童貞のまま異世界転生したら童帝になってました

みょんちー

(18)機械人_接近



〜フルトロン 寮〜
ガルドを追い出して10分。
2時間弱待つのも暇だし、なんならあいつが迷ったら元も子もないが……まぁその時はウィドウさんが何とかしてくれるだろうと思うタケルであった。

「……ガルドちゃん。大丈夫かな」
「だ、大丈夫だと思います!信じましょう!」
「そ、そうだね!1度戦ってる身だし!」

マーチとゾエラがほぼ内容のない会話を続けていた。
戦ってるとは言えあいつは能力を覚えていない状態だ。
……んまぁガルドの事だし、倒せるだろ。

「よーし!ガルドから何か情報が来るまでの間!俺達は作戦会議をしy」

ーーーー緊急事態ーーーー
ーーーー緊急事態ーーーー
ーーーー冒険者は城門前に集合してくださいーーーー

タケルが暗い雰囲気を消す為、立ち上がって司会を務めた瞬間、フルトロン内でサイレンと共に緊急招集が鳴り響く。
俺達は寮内で3秒ほど沈黙が続いた。

「…作戦会議より緊急事態をどうにかするわよ」

俺を慰めるかのように優しい声でウィドウが声をかけてきた。

「アハハ……タイミング悪いね、タケル君」

それはオーバーキルだ、ゾエラ。


〜フルトロン 城門前〜

城門前の冒険者達がザワザワしている。
後から来た俺達は冒険者が指さす方向を見ると、そこには高さ5m程のロボットがズシンズシンと進行して来ていた。

「ロボット……うぉ!?」

驚いていると、冒険者達が俺達に行け行けと言わんばかりに前に押していく。

「ファステルの噂は聞いてるぜ!いつもみたいに倒してくれ!」
「私達の憧れの冒険者!新人戦みたいにバーッとやっちゃえ!!」

グイグイと前に押し出され、挙句の果てには前列に出てしまった。

くそっ!変に功績を活かしやがって……!
俺の能力はロボットに通用・・しないんだよ!
しかもウィドウさん後ろでバカにしてる顔してるし!

「……くそっ……マーチ!ここから先は通さねえように結界か何か張れるか!?」
「いえ!出来ません!」
「よし!俺はゾエラと一緒に……今なんて?」

俺の指示を食い気味で否定して誇らしげにしていた。

「広範囲結界魔法は師匠から伝授していませんので…」

その言葉が聞こえたのかウィドウは「あっ」と忘れていた顔をしていた。

速攻で考えた作戦がもう崩れた……!
考えている内にどんどんロボットが迫ってくる。

「……ゾエラ!あのロボット、能力で壊せるか!」
「出来ません!」
「よし!俺とマーチはみんなの避難を……今なんて?」

俺の指示を食い気味で否定して誇らしげにしていた。

「あんなかっこいいロボット……壊すなんてもったいないよ!乗ってみたい!」

目をキラキラさせながらロボットにうっとりしていた。

「アホか!ゾエラしか今壊せる人いないんだよ!」
「壊さないという選択肢を思い付いて指示を!」
「なんでだよ!あれを壊さないとこのフルトロン壊れちゃうの!みんなからの信用が壊れちゃうの!!」

討論している俺達をジーッと見ている冒険者達。

「とにかくゾエラ!早くあれを壊してくれ!」
「じゃああのロボットみたいに、かっこいいのを作ってくれるなら壊しまs」
「作るよ!すっごい作る!もうなんでも作るから!」

もう今は嘘でもいいからゾエラに壊すように指示をするしかない。

ジリッ……と足を踏ん張るとドン!とロボットの前に飛び、拳を握る。

「えっ……さ!!!」

ガキンと音と共に装甲が凹み、漏れたガソリンとショートした炎が燃える。
その時大爆発が起き爆風がここまで届いて飛ばされそうになるが、何とか踏ん張った。

「ったく……手間かけさせやがって……」
「ゾエラさんってロボット好きなんですね……」

こっちも初耳だわ。

爆発を背景にこちらに歩いてドヤ顔するゾエラがいた。

「ロボットの件、約束ですよ!」
「……マーチ、作れるか?」
「え、作れません……」

急に振られてびっくりするマーチ。

「結界よりロボット作る魔法覚えてくれるか?」
「こらー!!!!!」

爆発してる所から声が高い女の子の声が聞こえた。
恐らく……7歳ぐらいの女の子がこちらに怒鳴ってきていた。

「ハツが作ったロボットを壊したやつは誰だー!!」

俺とマーチは声がする方へ向かっていく。
小さい女の子がロボットに乗って操縦していたのか?
いや……でもありえるな……ここは異世界だしな。

「あ、タケルさん……女の子が黒焦げでこちらに訴えかけてます…」

見てみると想像していた通り小さい女の子がいた。
滅茶苦茶怒っている様子だ。だが小さいからか全然怖くない。

「君が……ロボットを作ったの?」

ゾエラが女の子に問いかける。

「そうだ!制作期間は2ヶ月!フルトロンの奴らに見せようと思ってな!」

どうやら敵側では無さそうだ。
あんな巨大なロボット作って攻めてくるのもどうかとは思うが……。

「ハツはダイオース出身、ハツ・メイだ!」

ダイオース…たしか魔王城に行ける代表村のひとつか。

「ハツさんでしたか、こんにちは」

後ろから集会場のお姉さんが歩いてきていた。

「そうだ!来てやったのに壊されたんだ!どう責任を取るんだ!!!」

それはもうお怒りでお怒りで。

「ロボットの開発には1.5億ガロン必要なのに……!」
「1.5億あればいいんですね!?あのロボット作るのに!」

目をキラキラさせながらハツに質問するゾエラ。
もう嫌な予感しかしない。

「そ、そうだが……お前らにそんな金あるのか?」
「ガルドちゃんが追っ払った時の報酬金があるよ」

こ、こいつ……!!

「まてゾエラ!考えろ!変なもんに金をつぎ込むな!」
「そ、そうです……!もったいないですよ!」

俺とマーチは必死に止めようとするが、ゾエラの暴走は止まらない。

「お……お前、私のロボットのかっこよさがわかるのか!?」
「……超好き」

出会って2分で意気投合し、手を握る2人。
それはもう見ていてなんも言葉が出なかった。

「……1.5億払うよ。今のよりかっこいいロボット……期待しているよ!」
「お前…良い奴だな!」
「じゃあ今から銀行から1.5億下ろしてくるよ!」
「待て待て待て待て待て待て待て!!!!!」

速攻フルトロンに走っていくゾエラ。
俺とマーチは追いかけようとするが速すぎて捕えれなかった。
集会場のお姉さんがハツに問いかける。

「なぜハツさんがここに?」
「エルザルが潰れたと聞いてな。流石に魔王軍が動き出しているように感じるんだ」

代表村にはもう知れ渡っている。エルザルの崩壊はかなりダメージがでかいと感じた。

「ダイオースとフルトロン、あまり関係を持っていないから村長からこんな手紙を渡してくれって」

ハツが手紙を取り出しお姉さんに渡す。

「……受け取りました。村長に渡しておきます」
「おう!任せたぞ!じゃあハツは今から帰る……」

ハツの後ろにはプスプスと壊れているロボットが転がっていた。
完全に忘れていた。

「……今日は俺の寮で泊まっていけ」

頭を掻き溜息をしながらハツに問いかける。
ハツはパァっと喜び俺に抱きついてきた。

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