【推測不能!?】AIノベルちゃんにホラーを任せてみた件について

清泪(せいな)

第9話 殺意の介入

 ……どうします? 
 私は男の顔を見る。
 ……どうする? 
 私は自分に尋ねてみた。
 ……私は、生きていたい。
 だから、まだここにいる。
 私は男に向かってはっきりと言う。
 すると、男は満足げにうなずいた。
 ……分かりました。では、決まりです。これからよろしくお願いしますね。
 ……こちらこそ。
 こうして、奇妙な共同生活が始まったのだった。

 あれから一週間程経ったある日の事だ。
 いつものように仕事を終えて帰宅してみると、玄関の前に誰かが倒れていた。
 私は急いで駆け寄る。
 ……大丈夫ですか!? 
 私が声をかけると、その人はゆっくりと顔を上げた。
 それは、あの男だった。
 私は驚きながら尋ねる。
 ……どうしてこんな所に!?
 ……いえ、ちょっと疲れたので休んでいただけです。
 男はそう言うと立ち上がったが、ふらついて再び地面に膝をついてしまった。
 私は心配になってもう一度聞く。
 ……本当に大丈夫なの? 
 男は力なく笑うと、弱々しい声でつぶやく。
 ……えぇ、何とか。
 私は男に肩を貸しながら家の中に運び込む。
 ……取り敢えずソファーに寝かせておいた方がいいかな。
 男は私の言葉に素直に従い、大人しく横になった。
 ……すみません。ありがとうございます。

 ……いいの。気にしないで。
 それより、何か飲み物を持ってくるけど、コーヒーと紅茶、どっちが好き? 
 私が尋ねると、男は少し考え込んでから答えた。
 ……じゃあ、コーヒーの方で。
 分かった。ちょっと待ってて。
 私が台所へ向かおうとすると、男が呼び止めた。
 ……あぁ、それと、お風呂も借りたいんですが。
 私は振り返り、不思議そうな顔をして聞き返す。
 ……どうして? 
 男は苦笑しながら言う。
 ……汚れているんでしょうかね。自分ではよく分からなくて。

 あー、なるほど。
 そういう事か。
 私は納得すると、笑顔を浮かべて答える。

 ……じゃあ、沸かしてくるね。

 私は浴室に向かい、浴槽に水を溜め始めた。
 ……よし、これでOKっと。
 リビングに戻ると、男が眠っていた。
 私は起こさないよう注意しながら、そろりそろりと近付く。
 ……起きないみたいだね。
 私は男の横に腰掛けると、その寝顔を見つめた。
 ……意外と可愛いかも。
 私は思わず吹き出しそうになる。
 ……いけない、変なこと考えるのやめとこ。
 私は軽く頭を振ると、立ち上がってキッチンへと向かった。
 ……さて、どうしようかな。
 私は冷蔵庫の中を見ながら考えた。
 この前買った食材が結構残ってるんだよね……。
 今日は簡単に済ませちゃおう。
 私は冷凍庫の中からラップに包まれたご飯を取り出し、電子レンジに入れた。
 その間にフライパンを用意して、油を引く。
 そして、温まったご飯を入れて炒め始める。
 しばらくして、チンッという音が聞こえた。
 私は一旦火を止めてから、皿に移し替える。
 ……うん、美味しそう。
 我ながら上出来じゃない? 
 私は自画自賛すると、それを男の元へ持っていった。
 男は目を覚ますと、驚いたように辺りを見回していた。
 ……おはよう。もう夜だけどね。はい、これ。
 私はそう言って、男の目の前に料理を置く。
 男は呆然とした様子だったが、やがてハッとしたように私の顔を見ると、慌てて体を起こした。
 ……す、すいません! ご迷惑をおかけしました。
 私は苦笑を浮かべて言う。
 ……そんなに謝らないでよ。私が好きでやってる事なんだから。
 男は申し訳なさそうにうつむいたまま黙ってしまった。
 私は小さくため息をつく。
 ……ねえ、あなたって変わってるよね。
 どうして私なんかと一緒にいるの? 男は首を傾げる。
 ……どうしてと言われましても……。
 ただ単に興味があるからです。
 ……それだけ? 
 私がそう聞くと、男はうなずいて答えた。
 ……はい、そうです。
 私はため息をつく。
 ……やっぱり変わってるよ、あなた。
 普通なら、こんな得体の知れない人間とは関わりたくないと思うんだけどね。
 ま、私としてはありがたかったけど。
 男は私の言葉にクスリと笑う。
 ……確かに、あなたの言う通りかもしれませんね。
 でも、それが私ですから。

 ――私は男を殺すことにした――

 ………………どうして、こんな事になっちゃったんだろう? 
 私は男に向かってナイフを突きつけながら思った。
 男は私の顔を見て、不思議そうに尋ねる。
 ……どうされたんです? 突然こんな物騒なものを取り出して。

 私は震えながら言う。
 ……あの、その……ね……。

 ……何ですか? 
 男は相変わらず微笑みながら聞いてきた。

 ……私……、人を殺せって言われたの。
 私がそう言うと、男は一瞬だけ目を大きく見開いたが、すぐに元の表情に戻った。

 ……そうだったんですか。それで、誰を? 
 男は落ち着いた口調で言う。

 ……分からないの。
 私は泣きそうな声で答えた。

 ……分からない? どういう事でしょうか。
 男の言葉に、私は困惑する。

 ……だって、その人は私に人を殺してこいって言ったんだよ。
 なのに、何も知らないなんておかしいじゃん。

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