いつでも側に〜一途な両片想い〜

せいとも

未来を見据えて②

 鈴の幸せを信じていた父親の元に連絡が入った。

「鈴さんのお父様でしょうか?」

「どちら様でしょうか?」

 警戒しながら答える。

「鈴さんが所属している兵藤アカデミーの兵藤直人と申します」

「はあ。娘がお世話になっている事務所なんですね?」

「はい。赤ちゃんの時から所属されています」

「そうですか……。鈴に何かあったんでしょうか?」

「折り入って相談したいことがあります。そちらの弁護士事務所にお邪魔させていただいてもよろしいですか?」

「はい。来ていただけるんでしたらお待ちしております」

 直人は鈴の父親が弁護士になっていたことに驚いたが心強い。



 翌日、父親の働く弁護士事務所に直人が現れた。

 女性スタッフは、イケメンの登場にざわつく。

「すみません。兵藤アカデミーの兵藤と申します」

「畑中ですね。応接室にご案内いたします」

 鈴の両親が離婚した時には、すでに父親の苗字の畑中でデビューしていた。そのため、畑中のままで今まで過ごしている。

 案内された応接室で待っていると、40代くらいのスラッとした男性が入ってきた。かなり若く見える。

「お待たせしました。畑中です」

「兵藤です」

 お互い名刺を交換した。

「お若いですが、社長さんなんですね」

「父の跡を継ぎまして、まだまだ半人前です」

 鈴の父親は、たくさんの人を見てきたが、直人を見て若くはあるが、かなりのやり手だと認識した。

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