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いつでも側に〜一途な両片想い〜

せいとも

出逢い③

 鈴は、書類審査を通過しカメラテストに呼ばれた。

 スタジオには、たくさんの赤ちゃん達。

 カメラが設置されたスタジオ中央に、数人ずつ親から離れテストする。

 一歳までの赤ちゃんは、ハイハイができる子、おすわりができる子、寝返りをする子など様々だが、その様子をたくさんの大人に見られるのだ。

 カメラの前から逃げだす子、泣き叫ぶ子、無反応な子と赤ちゃんの反応も様々だ。

 そんな中、寝返りができるようになった鈴は、寝返りをしカメラに向かって微笑んでいたのだ。

 大人達からは「おお〜っ」と歓声が上がるほど、一際目立っていた。

 この瞬間、鈴の採用が決定した。

 そして、母玲子は羨望の眼差しを向けられチヤホヤされること間違いなしの一歩に大満足するのだった。

 このオーディションには、兵藤アカデミーの社長も、当時十歳の息子直人を連れ見学に来ていた。

 幼い頃から、直人を芸能界の裏側に触れさせ、将来の糧にと連れ歩いていた。

 そして、鈴が選ばれるきっかけになる笑顔の瞬間も、スタジオにあるモニターで見ていた。

 直人は一人っ子で、赤ちゃんに関わることがない。スタジオには泣き声が響き渡り、正直煩いなと思ってしまっていた。

 だが……。

 鈴が微笑んだ瞬間だった。

 胸が高鳴り、鈴から目が話せなくなったのだ。鈴の目に吸い込まれたような、更には雷に打たれたような衝撃が駆け巡る。

 何が何だかわからないが、天使に全てをもっていかれた……。

 ここから、直人の長い長い見守り愛が始まったのだった……。

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