いつでも側に〜一途な両片想い〜

せいとも

成長③

 鈴が小学生になっても、仕事中心の生活。

 義務教育のため、時間があれば学校にも行くが、仕事がなければの話だ。

 当然、友達ができるはずもなく、学校に行っても一人で静かに座っているだけだ。

 幸いなことに勉強は好きで、撮影の合間などに教科書を読んでいると、台本感覚でスラスラ頭にはいってくる。

 勉強でわからないところがあると、教えてくれるお兄ちゃんがいる。

 そう、兵藤アカデミー内で、直人が教えてくれるのだ。直人がいなければ、勉強に遅れていただろう。

 鈴にとっては自分のことを理解してくれるお兄さん的存在だ。

 直人にとっても、自分にだけ心を許してくれている鈴が可愛くてしかたない。

 十歳も下の子に惹かれていることは、自分の胸の内におさめている。高校生にもなると周りは付き合いが盛んになるが、同級生には見向きもしない。


 直人の父親が兵藤アカデミーの社長だと知られているうえに、モデル以上の容姿。モテる要素しかない。頻繁に告白されるが、全て断っている。

 純真な天使の鈴を見ていると、醜い下心が一層際立つ。

 鈴の笑顔を守りたい。

 穢れない鈴を守りたい。

 同級生が遊びに部活に忙しい高校時代は、生涯鈴を見守れる立場でいたいと、兵藤アカデミーでバイトをして仕事を学び、早く一人前になれるようにと努力する。

 合間に、鈴の勉強を見る。ただ、誰にも怪しまれないようにこっそりと……。

 報われなくていい。鈴の笑顔を存在を守れたら…

 直人の大きな愛で守られている。

 もちろん鈴は気づいていない……。

 ただ、小学生の鈴にとって直人は、いつでも助けてくれるヒーローのような存在だ。


 

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