転生守銭奴女と卑屈貴族男の結婚事情
50
王都に着くと、そのままホテルへと向かう。公爵家は王城に部屋を用意して貰えるし、侯爵家クラスだと別宅があるそうだが、ディルミックは数えるほどしか社交界に出ず領地にいるため、王都に別宅を構えず、今回もホテルを取るらしい。
王都に複数ある貴族御用達のホテルで一番高い部屋を取ったそうだ。お金がもったいない、とちょっと思ったのだが、グラベイン王国では侯爵家と同等の扱いを受ける辺境伯のカノルーヴァ家が下手に適当な宿を取ってしまうと、他の家はそれよりも下のランクしか借りられなくなってしまうのだとか。お貴族様も大変だなあ。
到着したホテルは、流石貴族御用達と言うべきか、きらきらしていて、とても豪華だ。三階建てと高さはないが、その分横に広い。
しげしげと見たら田舎者っぽいだろうか、と思いながらも、馬車の中でホテルを眺めるのをやめられなかった。まあ、実際田舎者だしなあ。ディルミックは何も言わないし、チェックイン待ちの間くらい、眺めていても大丈夫だろう。そのかわり、馬車から降りたらちゃんとするので。
しばらく待っていると、チェックインにをしに行った使用人の男性が戻ってくる。窓から外を眺めていたわたしは気が付いたが、馬車の扉が開くまで動いてはいけない。義叔母様に注意されていたことの一つである。
ホテルに泊まる以上、伯爵以下の他の貴族に見られる可能性があるからと、義叔母様はここから教えてくれていた。伯爵以下の貴族は、親戚ないし親しい者が王都に館を持っていればそこに泊まり、そうでなければホテルを取るのだという。
「お待たせいたしました」
ガチャリ、と馬車の扉が開き、一瞬、腰を浮かしそうになる。慌てて立ち上がるのをやめる。まだ降りたら駄目なんだった。危ない危ない。
ディルミックが先に降りて、わたしに手を差し伸べてくれるからその手を取って降りろ、と義叔母様から言われているんだった。
あれだけ義叔母様に細かくみっちり教えてもらったのに、習慣とは怖いもので反射で体が動いてしまう。もうここからしっかり意識していかないと駄目だ。
「ロディナ、手を」
そう言って、ディルミックが手を差し伸べる。わたしはそれに手を伸ばし、ようやく立ち上がる。
困ったらとりあえず一つ一つの動作をしっかりして、みっともなくうろたえるな、と脳内に義叔母様が言ってた言葉が浮かび上がる。大丈夫、今のところは問題ないはず。
馬車なんて、人生で乗ったのはこれが二回目である。降りるのに慣れておらず、怖くて、ディルミックの手を思い切り握りこんでしまったが許してくれ。わたしの足元がおぼつかないのに気が付いてくれたのか、ディルミックも特に何も追及してこない。転ぶよりはマシだと思ってほしい。
無事地面に降り立つとほっとする。大げさにリアクションするわけにはいかないので、脳内で喜んでいるほど、表には出せなかったが。
転ばなかったことに安堵していると、ふと、どこからか視線を感じた気がした。きょろきょろと辺りを見回すのは駄目だろうな、と思いながらも、あまりに嫌な感じがして、思わずその方をちらっと見てしまった。
その先には、どこかのお貴族様らしき人たちがいた。
王都に複数ある貴族御用達のホテルで一番高い部屋を取ったそうだ。お金がもったいない、とちょっと思ったのだが、グラベイン王国では侯爵家と同等の扱いを受ける辺境伯のカノルーヴァ家が下手に適当な宿を取ってしまうと、他の家はそれよりも下のランクしか借りられなくなってしまうのだとか。お貴族様も大変だなあ。
到着したホテルは、流石貴族御用達と言うべきか、きらきらしていて、とても豪華だ。三階建てと高さはないが、その分横に広い。
しげしげと見たら田舎者っぽいだろうか、と思いながらも、馬車の中でホテルを眺めるのをやめられなかった。まあ、実際田舎者だしなあ。ディルミックは何も言わないし、チェックイン待ちの間くらい、眺めていても大丈夫だろう。そのかわり、馬車から降りたらちゃんとするので。
しばらく待っていると、チェックインにをしに行った使用人の男性が戻ってくる。窓から外を眺めていたわたしは気が付いたが、馬車の扉が開くまで動いてはいけない。義叔母様に注意されていたことの一つである。
ホテルに泊まる以上、伯爵以下の他の貴族に見られる可能性があるからと、義叔母様はここから教えてくれていた。伯爵以下の貴族は、親戚ないし親しい者が王都に館を持っていればそこに泊まり、そうでなければホテルを取るのだという。
「お待たせいたしました」
ガチャリ、と馬車の扉が開き、一瞬、腰を浮かしそうになる。慌てて立ち上がるのをやめる。まだ降りたら駄目なんだった。危ない危ない。
ディルミックが先に降りて、わたしに手を差し伸べてくれるからその手を取って降りろ、と義叔母様から言われているんだった。
あれだけ義叔母様に細かくみっちり教えてもらったのに、習慣とは怖いもので反射で体が動いてしまう。もうここからしっかり意識していかないと駄目だ。
「ロディナ、手を」
そう言って、ディルミックが手を差し伸べる。わたしはそれに手を伸ばし、ようやく立ち上がる。
困ったらとりあえず一つ一つの動作をしっかりして、みっともなくうろたえるな、と脳内に義叔母様が言ってた言葉が浮かび上がる。大丈夫、今のところは問題ないはず。
馬車なんて、人生で乗ったのはこれが二回目である。降りるのに慣れておらず、怖くて、ディルミックの手を思い切り握りこんでしまったが許してくれ。わたしの足元がおぼつかないのに気が付いてくれたのか、ディルミックも特に何も追及してこない。転ぶよりはマシだと思ってほしい。
無事地面に降り立つとほっとする。大げさにリアクションするわけにはいかないので、脳内で喜んでいるほど、表には出せなかったが。
転ばなかったことに安堵していると、ふと、どこからか視線を感じた気がした。きょろきょろと辺りを見回すのは駄目だろうな、と思いながらも、あまりに嫌な感じがして、思わずその方をちらっと見てしまった。
その先には、どこかのお貴族様らしき人たちがいた。
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