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いつでも側に〜一途な両片想い〜

せいとも

出逢い①

 始まりは、鈴の母の玲子がネットで見つけた赤ちゃんモデル募集オーディションの広告だった。

 『兵藤アカデミー』は、所属タレントに仕事を紹介したりオーディションを案内したりする芸能マネージメント部門と、所属タレントに演技やダンスや歌などをレッスンする養成部門をあわせ持つ大手芸能事務所だ。

 そんな兵藤アカデミーが定期的に、所属タレントを募集しオーディションを行う。

 所属すると月齢に合ったレッスンを受けることになる。習い事同様、レッスンを受けるには費用が掛かり、所属するにはレッスンを受けることが必須となるのだ。

 所属したからといって、必ずテレビなどに出演できるわけではない。条件が合えばオーディションに参加できるチャンスがあるくらいで、実際活躍できる子は、ほんの一握り。

 特に、子役は親が必ず付き添うのだ。時間の余裕があり、尚且費用面でも余裕が必要だ。

 それでもチャンスがあればと、全国に数カ所ある兵藤アカデミーにはたくさんの所属タレントが日々レッスンを受けている。

 どの親もわが子が一番可愛いと必死でアピールする。

 生後三カ月を迎え、首が座り抱っこが安定した頃だった。鈴を連れお出かけする機会が増えた玲子は、ベビーカーに座るわが子がどこに行っても目立っていることに気づいた。

 真っ白な肌に、ぱっちりな目、明らかに他の子より可愛いと断言できる。

 しかも、可愛いや天使みたいだと、よく声を掛けられる。

 玲子は、わが子を自慢するように鼻高々でベビーカーを押す。注目されて気分がいい。

 若いときから自分が注目されたり、チヤホヤされることに優越感を得るタイプだったが、さすがに結婚し子供を産んでしまうと自分が注目される機会がなくなってしまい張り合いをなくしていた。

 そんな時にわが子が注目され、自分がチヤホヤされている感覚になれたのだ。

 そこで見つけたのが赤ちゃんモデルの募集だった。

 エントリー自体は簡単で、スマホでサイトにアクセスし必要事項と写真を一枚添付するだけだ。

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