童貞のまま異世界転生したら童帝になってました

みょんちー

(29)どこに_くる



〜チャルエ 西サイド〜

レミィは村の端にあるベンチに座り、辺りを警戒している。
明らかに怪しい人物は今のところ見当たらない。
もし急に来てもレミィの能力は強力である為、そこまで緊張等はしてなかった。

レミィ・ヴァン・ボルザーク
年齢は14歳。能力は完全防御パーフェクトディフェンス
常時発動型であり、完全防御は刃も通さずマグマに漬かっても溶けない。
ボルザーク族では盾役に回されることが多い為、少し不満に思っている。
彼女曰く、性格もそこまではっちゃけない少女とのことだ。

「ここの方面は門がない……来るとしてもこの壁の上から来るはず」

レミィは上を見上げ、誰かいないか確認する仕草をする。
当然いない。ここの壁は50m程の壁が村の周りに囲まれているからだ。
理由は路上喧嘩で相手が吹っ飛ばないようにとの事。

「まぁ昇ってきても警報が鳴るし……素直に待っとこう」

頭を戻し、欠伸をしながらバッグに入れていた本を読み始める。
すると前から2人の男がやってくる。

「嬢ちゃん、今暇か?俺達と一緒に遊ばねぇ?」

レミィはナンパをしに来た猿だと思い、無視しようとするが本を取られてしまい、話さないと行けない状況になってしまった。

「……本読んでるから暇じゃない」
「まぁまぁそう言わずにさぁ、路上喧嘩ストリートファイトしようぜぇ!!」

すると突然男達は上裸になり、レミィに対し拳を構える。
その光景を見たレミィは目をかっぴらき、驚いた様子で男達を見る。
チャルエではストリートファイト、通称路上喧嘩が流行っている。
倒した相手は経験値とお金を貰い、たまにはその人の下につくこともあるそう。

「……私女なんだけど」
「何言ってんだよ、この村はよぉ、突然喧嘩が始まる危ない村なんだぜぇ!!」

ドン!!とレミィの顔面に拳が当たるが、当然効いていない。
それどころか、溜息をつきながら本を取り返した。

「俺の全力を…っ!?案外硬いんだなお前、決めたぜ。俺の取っておきの必殺技を見せてやるよ!!」
「あ、兄貴!その技は……!!」

男は手に力を込めてオーラを発動させ始める。

「これは長い間封印していた最強の必殺技ぁ……」
「それを使うと兄貴の腕が!!」
「いいんだよ。俺はこいつを倒して……どんな頑丈の奴でも倒せる男になるんだよ!!」

オーラが発動しているせいで風が邪魔をし、ページが上手くめくれないのにイライラし始めるレミィ。
場所を変えようと立ち上がる。

「へっ、今頃土下座の準備かぁ!?無駄だぁ……この技をくらいやがれ!ハイパーファイナルナックルゥゥ!!」
「兄貴ぃぃぃぃ!!!!!!」

強烈な一撃をレミィの顔面に当てる。
衝撃波が走り、半径10m程以内の家の窓が割れるほど威力が高かった。
男の腕がバキボキに折れており、内出血のせいで右腕全てが赤くなっていた。
それでも男は完全に倒して達成した感覚に陥っていた。

「……はぁ、終わった?」
「!? ひっ……ひぃ〜!!化け物だぁ〜!!」
「上裸になって必殺技出す方が化け物でしょ……」

男達はピンピンしているレミィに驚きを隠せなく、咄嗟に逃げてしまった。

「いいや、ここで読もっと。あれ、ベンチ壊れてる」


〜チャルエ  南サイド〜

フーガは門前で腕を組みながら入ってくる冒険者を凝視している。
レミィ同様、怪しい人物が見当たらない。
なぜなら門番が全員冒険証とその人の顔を照らし合わせているからだ。

