童貞のまま異世界転生したら童帝になってました

みょんちー

(7)超高速_決闘



〜ファステル入口前〜

ガルドは2人に迷いもなく近づいていく。
恐らく、魔王軍の配下だと思っていない。
周りの冒険者達からすると無謀すぎる状況だった。

「ヌシら、ここの街になんか用でもあるのか?」
「……カイルお姉様、ここは私が」

エテルナは青い固体をふわふわと浮かせる。
すると固体は無数の針の状態になりガルドの方向に向いた。

「type.04!」

無数の針がガルドに目掛けて一斉射撃していく。
冒険者達は守ることすら出来なかった。
土埃が立ち上る。完全に仕留めたと思ったエテルナ。

「敵と認めるぞヌシら」

ガルドはエテルナの前で既にしゃがみこんでいた。

「すばしっこい奴ね…!」

カイルはガルドに向かってピンク色の固体を放った。
土埃が一斉に舞う。ガルドは元の位置に戻っていた。
冒険者は不安だったが今の状況を見て少し安心していた。

「ターン制か?じゃあ次はワシの番じゃな!」

足をトントンと地面につける。
2人は今までの冒険者と違うと思い身構える。
するとガルドは一瞬で消えた。

「「type.08!」」

その瞬間、2人は固体を広げ融合させ、自分達の周りに空間のバリアを張った。

「おっそいのぉ」
「……っ!?」

2人は後ろを向くと既にガルドがバリアの中に入っていた。
だがその姿が見えたのも一瞬。向いた時には残像しか無かった。

「は、速すぎ……!?」

カイルはエテルナの方向を向くとエテルナの顔面に蹴りを入れているガルドがいた。

「エ、エテルナ?!」

カイルは驚きのあまり目を瞬きしてしまった。
それが彼女に攻撃の隙を与える瞬間でもあった。
カイルは目を開けた時、視界が歪んでいた。

「……は……!?」

グラグラとする視界。吐き気が止まらない。
どしゃっと崩れ立ち上がろうとするが出来なかった。
バリアが割れ破片が飛び散る。

「……type.04!」

倒れているエテルナは破片をガルドに向かって放ったが、もう既に離れており破片が届いていなかった。

「とっと……しぶといのぉ」

すると入口前から歓声が湧き上がる。

「魔王軍の配下をやったぞー!!」
「お前はこの街の救世主だー!!」

ガルドは冒険者達を見るがなんのことかさっぱりだった。
だが少し聞こえた魔王軍の配下と言う言葉に対して、ガルドはカイルに近づき聞いた。

「ヌシ、魔王軍のもんか?」
「そうよ。クソっ……ダリアの奴!ファステルにこんな奴がいるとは聞いてないわよ……!」
「カイルお姉様……ここは一旦引き上げましょう……!」

すると2人は光りだしスっと消えていった。

「……えーっと……や、やったー!」

とりあえずガルドは手を上げる。
するとガルドに続いて冒険者達は喜びを雄叫びを上げていった。


〜〈ファステル〉集会場〜

水晶玉を見る俺達。水晶玉には雄叫びをあげるガルド達が映っていた。

「……ガルドがやりやがった」
「す、すごいねガルドちゃん……こんな速い戦いで決着をつけるなんて……!!」

集会場の中でもガルドコールが上がっていた。

「タケルさんのパーティー……凄いですね……フフ」
「ファステルに来にくくなった……」

苦笑いで今の心情を言ってしまった。
占い師は水晶玉を持ち、立ち上がった。

「この街に平和が戻ったので私は家に戻ります……フフ」

占い師はスタスタと集会場から出ていこうとする。

「待って!お名前……!」

ゾエラは呼び止め名前を聞く。

「ラエン。私はラエンです……フフ。」

ラエンはそう言うと捨て台詞を吐いて出ていった。

「またのお越しを〜……一度言ってみたかったのよねこれ……フフ」

俺達はラエンを笑顔で見送る。最初は胡散臭かったけど割と凄いやつだったんだな。

「報酬金くれ〜!!!」

遠くから声が聞こえる。あいつ……!!
ファステルの集会場の門までも潰すつもりだ!
急いで俺とゾエラは門を開けガルドを受け止める準備をした。

「ゾエラ!歯を食いしばって足をかかとまでつけろよ!」
「任せてタケル君!絶対門を壊さないよ!」

俺達は思い切り腰を入れ待ち構えた。

「あ!タケル〜!ゾエラ〜!ワシ魔王軍の配下を」
「「止まってから喋れ!!」」

ガルドのスピードを思い切り受け止める。

「「おおおおおおおおおお!!!!!!」」

ズザーっと下がるが踏ん張った為門は壊れなかった。

「あのなぁ……ここで壊したら元も子もないだろ……」
「ガルドちゃんおかえり……派手な抱擁だね……」

一気に力が抜けガルドにもたれる2人。

「よく受け止めたな!ワシらの友情は脆くないってことじゃな!」
「「上手くない!!」」

ガッハッハッと笑うガルドに対して俺達はツッコミを入れた。


〜〈ファステル〉集会場  18:00〜


俺達3人はファステルの集会場で待機してて欲しいと言われた為、机で話し合いをしていた。

「これでガルドの借金は余裕で返せるな」
「あったりまえじゃ!魔王軍の下っ端を懲らしめたんじゃ!10兆はくれんとな!」
「それじゃあ冒険者辞めちゃうよ……」

内容が薄い会話を交わしていると、奥からファステルの村長らしき人物が俺達の机に向かってきた。
俺とゾエラは常識として席を立つが、ガルドは欠伸をしていたので思っきし引っぱたいた。

