童貞のまま異世界転生したら童帝になってました

みょんちー

(26)戦略的_撤退



〜エルザル付近 森騒動から3日後〜

タケル達が戦った光男とは別に、付近で全てが網目状にえぐられる事故があったらしい。
犯人は分かっておらず、死体も一体あったが身元も不明だった。
何でも体が全てバラバラになっていたと……。

タケル達があった出来事と、網目状の出来事を含めて世間からは(エルザル付近 森騒動)と呼ばれている。
フルトロンに帰ってきた理由はガルドが迎えに来たからだ。
マーチとゾエラがまだぐったりしている間に、ガルドが2人を抱えフルトロンに帰って医療室に渡したとの事。
集会場の席でガルドに状況を全て話し、情報を共有した。

「……マーチが斬られた!?だだだ、大丈夫なのか!?」
「難聴かお前は。手首って言ったろ。あと治ってる」
「首じゃと!?急いでいてあまり見ておらんかったがそんなことがあっt」
「手首って言ってるだろ。手をつけろ手を」

慌てると難聴になるタイプかよこいつは。
いやなんだ慌てると難聴になるタイプって。聞いたことねえわ。

「……コホン。ともかく現状動けるのはワシらだけか?」
「だな、ウィドウさんも今はバロンさんのパーティーに戻ってるしな」
「……起きるまでどうするかじゃの〜。」

椅子をギコギコと動かすガルド。この動きは考えていない状態だ。

「……ガルド、悪かった」
「ぬぉ?」
「俺、守れなかった。俺の能力を過信しすぎたせいだ」
「!」

タケルの心情を察したガルドはギコギコをやめる。

「ガルド、お前を待って行けば状況は変わったかもしれねぇ…」

下を向いてガルドにネガティブな発言を吐く。

「何言っとるんじゃ、助けておるじゃろ」

ガタッと立ち上がり、腕を組むガルド。

「戦いに勝った時点でヌシは守ったんじゃ。そう落ち込むな」

目を瞑っていいことを言ってる感を出すガルド。

「何一つ失うことなく、戦いを終わらせることなんて不可能じゃ。じゃがの、その失うのをワシらの方に向かなかっただけ奇跡なんじゃよ」

「ガルド……」

あの何も考えてなさそうなガルドが、珍しく心に響く言葉を言った。


〜深淵の森〜
森の奥に一つの小屋がぽつんと立っている。
以前タケル達が木を刈る依頼を行なった為か、小屋の周りの木が一つもなかった。

小屋の玄関に飾られている名札は【ボルザーク】。
そう……この小屋はボルザーク族の小屋である。

「おい!今日の依頼なんだぁ!?」
「姉さんうるさい……」
「もうちょっと声抑えれないのか」

3人組の兄妹達が話し合いをしていた。
全員共通の位置に、共通の角が生えている。

ディフェンスの四女(レミィ・ヴァン・ボルザーク)
パワーの次女(フーガ・ヴァン・ボルザーク)
オールマイティの長男(オウガ・ヴァン・ボルザーク)

3人組はガルドに影響されたのか、ガルドが冒険者になった時にノリで冒険者になったらしい。
ファステルを一度救った母親と父親がこの世を去っており、その後継も兼ねて……日々依頼をこなしていた。

「ガルドのやつに置かれて行ってんだぞ!?急がねぇとただでさえスピード速いのに!!」
「ボルザーク族だから1回でっかい依頼こなしたらたくさん報酬貰えるでしょ……?」
「フルトロンにいたんだっけか?ガルドは」

3人は身支度をしながら外に出た。
瞬間、四足歩行の魔物達が数十匹こちらを睨んでいた。
恐る恐る魔物達はこちらに向かってくる。
野生の猛獣達が目の前の獲物を捕らえるような動きを見せる。
それを見た3人はビビることなく魔物と睨み合っていた。

「はぁ……今日も晩御飯はウーサのソテーか……」
「ウーサ以外の魔物も来ないのか??ここの森は」
「お前ら、張り切って行くぞ」

3人は構え、魔物がこちらに飛びこんで来た瞬間にレミィが前に出る。
ガブッと腕を噛まれるが、レミィは平気な顔をしていた。

「姉さん……お願い……」
「レミィ!そのまま噛まれてろよ〜!」

フーガがレミィに向かって走っていくが、スピードが全く出なかった。
その代わり彼女には、それの代償として破壊力が抜群なパワーを持っていた。

ズズンと空気が重くなり、魔物達がビビって動けない状態になっていく。

「ほらぁ!こっちは急いでんだよぉ!!!」

ドッと音が聞こえたと思ったら、噛んでいた魔物が弾け飛んだ。
魔物達はキャウンと鳴きながら森へ戻って行くが、それを見た長男オウガは魔物を追いかけていった。

「悪いな、1匹だけじゃ俺達の腹が満たされないから頼むわ」

バゴォっと魔物達の腹を殴り気絶させていく。

「そんで……フーガの言う通り俺たちは急いでっから早めに始末されやがれ!」

ラスト1匹を蹴り飛ばし、今日の食料と確保した。
魔物達を家の前に置き、手をパンパンと払うオウガ。

「うっし、じゃあ改めて、フルトロン向かうか」
「そうだね……」
「よーし!!パーティーメンバーに挨拶だ!!」

ボルザーク三人組は森を抜け、フルトロンに向かった。

「童貞のまま異世界転生したら童帝になってました」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く