童貞のまま異世界転生したら童帝になってました

みょんちー

(9)仮面男_決闘



〜魔王城内部〜

「なんです貴方達……私を殺しに来たんですか?」

ナイフを俺に突き立てる。だが俺は動じなかった。
逆に突き立てているナイフをガッと掴むと、ナイフが破裂しオーラに変わった。

「なにっ!?」

仮面男はすぐに後ろに下がった。
纏っているオーラはどうやら戦ってきた中で(破裂)なんてしたことがないんだろう。
仮面越しでも焦っているのが素人でも分かった。

「俺達は依頼されたんだよ、バロンさん達にな」

俺は涙を流しながら目を瞑って倒れているウィドウ見る。安心したのか口元が緩くなっていた。

「ゾエラ、ガルド。ウィドウさんを頼んだ」

2人はお互いを見つめ頷き、ウィドウを抱え魔王城から飛び出した。

「さて、こっからは男同士の闘いだな」
「調子に乗ってんじゃねえぞ!たわけがぁ!」

オーラが体に纏い、全身が黒くなる仮面男。
腕を俺に向けた瞬間、オーラが巨大なドラゴンになり追い詰めてきた。

漆黒龍ダークドラゴン!噛まれたらオーラが侵食して徐々に死んでいくぞ!」

ナイフを破裂させた時点で勝利・・が確信していた。
正直少し通用するか不安だったが……通用するなら怖いもんなしだ!!
この攻撃、普通の人ならビビって逃げるだろうが……そんなもん俺に対しては脅しにもなんねえ!!

「効かねえよ仮面野郎!」

俺はオーラを振り払い消し去った。
驚いて声も出ない仮面男だが、同情する余地も俺は与えない。
すぐさま走り出し右手の拳をグッと握る。

ウィドウさんに出会って……俺に負けてプライドを無くした結果、こんな事態になってるなんてよ……!!
タケルとウィドウとの記憶が蘇る。
全部俺が引き起こした問題だ。俺が救わねえと誰が救うんだ!

"もう一度ウィドウさんを救ってやる!"

「……ちっ!漆黒壁ダークバリア!」

体のオーラを前に展開し俺からの攻撃を防ぐ体勢に入った。
ググッと腰を入れバリアを思い切り殴り壊す。
オーラを全て展開してたため、今仮面男はフリー状態だ。
殴った拳をもう一度構える。

ウィドウさんの涙も……バロンさん達の不安も!
全部俺の能力で壊してやる……!!
俺の能力を舐めてんじゃねえぞ!!!!

童貞最強舐めんじゃねえ!」

再び腰を入れもうどうすることも出来ない仮面男に、思い切り顔面に殴りを入れる。
ズザァっと後ろに倒れていく仮面男。
ピクピクしながら痙攣していた。

ふと窓を見ると魔王城から出ていくウィドウを抱えた2人が見えた。
それを見て俺はふぅっと溜め息が出た。
一件落着……とまではまだいかないが、救出は成功。

「…任務完了だな。」
そう呟き、仮面男を後にした。


〜魔王城入口前〜

ゾエラはウィドウを手当てしていた。少しだが回復魔法を覚えていたとの事。

「ウィドウさんの様子は?」
「かなり傷があるね。特に脇腹に刺された跡がある……だけど大丈夫だよ。致命傷では無いから」

その言葉を聞き、ホッとした。
ガルドはすることがなかったし夜も遅いので門の前で就寝中。

「っ……」

ウィドウの眉間がピクっと動き、息を吹き返した。

「……スズキ……タケル……」

目を瞑ったまま俺に話しかけてきた。
息が荒いので話すのは後にしようと言おうとしたが、ウィドウは俺の方を向いた。

「なんで助けたの……?バロンに言われたの……?」

ウィドウの目はうるうるしていた。今にも泣きそうな……そんな目を。

「そうすよ、自分勝手のウィドウを止めてくれって言われたんすよ」

俺はウィドウの隣に座り、溜息をしながら言った。

「……そう、無謀ね、私」

今日は星がよく見える。雲がひとつも無い綺麗な夜空だ。ウィドウは星を見ながら、今まで行ってきた行動を振り返る。

「貴方という冒険者がいるのに、配下に立ち向かってこのザマ……私、何がしたかったんでしょうね」
「自分の実力が通用するか試したかったんじゃ無いんですか?タケル君がいなくても出来る!ってことを心の奥では思ってたんじゃないんですか?」

ゾエラが回復させながら笑顔で話しかける。

「そうかもね……私、いっぱいいっぱいだったの。頭の中が……」

俺達は声が震えてるウィドウの話を静かに聞いた。

「私は必要なのか、私は弱いのか……私はここで死ぬのか……って」

ウィドウの目から1粒の雫が頬を伝う。
星の光と混じり合い、その涙が綺麗に見えた。

「強いっすね、ウィドウさんは」

その言葉を聞いたウィドウはこちらを見る。

「そんなことを思いながらも、最後まで立ち上がって闘うのは本物の冒険者ですよ」

俺はポケットからある破片を取り出しニヤッとする。
ウィドウはそれを見てハッとする。
この破片は、最後のあがきで仮面男に槍魔法を飛ばした際に使用した……杖の破片だ。

