童貞のまま異世界転生したら童帝になってました

みょんちー

(0)プロローグ



〜フルトロン 集会場〜

フルトロン代表村パーティーのバロン達に最重要任務が与えられた。
内容は〈魔王軍進撃の阻止〉とのこと。
集会場のお姉さん曰く、フルトロンの近くまで接近しているとの情報があった。

「バロン、そんな依頼は私達じゃなくてもっと手が空いている奴らに……」
「何言ってるんだ。この村の代表だぞ?助けなきゃならんだろ」
「……はぁ、ついさっき依頼を任務した後よ?ねぇパール」

ウィドウはバロンのお人好しに呆れ、溜息をつく。
疲れ果てた様子で隣に居たある人物に話しかける。
白くサラッと長い髪の毛、修道女の女性。

「まぁまぁ、いいじゃないですか。ウィドウ様」
「ロイ、パールとウィドウと一緒に先に門前にいてくれ。後から行く」
「わかった、依頼書類は頼んだよ」

〜〜〜〜〜

〜フルトロン 門前〜

四人は武器を構え、進軍してくる魔王軍の手下数人を相手に待ち構える。
フルトロンから数メートルに人影が数人見え始める。
バロンは指パッチンすると、パールは前に出て手を合わせ始めた。

「神よ……我々神から生まれし人類に力を……!」
「ウィドウ!」
「わかってるわよ!!」

甲高い音が鳴り響くと、後ろにいた三人の体が光り始める。
バロンの言葉を聞きウィドウは杖を前に出すと、人影の頭上付近に巨大魔法陣が出現する。

稲妻拘束ボルテージバインド!!」
「ロイ!よーくあいつらの能力見とけよ!!」
「はいはい」

魔法陣から雷が発生し、攻めてきていた手下が殆ど拘束状態になった。
バロンは大剣を取りだし、手下に向かって走っていく。

「神よ……村の危機に対して勇敢に立ち向かう勇者に力を……!」

バロンの動きが軽くなり、スピードが向上する。
地面を蹴りあげ、大剣を拘束を受けている手下1人に斬りつける。
その瞬間、稲妻の如く拘束を受けている手下達が連鎖して倒れていく。

今の攻撃で大半の手下が灰となって消えた。
だがまだ油断はできない。完全に仕留めた訳では無い。
バロンはすぐに門前に下がり、もう一度ウィドウに魔法をかけるように指示をする。

「この魔法は魔力の消費がえげつないのよっ……!!」
「後で飯奢ってやるよ!!」
「ほんっと……私の使い方が上手いんだから!!」

もう一度稲妻拘束で残りの手下を拘束させ、バロンは同じように斬りつけた。
周りを見るも他に残っている手下達はいない。

要するに任務完了だ。
門前にいたロイとパールは任務完了を知り、お互い安堵する。

「僕の能力を使うまでもなかったね」
「ロイ様はいるだけで威圧感ありますから……」

するとバロンはロイとパールの首元に腕を抱える。
ウィドウはその様子を見て、いつものバロンだなと口角を上げ見ていた。

「任務完了だな!案外あっさりだったけどよ!!」
「バロン様とウィドウ様、いい活躍でしたよ……ぐぇっ」

修道女から絶対出てはいけない声が聞こえた。

パール・ヴィネット (17)
親は存在せず天界にいる神から生まれた唯一の修道女。
フルトロンの住民からは神の子とも言われている。
職業は冒険者以外の時は、懺悔室にて懺悔を聞いている。

能力は全強化オールバフ
神に力を求めることによって、対象の人物に身体能力や魔力向上など。
バロン達と冒険することになったのは、代表村のパーティーの力になりたい為とのこと。

