【推測不能!?】AIノベルちゃんにホラーを任せてみた件について

清泪(せいな)

第10話 殺し合い夢中

 男は私の言葉に納得したのか、なるほどとうなずくと、困ったような顔をして口を開いた。
 ……実はですね、私の方にも似たような事を頼まれたんですよ。
 ……本当!? 
 男は静かに首肯すると、話を続けた。
 ……えぇ、つい最近の出来事です。
 ある女性からの依頼で、私は彼女を殺しました。
 ……殺したって、どうして?
 ……彼女は犯罪者でして、殺人を犯していたんです。
 だから、私が手を下しました。

 男は淡々と語る。私は驚きのあまり言葉が出なかった。
 ……じゃあ、もしかして、あなたが……。
 男が笑顔を浮かべる。
 ……あぁ、そうですよ。彼女が依頼してきた人物です。
 私はしばらく放心状態になっていた。
 ……そっか、そうだよね。
 この人以外に考えられないもんね。
 私は自分を納得させるようにつぶやく。
 ……ねぇ、どうして殺しちゃったの?
 ……それはですね、私にとって邪魔者だったからですよ。
 ……邪魔者? 
 男が笑顔のまま答える。
 ……はい、その女性は私の恋人を殺した犯人なのですから。
 恋人が死んだと聞いた時、私は悲しかった。
 ……何故なら、その人と付き合っていたからだ。
 ……でも、その人が死んでしまった事は仕方がないと思った。
 悪いのはその人の方なのだから。
 私は男の目をじっと見つめて言う。
 ……じゃあ、なんでまだ生きてるの?
 ……簡単です。
 彼女には別の男性と子供がいたのですから。
 私は呆然としながら、小さく呟く。
 ……そんな……。
 男は満足げな笑みを浮かべると、私を見据えて言う。
 ……そういうわけですので、私には彼女を始末する必要があったのです。
 ……あなたのおかげで上手くいきましたよ。
 ありがとうございます。
 ……私は無言で男にナイフを向けた。

 ……そういえば、あなたの方はどうなったんですか? 
 私はビクッとして動きを止める。
 ……私の方って? 
 男は少し寂しげな笑みを浮かべて答えた。
 ……いえ、なんでもありません。
 私は男の言葉を気にしながらも、再びナイフを構える。
 ……さっきの話を聞いて確信したわ。
 あなたは悪人だ! 
 絶対に許さない! 
 私はそう叫ぶと、男に襲いかかった。

 男は私の攻撃を避けると、逆に私に襲い掛かってきた。
 私は慌てて身を引く。
 男はニヤリと笑うと、さらに攻撃を続けてきた。
 私は防戦一方になりながらも、なんとか男の攻撃をかわしていく。
 ……あなた、本当に強いのね。
 私がそう言うと、男は肩をすくめて答えた。
 ……お褒めいただき光栄です。
 まぁ、私はあなたと違って戦闘経験が豊富ですから。
 ……確かにその通りかもしれない。
 私はため息をつくと、覚悟を決めた。
 ……分かった。もう止めない。
 あなたを殺すことにする。
 私がそう宣言すると、男は嬉しそうにうなずいた。
 ……そうこなくてはいけませんよ。
 男はそう言うと、構えをとった。
 私もそれに応えるように、同じように構える。
 私はゆっくりと息を吐きながら、タイミングを見計らっていた。
 そして、一気に間合いを詰める。

 次の瞬間、鋭い痛みが走った。
 見ると、脇腹から血が出ている。
 私は驚いて立ち止まった。
 ……今のは一体……。
 男は平然と言う。
 ……何をしているんです? 
 早くかかってきて下さいよ。
 私は男を睨むと、今度は慎重に相手の様子を窺いながら近づいた。
 男は相変わらず微笑んだ。
 私は意を決して攻撃を仕掛けた。

 だが、やはり先程と同じようにかわされてしまう。
 しかも、今度ばかりは男も反撃をしてきた。
 私はそれをかろうじて避ける。
 それからしばらくの間、攻防が続いたが、状況は一向に変わらなかった。
 私は次第に焦りを感じ始めていた。
 ……どうして当たらないの!? 
 男は余裕の表情を浮かべている。
 それが余計に私の神経を刺激した。
 ……何がおかしいっていうのよ! 
 私は叫びながら男に向かって突進する。
 男は私の動きに合わせて拳を突き出した。
 その一撃は見事に私の腹部に命中した。
 激しい衝撃とともに激痛に襲われる。
 私は思わずその場に膝をつくと、激しく咳込んだ。
 ……大丈夫ですか? 
 男が心配そうに声をかけてくる。
 私は何とか立ち上がると、男をキッと睨んだ。
 ……よくもやったわね。
 絶対殺す! 
 私はそう叫んで男に向かっていったが、あっさりと返り討ちに遭ってしまった。
 私は地面に倒れ込むと、そのまま気を失ってしまった。
 次に目が覚めた時、私は自分の部屋にいた。
 辺りはすでに真っ暗になっている。

 ……あれ? 
 私、いつの間に家に帰ったっけ? 
 不思議に思いながら体を起こすと、全身がズキズキと痛んだ。
 特に酷いのは腹部である。
 恐る恐る触ってみると、包帯のようなもので手当てされていた。
 誰がしてくれたのだろう。
 ……とりあえず病院へ行こうかな? 
 私は服を着替えると、外へと出た。
 空には月が出ており、街灯の明かりと相まって明るい夜だった。

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