「ドア前でいきなりこれが飛んできたんですよ。槍の魔法を使ったのか知らないですけど……最後の最後まで闘ったのは、俺ら知ってますから」

俺は立ち上がり、ウィドウを見て笑顔で言った。
ウィドウは両腕で目を隠し、ふるふると震え出した。

「俺達は敵同士じゃない……同じ冒険者なんだ。確かに俺達はレベルが違うけど、目的は一緒だ。だから……協力してフルトロンを救いましょう」

彼女の泣き声が響き渡った。
森の音も、風の音も、空気を読むかのように。
彼女だけの泣き声が。

25:00頃
ー魔王配下討伐完了ー



〜集会場  8:00〜

バロン達とウィドウが集会場で出会い一件落着。
……とは言ったものの、昨日はまじで色々あり過ぎた。
ガルドの魔王配下追い払いに……配下1名をぶん殴った。
たったの1日で魔王配下を2人分からせた俺達は化け物では?

「兄ちゃん!本当に助かった!」

バロンは俺達の方に来て、感謝を述べる。

「いえいえ、任務を遂行したまでですよ」

えへへと笑う俺。それを見て同じ動作をする2人。

「そこで報酬なんだが、俺達の宿をやるよ!」

……は?

「ちょ、ちょっと待ってください!や、宿?」

いきなりすぎて語彙力が無くなった。
昨日俺達が入ったあの家を……くれるのか……?!
だったらでかいぞ……!!だいぶでかい!!
俺はもう河川敷の橋の下で寝なくていいのはでかい!

「ほ、本当にいいんですか?」

ゾエラは俺よりも先に質問をした。

「兄ちゃん達は最近俺達が驚く行為しかしてねえ。それもこのフルトロンとファステルを守る行為だ」
「ファステルはワシがやったぞ!」

うるさい。

「もう宿の中は空にしてある!兄ちゃん達の好きにしてくれ!」

ガッハッハッと笑うバロン。苦笑いをする俺。

「バロンさん達の宿はもうないんじゃ……?」
「安心しろ兄ちゃん!ファステルにも置いてる!」

心配した俺が馬鹿だった。


〜宿〜

「……なんかこう、ワクワクが無いのは俺だけか?」
「「同じく」」

それはそうだ。昨日来たんだもの。
部屋は正直分からないが、リビングは見たから友達の家に来た感がすごい。

「……じゃあ入るか」

いつも通りリビングに行くと昨日まであった家具などが全部すっからかんになっていた。

「ま、まぁ全部までは流石にくれないよな」

するとガルドはあることに気づいた。

「のぅ、部屋が四つあるぞ?タケル」
「……まじだ」

明らかに使用感がある3つの部屋と全く使われていないオーラがする部屋が1つあった。

「この際、もう1人仲間増やしませんか?」

ゾエラはぴこーんと閃き、俺に提案してきた。

「……確かにいいな。増えて困ることは無いし」
「じゃあ荷物置いたら早速仲間を捜索するかのぅ!」

満場一致。俺たちは荷物を置き、集会場に向かった。


〜集会場〜

「とは言ったものの……1人のやつを捕まえるなんて出来んのか?」
「みんなパーティにいるから難しいね……」

俺達は集会場の周りを見渡すが、皆パーティメンバーがいる為そう簡単に勧誘ができない。

「こういう時は片っ端から勧誘すればいいんじゃ!」

ガルドはそう言うと集会場にいる冒険者達に声を掛けていった。

「…まぁあいつはあいつで任せといて……俺達はパーティメンバーの募集の紙でも書くか」
「そうだね……あはは」

ガルドの勧誘姿を見て俺達は作業に取り掛かった。

〜〜〜〜〜
「募集の紙でしたらこちらに貼り付けてください」
集会場のお姉さんに募集掲示板を案内された。
他にも募集をしている人達が沢山居た。

「ゾエラ、紙持ってきたか?」
「あ、ちょっと待ってて」

ゾエラはテーブルに紙を忘れたので取りに行った。
再び俺は掲示板を見渡す。

「こんなにいるんですね、募集者って」
「そうなんですよ、割と多いですよね〜」

するとお姉さんは募集の紙を一枚剥がした。

「皆さん魔王を討伐する為に血眼になってパーティメンバーを集めているんですよ〜。貴方たちも募集の紙を貼るって言うことはそういうことですか?」
「あ、いや。宿に1つ使われてない部屋があったんで」

お姉さんは首を傾げ不思議そうな顔をした。
そう話している内にゾエラが戻ってきた。

「持ってきました!ガルドちゃんに落書きされてますが……」

滅茶苦茶嫌な予感がした。ガルドのことだ……どうせろくでもないことを……!
募集中!の右下ら辺に(ガルドもいるぞ!)と書かれていた。

……いや初見の人は誰だってなるだろこれ。

「どうじゃワシのアピールポイントは!」

ゾエラの後ろからニコニコなガルドが走ってきた。

「ガルドもいるぞってなんだ。わかんねえだろ」

冷静にツッコミを入れる俺。驚くガルド。

「ボルザーク属の方が良かったか!?」
「そういう問題じゃないと思います……」
「まあとにかくこれで貼るか……」

修正もめんどくさいしこの紙をお姉さんに渡した。

「明日が楽しみじゃな!」

仲間が増えることにワクワクしているガルド。
それを見て一緒に笑顔になるゾエラ。
案外こいつも仲間思いなんだなと思う俺であった。

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