【推測不能!?】AIノベルちゃんにホラーを任せてみた件について

清泪(せいな)

第11話 夜を駆ける

 ……なんだか変な気分だ。
 まるで夢の中にいるみたい……。
 私はそんな事を考えながら、ゆっくりと歩いていく。
 やがて、いつものコンビニの前を通りかかったところで、ハッとした。
 ……そうだ、あの人に相談してみよう。
 きっと何か分かるはずだ。
 私はそう思うなり、急いで店の中へと入った。
 店内には数人の客がいるだけで、閑散としている。
 私は雑誌コーナーへ行くと、男性向けの週刊誌を手に取った。
 パラパラとページをめくっていくうちに、目当ての記事を見つける。
 そこには、昨日起こった殺人事件について書かれていた。
 被害者の名前は、田端優子。
 年齢は二十六歳。
 ……やっぱり、間違いないわ。

 私は記事を読み終えると、雑誌を棚に戻した。
 その時、誰かの声が聞こえてきた。
 私は声のした方を見る。
 すると、レジの方から店員らしき男がこちらへ向かってくるのが見えた。
 ……あ、どうも。
 私は軽く頭を下げると、店を出ようとした。
 だが、男に呼び止められてしまう。
 
 ……ちょっと待ってくれないか?

 ……はい、なんでしょう? 
 私が振り返ると、男は言った。

 ……あんたさっきまでここにいなかったかい?
 ……え? 
 突然の言葉に戸惑っていると、男はさらに言葉を続けた。
 ……いや、実は俺、見たんだよ。
 あんたがこの店で買い物をしてるところをさ。
 ……あ、そうなんですね。
 私は苦笑いを浮かべて答える。
 ……じゃあさ、これ買ってくれない? 
 男はそう言うと、私の手に千円札を握らせた。
 ……はい? 
 私が首を傾げると、男はさらに続ける。
 ……ほら、見てよ。
 今日、全然売れなくて困ってるんだよね。  

 だから、お願い。
 男は手を合わせて懇願してきた。

 ……でも、私これから用事がありますし……。
 私が断ると、男は食い下がってきた。
 ……そこをなんとか頼むよ。
 お礼ならちゃんとするしさ。
 私はため息をつくと、仕方なくそれを受け取った。
 そして、商品を受け取ると足早にその場を立ち去る。

 ……まったく、どういうつもりなのかしら。
 私はブツクサ言いながら歩き続けた。
 やがて、自宅の近くに到着する。
 ……確か、ここを曲がればすぐに着くはず。
  私は角を曲がりかけたが、ふと足を止めた。

 そして、後ろを振り返る。
 ……何もいないわね。

 私は安心すると、再び前を向いて歩き始めた。
 それからしばらく歩いていると、また先程の場所に戻ってきてしまった。
 ……嘘!? 
 どうして!? 
 私は混乱しながら必死に考えたが、答えは見つからなかった。

 ……仕方がない。もう一度行ってみるしかないか。
 私は覚悟を決めると、来た道を戻り始める。
 そして、先程と同じように角を曲がった瞬間、私は目を見開いた。
 目の前に男性が立っていたからだ。
 男性は私を見ると、ニッコリと微笑んで話しかけてくる。
 ……ああ、よかった。会えたんですね。
その笑顔を見て、私は確信した。
 間違いなく彼だ。
 私は震える声で尋ねる。
 ……あなた、一体何者なの?
 ……まぁ、それは後で説明しますよ。
 それより、今は時間がありません。
 早く行きましょう。

 彼はそう言うと、私の腕を引っ張って走り出した。
 ……ちょ、ちょっと! 私は慌てて彼の後に続く。
 私たちは人気のない道を走り抜けると、大きな通りに出た。
 そこでようやく止まると、お互いに息を整える。

 ……あの、一体どこへ連れていく気ですか?  
 私は恐る恐る尋ねた。
 ……そうですね、まずは落ち着いて話せるところへ行きましょうか。
 彼はそう言って歩き出す。
 私は黙ってその後を追った。

 それから数分歩いたところで立ち止まり、振り向く。
 ……着いたみたいですよ。
 私は辺りの様子を窺う。
 そこは、寂れた公園だった。
 中に入ると、ベンチに座っている二人の男女の姿が見える。
 一人は若い男。
 もう一人は二十代後半くらいの女性だった。
 二人は私の存在に気づくと、驚いたような顔をする。
 だが、すぐに男の方はニヤリと笑みを浮かべた。
 ……おい、お前が連れてきたのか?
 ……はい。
 彼がそう返事をする。
 ……ふん、なかなかいい度胸じゃないか。
 よし、気に入ったぞ。
 お前は合格だ。

 男は立ち上がると私に近づいてくる。
 そして、私の顎を掴むと強引に上に向かせた。

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