【推測不能!?】AIノベルちゃんにホラーを任せてみた件について

清泪(せいな)

第13話 生死は問わない

 私が答えると、彼女は興味深そうに私を見つめてくる。
 ……それにしても変わった格好をしているわね。
 ……そうでしょうか? 特に違和感はないと思うのですが……。
 私が自分の服装を確認すると、彼女は驚いたように言った。
 ……えっ、気づいてないの?
 ……何のことでしょう? 
 私が尋ねると、彼女は大きなため息をつく。
 
 ……はぁ、やっぱり自覚がないんだ。
 ……あの、どうかされたんですか? 
 彼女は再び私をじっと見つめると、静かに口を開いた。

 ……あなた、幽霊なのよ。
 ……えっ? 私が驚いている間にも、彼女は話を続ける。
 ……あなたがさっき襲われたのは霊能力者ってやつよ。
 ……え、えぇ!? そ、そんなはずありません! 私はちゃんと生きています!

 ……そうね、確かに生きているわ。でも魂だけがここに存在している状態なの。肉体が死んでしまっているから、今のあなたの身体は仮のものに過ぎないのよ。
 
 ……嘘だ! 
 私は思わず叫んでしまう。
 ……本当よ。だからあなたには私の姿が見えないの。
 ……どうして! 
 私は必死に訴えかけるが、彼女は悲しげな表情で首を横に振るだけだった。
 ……ごめんなさい。詳しいことは分からないけれど、きっと何か理由があるのだと思うわ。
 ……どうして!? 
 私は声を荒らげて彼女に詰め寄る。
 ……落ち着いて聞いてほしいの。
 ……嫌です! 聞きたくありません!!
 ……お願い、冷静になってちょうだい。
 ……無理です! 絶対に受け入れられません! だってそうじゃないですか! こんなのおかしいですよ! 私はただ普通に生きていただけなのに、どうして死ななければならないんですか! 

 私は大声で叫ぶと、その場に泣き崩れてしまう。
 ……ごめんなさい。本当にごめんなさい。
 ……謝らないでください! 私は何も悪くなんかない! 悪いのは全てあいつらです! 
 私は涙ながらに訴えるが、彼女は俯いたまま何も言わなくなってしまった。
 私は無言のまま立ち上がり、その場を離れようとする。
 すると、背後から彼女が私の名を呼ぶのが聞こえた。
 ……待って!……お願い、行かないで! 
 彼女の叫びを無視し、私は足早に立ち去る。
 そして、そのまま自宅へと戻ったのだった。

 私は自室のベッドの上に寝転び、天井を見上げていた。
 あの後、私はすぐに帰宅したのだが、ずっと考え事をしていたのだ。
 彼女の言葉を思い出していた。
 ……幽霊、か。
 ……信じたくないけど、多分そうなんだよな。
 ……だとしたら、これからどうすればいいんだろう。
 ……まさか死ぬわけにもいかないし……。
 私はしばらく悩んだ末に、ある結論に達した。
 ……よし、とりあえず様子を見よう。
 もし、彼女が言うことが事実なら、いずれは消えるはずだ。
 それまでは普段通りに生活しよう。
 そう思い至った私は、その日は何もせずに眠ることにした。

 翌日、私はいつものように仕事に出かけた。
 だが、そこで私は大変なことに気づいてしまった。
 ……どうしよう、職場の場所がわからないぞ。
 今まで気にしていなかったのだが、考えてみれば私はこの世界のことについてほとんど知らないのだ。
 昨日のこともそうだが、他にも色々と知るべきことがある気がする。
 しかし、今はそんなことを考えている場合ではないようだ。
 とにかく、まずは目の前の仕事を片付けないと。

 私は気持ちを切り替えると、急いで現場へと向かった。
 その日の作業を終えると、私はまたもや途方に暮れてしまった。
 というのも、今日の帰り道が分からなかったからだ。
 幸い、近くに居た人に道を尋ねたことで何とか帰ることができたが、かなり焦ってしまった。
 やはり、早めにここの生活に慣れた方がいいかもしれない。
 そう思った私は、次の日から積極的に街を散策することにした。
 街中を歩いていると、様々なものを見つけることができた。
 例えばコンビニという店。
 ここは便利だ。
 欲しいものが何でも手に入る。
 
 ……ん? あれは何だろう? 
 私は少し離れた場所にある建物に興味を示す。
 ……病院? 
 看板の文字を読むと、私は中に入ってみることにした。
 入り口を通り抜けると、そこには受付があった。
 若い女性がいる。
 ……すみません、ちょっとお尋ねしたいのですが……。
 私が話しかけると同時に、彼女は驚いたように目を見開いた。

 ……あ、あなた、生きてる人間なの!? 
 彼女は慌てた様子で言うと、私から距離を取るように後ろに下がる。
 ……え?……えっと、どういう意味でしょうか? 
 私が尋ねると、彼女は困り顔になる。
 ……あのね、あなたのような人はここに来ちゃいけないのよ。
 ……え? それって一体……。
 私が戸惑っていると、彼女は説明を始めた。
 ……えっとね、簡単に説明すると、死んだ人がここに来ると成仏できないのよ。だから、あまり長居はしないでほしいんだけど……。

 ……え? ちょ、ちょっと待ってください! 
 私は慌てて彼女に駆け寄ろうとする。
 ……あの、もう少し詳しく教えてください!
 ……駄目なのよ! お願いだからもう帰って! 
 彼女はそう言って私の肩を掴む。
 そして、無理やり外に追い出そうとしてきた。
 ……痛っ! 離して下さい!
 ……いい加減にして! 
 彼女は怒鳴るように言うと、私の腕を強く引っ張ってくる。
 ……きゃっ! 
 突然の出来事に対応できず、私はバランスを崩してしまう。
 そして、そのまま床に向かって倒れ込んでしまった。

 ……いったぁ……!
 ……え? 何これ? 
 私の身体がどんどん透けていく!? 
 私の視界は暗転し、やがて意識を失ったのだった。

 目を覚ますと、私はベッドの上で横になっていた。
 周りには誰もいない。
 私は起き上がると、部屋の外に出ようと歩き始める。
 すると、足元から声をかけられた。
 ……あっ、目が覚めたのね! 良かったぁ! 
 私は視線を下げる。
 すると、そこにいたのは先ほどの女性だった。
 ……あの、さっきはごめんなさいね。びっくりさせちゃって。
 ……いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。
 私は頭を下げながら謝罪の言葉を口にする。
 すると彼女は笑顔になった。

 ……ふぅ、これで一安心だわ。

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