「あぁ、座ったままで結構ですよ」

白い髭を生やした60代程のお爺さんが話しかけてきた。どうやらこの方が村長らしい。
俺とゾエラはお言葉に甘え席に着いた。

「ガルドくん、今回はご苦労であった」
「フッ、まぁのぉ!ワシにかかればあんなの牛から牛乳出すぐらい簡単じゃ!」

例えが独特なんだよお前。あとこの世界牛いんのかよ。

「さて、ガルドくん。君は借金が5万ガロンあったと思うが、そのお金は全てこちらで援助しよう」

俺は慌てて席を立ち、村長に本当か疑った。

「ほ、本当ですか!?こいつの借金はこいつが……!」
「魔王軍がファステルに攻めてきたのは今回が初。正直言ってこの街は魔王軍の対策が0だった。この街が潰れてもおかしくなかったんだよ」

村長は髭を弄り、続けて話していく。

「そこで来たのが救世主のガルド君じゃ。彼女がいなかったら今もこうして会話をしていないだろうね」

確かに水晶玉で見た時、ここの冒険者は1人も歯が立ってなかった……。
でもこいつが依頼終わりに帰ってきただけでおまけ程度に撤退させたんだ……。

「やっぱり凄いね!ガルドちゃんの一族って!」
「ガッハッハッ!ワシのボルザーク族は最強じゃ!」

ボルザークと聞いた瞬間、村長含む集会場の人達が驚きのあまり沈黙が続いた。

「ぼ、ボルザーク族……!?」
「なぜその一族がここに……!?」

俺達はなぜそんなに驚いてるのか不思議だった。
何か危ない一族なのか……!?

「あ、あの〜?村長さん?どうかなさいました……?」

村長達はガルドに対して土下座をしていた。

「そ、村長さん!?」

俺達は何が何だかさっぱりだった。
ガルドを見るとちょっと照れてた。なんだこいつ。

「ボルザーク族は一度この街を救った恩人の一族!またしても……またしても助けられるとは!なんとお礼を言えばいいか!!」

土下座をしながら喋っている村長に対し、俺達は慌てて喋りかけた。

「ちょ、ちょっと頭をあげてください!」
「え、えっと……ボ、ボルザーク族ってそんなに有名なの?ガルドちゃん」

ゾエラは恐る恐るドヤ顔をしているガルドに聞く。
するとガルドは机に立ち上がり村長に向かって指を指す。

「褒めて遣わすぞ!ファステルの村長!これからもワシをフォローしていくことだな!ガッハッハッ!!」
「ハ、ハハー!!」

調子に乗ったガルドが1番魔王をしているような……。



〜〈フルトロン〉集会場〜

「報酬金はこちらで用意しております!大金ですのでこちらの方に来てください」

集会場のお姉さんが俺達を部屋に案内した。
部屋には借金免除の紙と今回の報酬金とともに札束がどんと置かれていた。

「ほ、本当にいいんですか?」

俺は改めてお姉さんに聞いた。ガルドはともかく俺達は何もしていないのに……。

「いいんですよ!貴方達がファステルを守ってくださったお礼です!」

お姉さんは笑顔で答えた。

「……おいガル、何金抱えて逃げようとしてんだ」
「ふああっ!?」

そそくさと金を抱えて逃げるガルドにツッコミを入れ、ガルドに軽く頭をチョップする。大金とはいえタケル達はまだ金額を把握していない。
ゾエラは報酬金の紙を見てわなわなしていた。

「タ、タケル君……これ……!?」

俺は渡された紙を見ると、そこにはとんでもない大金があったのだ。
それと同時にその金額を独り占めしようとしたガルドに、制裁を加えようと誓った。
報酬金はなんと2億ガロン。
パーティーを結成して僅かで得れる金額では無い。

「魔王の配下を逃がしただけで2億……!?」
「違いますよ。逃がしてくれたから2億なんです」

ゾエラは食いつくようにお姉さんに話しかけた。

「じゃ、じゃあ倒した場合って!?」
「魔王の配下のレベルによって変動しますね。今回追い払った2人は四天王で3番目に強い方ですよ」

ガルドはお金を机に置き、お姉さんに続いて質問を投げた。

「じゃあ1番上を倒せば10億とかか!」
「まぁそのぐらいかと」
「まぁとにかく、そのお金は一度話し合って決めようぜ。まだ俺達の冒険は始まったばっかりだ。考えて使わねえと損するかもだしな」

俺はそう言うと2人は頷く。
ここに来て数日……毎日くたびれるようにしんどいがそれ以上にこれからの冒険が楽しみだ。

俺達は部屋を出て集会場にあるテーブルに向かう。
その途中で俺達は、ずっとそこで待ってたかのように……悲しげな顔でバロン達が立っていた。

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