いつでも側に〜一途な両片想い〜

せいとも

未来を見据えて④

「ただ、私も今やっと一人前の大人として動けるようになったところで……」

 悔しさが滲んでいる直人に嫌な予感しかない。

 そこから、鈴のこれまでの生活状況を聞き、父親は唖然とする。

「今は、うちの実家で生活をしていることと、鈴さんの収入が母親に入っていること、彼氏という存在がいることで、鈴さんに接触してくることはありませんが、私は鈴さんが成人するのをきっかけに、鈴さんの収入は鈴さんのものにしたい」

「当たり前です。鈴に働かせて、全て自分で使っているなんて……。しかも、鈴を放置して……」

 鈴の父親からは、後悔の涙が滲む。

「兵藤さん、鈴を、鈴を母親から解放してやって下さい。お願いします」

 深く頭を下げられた。

「そのつもりですが、畑中さんの力が必要です」

「もちろんです。いくら保護者であっても、子供の給料を使う権利はありません。法律でも、本人のものとされています。親は子に変わり管理をするべきであって、勝手に使うなんてもってのほかです。協力は惜しみません」

 鈴の父親と直人は、鈴を自由にするために動き出す。

 鈴の母親は、まさか別れた夫が弁護士になり、会いに来たことに驚く。

「何よ今更」

「俺は君に鈴を任せたことに後悔しかない」

「どういう意味?」

「鈴に働かせて、自分は娘の稼いだお金で贅沢三昧。ありえない」

「親が子供のお金を使って何が悪いの?」

「その考え方から間違っている。裁判をしてもいい」

「はあ?返すものなんてないわよ」

「裁判を起こされたくなかったら、今後一切鈴に接触しないでくれ」

「じゃあ、私はどうやって生活するのよ?」

「働けよ。本来は、自分が働いて鈴を養うはずが、今まで鈴に頼っていたのが間違いだ」

「そんな」

「鈴に何かしようものなら、俺は全力で戦う」

 本当は、今までの鈴が働いた給料も取り戻したいところだが、鈴に危害が及ばないようにと、直人とも話し合った。

 父もずっと鈴のために貯蓄している。直人も自分が一生鈴を守るつもりだ。とにかく、母親からの解放を最優先で解决した。

 鈴はこれからも活躍し続ける女優だ。

 足枷を外せただけでも進歩だろう。

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