バロン達と冒険し始めて早二年。
事態は夜中に起きた。

〜〜〜〜〜

〜フルトロン 夜道〜

いつもより懺悔の数が多く、聞き終えたパールは宿に帰ろうとしていた。
時間も22:00。夜遅く女性が道を歩いていることも少々危険だとパール自身も思っていた。

「……あら?」

宿に戻るためには門の横を通らなければならない。
普段は門が閉まっている状態だが、門番の不注意で門を閉め忘れていた。

「門番様もおっちょこちょいですね……うふふ」
「type:02」

パールが門を閉めようと門前に出た時、ドスッと言う鈍い弟と共に腹部が熱くなっていた。
恐る恐る目線を向けると鋭利な刀身が突き出ていた。

「……へっ?」
「貴方が神の子?」

勢いよく抜くと血が飛び散り、パールはその場で座り込む。
どくどくと流れる血液、歪む視界、できない息。
全てが恐怖に感じていた。

「答えなさいよ、死なない程度に刺したんだから」
「あな……たは……?」
「最近魔王軍四天王に昇格したカイルだけど?それでどうなの?貴方は神の子なのかしら?」

神の子だと答えた場合、魔王軍に神の子が魔王軍に知れ渡りパールの持っている能力が奪われてしまう。
答えなかった場合はパール以外の犠牲者が生まれてしまう。

生死の二択。究極の選択。

それでもパールは決して手を合わせなかった。
神の子……いわゆる修道女とバレるからだ。
カイルはただ呆然と座っているパールにイラつきを覚える。

「……なぜ喋らないの?刺されても死なない傷を与えただけなんだけど」
「死なないなんてことは無いですよ……!人が生きている限りは……!!そして死ぬまで貴方には吐きません……これが私の覚悟です!!」

カイルはその言葉を聞くと座っているパールに蹴りを入れる。
ゲホォっと血を吐くパール。死なない傷を与えたとしても血は止まらない。

「神の子を見つけて魔王様に渡せと依頼があったの」
「それを聞いて余計教えたくなる人間がどこに居ますか」
「そうね。貴方みたいな頑固者を相手するんじゃなくてこの村の人に聞いていくとするわ」

するとカイルはフルトロンの門前に立ち、足を踏み入れようとした時、横から斬撃が繰り出された。
完全に避けることは出来なかったカイルは腕を落とす。

「パール!!!!!」
「バロ……ン様……」
「ちぃっ!どっから湧いたのこの虫は!」

バロンが来て安心した為かパールの意識が遠のいていく。
バロンはパールを抱え、カイルの方を向く。
その目はあまりにも怖く、それでいて悲しい目だった。

「ちっ……流石代表村のパーティーね。いいわ、今日は引き下がってあげる」
「てめぇ!!」

そういうとカイルは目の前から消え静寂だけが残った。
バロンはパールの方を見ると目が霞んで光が無くなってきていた。

「パール!!おいパール!!しっかりしろ!!」
「……バロン様……皆様にお伝え……ください」
「待てパール!!死ぬなよ!!死ぬんじゃねえぞ!!!」

バロンは焦った様子で宿に向かって行く。
22:00に起こった犯行、住民が全員家に入っている時間帯だ。
助けてくれる人は誰もいなかった。

「……きっといつか……この世界を救う……」
「パール……?」

バロンはその言葉を聞いて、足を止める。
パールを見ると笑顔で目を瞑っていた。

静寂だけの村の中心でバロンの声だけが響く。
パール・ヴィネット  大量出血により死亡した。


〜〜〜〜〜

〜暗闇の天界〜

フルトロンで亡くなったパールは、肉体と魂がとある場所に転移されていた。
暗闇の天界とは、異世界転生にさせる説明や転生魔法させる為に存在する場所である。

神から生まれた神の子、死んだ後はこの展開に飛ばされることはパール自身も把握していた。

バロン達と旅した今までの思い出は無駄では無い。
フルトロンがどういう状況等、全てパールの心に残っている。

「ここで挫けていても仕方ないですね……強い転生者を探しましょう……フルトロンを救って下さる私より強い転生者をっ!!」

ふんっと頑張ろうとした瞬間、死因と人間の情報が強制的に脳内にインプットされた。
振り向くと、そこにはつんつん頭の男が尻もち着いて驚いていた。

「ここは……?つか、俺は……??」

この男性がフルトロンを救ってくれることでしょう……。
パールはふふっと笑い、次のような言葉を述べた。

「鈴木タケル様、お目覚めですか」

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