童貞のまま異世界転生したら童帝になってました

みょんちー

(22)光速男_襲来



〜フルトロン 寮〜

「遅れた!!すまん!!」

バン!とドアを開けるタケル。
その先には哀れな目で見ているウィドウ達の姿が見えた。
時間を確認すると、ちょうど3時間程遅れていた。
シャレにならないほどの遅刻で、タケルはもう逆に鼻で笑ってしまった。

「フッ……」

響き渡る打撃音。溜まった鬱憤がタケルに向かって晴らされた。

〜〜〜〜〜
「なるほどな……ガルドのやつエルザルに着いてたのか」

タケルはゾエラが作った飯を食いながら、ウィドウに状況を教えてもらった。

「タケルくん、すぐにエルザルに向かおう。もしかしたらガルドちゃん、巻き込まれる可能性だってあるよ」

ハツに噛まれた箇所から出血しており、包帯でぐるぐる巻きにされているタケル。
それを見たマーチはなんでそんな平然と会話ができるのか不思議で仕方なかった。

「……だな、飯食ったら行くぞ」
「マーチ、ここから私の手助けはないわ。いいわね」

ウィドウはマーチを見て覚悟を決めさせる。
これまでにない闘志を燃やしながらマーチは頷く。

「転移魔法があったわよね。1週間に1回使える奴」
「はい、その魔法で皆さんをエルザルに連れていきます。」
「私はハツをダイオースに連れて帰るわ」

そういえばハツは手紙渡しに来たんだっけか……。
暫くすると、飯を食い終わったタケルは身支度をしゾエラと作戦会議を行っていると、後ろからマーチがタケルの服を摘む。

「……タケルさん。私、悔しいです」

杖をぎゅっと握ってマーチはタケルに喋りかける。

「私、エルザルで強くなった私を見せたかったんです。でも…今みたいな現状を知って……もっと私が早く強くなっておけばこんな事にはなってなかったはずなんです」

プルプルと杖を震わせ床に涙が落ちる。

「天国で見ている亡くなった方たちに……私が強くなったんだぞってところを見せたいです!」
「……なってるじゃん、今」

タケルはマーチの頭をポンポンと叩く。

「覚悟決めた奴に弱いやつなんて居ねえよ。マーチの昔は正直分からねえ。でもな、明らかに強くなってるぜ。マーチの目がそう言ってんだよ」

マーチはその言葉を聞くと笑顔になり涙を拭う。

「ウィドウさん、弟子借ります」
「えぇ、頼んだわよ。リーダー」

転移魔法でエルザルの近くまでテレポートを行う。ウィドウはそれを見送った。



〜エルザル付近〜

「ガルド〜!」

大声でガルドの名を呼ぶが見つからない。

「配下に連れていかれたとか?!」

ゾエラが歩きながら辺りを見渡した瞬間、奥にある森から光が見えた。
すぐに迫ってきたのを理解し、ゾエラはタケルとマーチを抱えその場を引く。

「うぉ!?なんだ……!?」
「配下でしょうか……?」
「察知魔法では少なくとも…私たちの敵では無いことはわかります……!」

すぐに体制を整え、森を見つめる。

「あらら〜、1人かと思ったら3人おったんか」

後ろから声が聞こえた。しかも、"耳元すぐそば"。

「しまっ!?」

振り向いた時にはマーチが吹き飛ばされていた。

「マーチ!!」

山勘で頬に結界を全集中させていた為、大事には至らかなかった。

「結界魔法か……やっこいなぁ」

男はふぅ、と言いながらマーチに近づいていく。

「この……!!」

ゾエラが能力を使って男に接近する。
だが、男はゾエラを見た瞬間目を瞑るほど激しい光を放たれた。

「えっさ!!」

目を瞑りながら勘で腕を振るが、当然男はいない。

「目ェ瞑ったら終わりや思えよ。嬢ちゃん」

ゾエラは目を開けると、何故か空にいた。
それと同時に腹に違和感を感じ、感じたと思った時には痛さがじわじわと襲ってきた。

「がっ……!」
「どうや?空のデートは、斬新でええやろ」
「何を……!!」

声が聞こえた方向に腕を振るがいなかった。
横目で見たが、そこには光があった。

「動き単純やで自分。そんな戦い方やったら……死ぬで」

すると光の強さが弱くなっていき、人間の形に戻った。
ゾエラが相手の能力を理解しようとするが、そんな暇さえ与えられない。
空から地面に叩きつけられるが、ダメージが軽減されていた。
マーチがゾエラに軽減魔法を振っていたのだ。

「流石魔法都市やな。うっとい魔法しか使ってこんな」

既に地面に着いてた男はゾエラの頭を踏み、マーチを見る。

「おいお前、魔王の配下か……?」

タケルは男に向かって問いかける。

「……配下言うよりかは自由枠やな。要するにどの立ち位置でもない」

すると男はタケルに近づいていく。

「ほんでお前なんや?弱そうな見た目してんな」
「まだエルザルに用があるのか……?」

タケルはこいつに能力が通用するか必死に考える。

「うるさい四天王言うやつらに見張っとけ言われてな。お前らみたいなやつが来た時の」

ジリッ……と後ろから音が聞こえた。ゾエラはまだ戦えるらしい。

「最近の若い子は活気がええんやな。面倒くさくてしゃーないわ」

男は標的をタケルからゾエラに変えた。

「援護します……ゾエラさん」
「ありがとう、マーチちゃん!」
「光視魔法、これで受ける光の強さは一定になります……!」
「光の能力……この人自体が光ってことか?」

タケルはぼそっとつぶやく。

「正解や、俺の能力は光。まんま光や」

すると男は右腕を前に出し光に変えた。
レーザ音がなったと思ったら、ゾエラの右肩に光が貫かれていた。

「痛っ……!?」
「えっ……防御魔法が間に合わない……!?」
「さて問題や」

男は膝を付いているゾエラに近づくと、ニヤリと笑い問題を出してきた。

「速度の問題や。高速、音速。それより速いのなーんや?」
「くそ……!!」

生きている左腕で男を殴り掛かるが光になっていなくなっていた。
後ろでゾエラに向かって、再度右腕を光に変えて放とうとしていた。

「時間切れや、正解は……」

ピンと音を立てながら光を放つ。
ゾエラ頭を抱え、その場でくるまっていた。
何も食らっていないゾエラは不思議に思っていた。

「光速……だろ?シンキングタイムも光速かよ……」

タケルは右手を突き出し、能力を打ち消していた。
男は俺が能力を打ち消しているのを見て驚いていた。

「……問題だ。お前は俺に勝てるでしょーか?」
「……」
「正解は無理だ。やろうぜ、出来レース」

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