。

「鈴……。すまない」

 お父さんと呼んでくれた喜びと、美しく成長した愛しいわが子。親の身勝手で、罪のないわが子に苦労をさせてしまった思いから、謝罪の言葉が溢れた。


「謝らないで。会いに来てくれてありがとう」

「鈴……。兵藤さんと幸せにな」

「ありがとう。お父さん、また会ってくれる?」

「鈴さえ良ければ」

「うん」

 母親には問題があったが、素直に成長してくれている姿に安堵する。

「兵藤さん、鈴の母親には?」

「まだ話していません。世間に発表する前には、なんとかしなければと思っているのですが……」

「では、私に任せてもらえませんか?」

「えっ?」

「鈴の幸せを心から願っているんです。幸せに水を差すようなことにならないように、弁護士の立場も利用して話をしてきます」

「それは、助かります」

 こうして、鈴の父親が間に入ってくれ、母親からの横槍は免れた。


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