「ぬぅ〜……あの占い師、本当にここが危機に晒されるのかぁ??」

ラエンが言っていたことが本当かどうか疑い始めたフーガ。
イライラの1歩前のフーガはぷくーっと頬を膨らませながら立っていた。

フーガ・ヴァン・ボルザーク
年齢は17歳。能力は超強解放フルバースト
パワーに全振りした能力。レミィと違い、意識発動型。
発動した場合、体のキャパが100だとすると速さや防御力が100から0に落ちるが、溜めた力を放つ箇所はキャパオーバーの1000以上。
ゾエラのバフとは違い、1箇所のみに力を割り振る為弱点が多いが威力は絶大。

「なぁ!ここで怪しいヤツ見なかったか?」
「怪しいヤツ?全員冒険証と照らし合わせをしてるから特にはいなかったな」

門番に情報を聞き出そうと近づくフーガ。
だが門番は顎に手を添え、思い出す仕草をする。

「嘘つけ!ここはもう少しで崩壊するって……うぁ!?」
「ちょっ……!?」

ズケズケと門番に文句を言いに行くフーガだが、途中で石につまずき、コケそうになる。
門番はすぐに姿勢を変え、フーガを受け止めた。

「あ、ありがとな……」
「怪我はないか?」

ムニッ

門番の手に何か柔らかいものがあった。
人と言うものは咄嗟に手渡された物の感触だけでは何か想像が出来ない。
門番は何かが手に乗っていると思い、もう一度感じようとした……。

刹那。

「この……!スケベ野郎ォォ!!!!」

赤面したフーガが門番の顔をビンタし、顔に着けていた鎧が砕け散る。
当然、門番へのダメージもあった。

「ど、どさくさに紛れて私のこ、ここ……腰を触るとか!!飛んだ変態だな!」
「自業自得だろ……」

腰に手を添え、門番に指を指すフーガであった。



〜チャルエ  東サイド〜

「さて、ここで待機だな」

オウガは東に到着し、すぐにベンチに座る。
周りを見渡すが、今のところ怪しい人物はいない。
オウガはボルザーク族で1番上の長男だ。
強い上に面倒見がよく、家族を誰よりも愛している。

「あっ、怪しいヤツの特徴言うの忘れてた」

だが少しドジである。

「……まぁいいか。直感で分かるだろ、うちの妹達は」

そしてたまに適当である。

オウガ・ヴァン・ボルザーク
年齢は18歳。能力は全知全強オールマイティ
妹分の速度・力・防御を兼ね備えているボルザーク族では最強の一人。
全振りしている妹には少し劣るが、充分強い。
常時発動型であり、すぐに対応することも可能。

ベンチで質問できそうな人を探すオウガ。
すると直感で目に入った女性に話しかけた。

「おっ、姉ちゃん。ちょっといいか」
「……はぃ?」

その女は、10分前にここに来た女性だった。

「姉ちゃん、この辺で怪しいヤツ見なかったか?」
「見てないわぁ。怪しいヤツってどんな人なのぉ?」
「あぁ、髪が長くて特徴的なズボンを履いてるんだが……」

オウガは喋っている時に女のズボンを見る。
だがその女のズボンは特徴的ではなかった。

「見てないわねぇ……ねぇ、貴方達もしかして魔王軍の配下を探している冒険者ぁ?」
「……なんでそれを?」

オウガはその質問に対し少し身構える。
すると女はふふっと笑い、再び口を開けた。

「女のカ・ン……いきなり声をかけてきて怪しいヤツ見なかったかってぇ、明らかに今そういう依頼をしている冒険者にしか見えないでしょぉ?」

確かにいきなり質問でこんなことを言われると、違和感を覚えるのも仕方がない。
オウガは体の緊張が解け、溜息をつき謝罪する。

「悪い、深く考えすぎたな」
「いいわよぉ、そのかわりぃ……」

次の瞬間、女性の口からとんでもない言葉が聞こえた。

「ここで死んでぇ?」

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